2026年も7月半ばに差し掛かり、夏のボーナスの使い道を考えている方も多いのではないでしょうか。私はこれまでファイナンシャルプランナーとして、数多くのお客様から老後資金は足りるのかといったお金の相談を受けてきました。
7月10日公表の内閣府の最新資料では単身世帯が急増する未来が示されており、将来受け取れる年金額を正しく把握することは、老後の不安を和らげる第一歩となります。今回は、内閣府や厚生労働省の調査結果をもとに、2026年度の最新の年金額の実態と、プロの視点から堅実に資産を伸ばす方法について解説します。ご自身の将来の生活設計の参考にしていただければ幸いです。
【全世帯の約4割が単身世帯となる未来】世帯構成の大きな変化と単独世帯の増加
内閣府の男女共同参画局が2026年7月10日に公表した「男女共同参画白書 令和8年版」によると、家族の姿が長期的に大きく変化していることがわかります。
主な世帯類型の構成割合の推移は以下の通りです。
夫婦と子供から成る世帯
平成2年は37.3%でしたが、令和2年には25.1%に低下しており、今後も更なる低下が見込まれています。
単独世帯
平成2年は23.1%でしたが、令和2年には38.1%にまで上昇しました。
このように、かつて最も割合が高かった「夫婦と子供から成る世帯」が減少する一方で、「単独世帯」の割合が大きく上昇しています。特に注目すべき点として、単独世帯は今後も更なる増加が予想されていることが挙げられます。令和32年には全世帯の44.3%が単独世帯になると推計されており、単身での生活が最も一般的な世帯の姿となる未来が近づいていることがうかがえます。
このように単身で老後を迎えるケースが当たり前になる時代だからこそ、自分一人の生活基盤となる「公的年金」の最新事情と受給見込額をしっかりと把握しておくことがこれまで以上に重要になります。
【2026年の国民年金】満額はひとり「7万608円」へ引き上げ!対前年度+1300円アップ
公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」で、2026年度の改定額が反映されたのは先日6月15日の支給分(4月・5月分)からでした。次回の支給日は8月14日(金)です。
厚生労働省によると、2026年度のモデル世帯(夫婦2人分の標準的な年金額)は月23万7279円となり、前年度から改定率がプラスとなりました。
老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以降生まれで月7万608円(昭和31年4月1日以前生まれは月7万408円)です。厚生年金は加入期間や現役時代の報酬に応じて上乗せされるため、年収400万円で40年勤めた場合は概算で月8万〜9万円程度の厚生年金が上乗せされる計算になります。
※支給日が土日祝の場合は直前の平日
老齢年金の平均月額はいくら?男女別に厚生年金と国民年金を確認
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均月額は男女別に次のとおりでした。
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
国民年金(老齢基礎年金)の平均月額
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金の階級別分布を見ると、月10万〜15万円未満の層が全体の中でボリュームゾーンとなっています。
【FPが解説】将来に向けた家計防衛、先取り貯蓄やNISAなど老後資金対策3つの視点
私がこれまでFPとして数多くの家計相談を受けてきた経験を踏まえ、どのようなご家庭でも実践しやすい、資産を堅実に伸ばすための3つの視点をお伝えします。日々の生活を送りながら、住宅費・教育費・老後資金という「人生の3大支出」にしっかりと備えていくには、やはり計画的な工夫が欠かせません。
1. 「先取り貯蓄」で無理なく積み立てる
手取りから残った分を貯めるのではなく、給与振込直後に自動で別口座へ移す「先取り貯蓄」が有効です。目安として手取りの15〜20%を設定できれば、統計上の貯蓄率とも整合します。
2. NISAで運用益の非課税枠を活用
年収400万円層は、生活防衛資金(生活費6か月分)を確保したうえで、余裕資金をつみたてNISAで長期分散投資に回すのが現実的です。運用益・分配金が非課税となる制度で、少額から始められ、必要になればいつでも引き出せます。
3. ねんきん定期便で受給見込みを確認
毎年誕生月に届くねんきん定期便には、加入実績に基づく年金見込額が記載されます。夫婦2人分の見込額を合算し、老後の生活費との差額を把握することで、いま追加で必要な貯蓄額がクリアになります。「なんとなく不安」を数字に置き換えることが、家計改善の最初の一歩です。
まとめにかえて
今回は、最新の調査結果などをもとに、これからの世帯変化や2026年度の年金の実態について解説しました。単身世帯が主流となっていく未来に向けて、まずはご自身の現在地を客観的に把握しておくことが大切です。
公的年金は老後生活の大きな柱となりますが、現役時代の働き方によって将来の受給額には個人差が生じます。まずは、お手元に届く「ねんきん定期便」を確認し、将来の受給見込額と希望する生活費との差額を計算してみてください。必要な金額がクリアになれば、過度に不安を抱え込むことはなくなります。
不足分に対しては、先取り貯蓄やNISAなどを活用し、今から無理なく計画的に準備を進めることができます。漠然とした不安を具体的な数字に置き換えて、できるところから早めに行動を起こしてみましょう。それが、これからの人生を身軽に、そして前向きに楽しむための確かな第一歩となります。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
