2026年も後半に入り、将来の働き方や老後資金について見直しを始めている方も多いのではないでしょうか。筆者はFPとして、これまで保険の無料相談窓口やWEBサービス等を通じて、数多くのお客様のライフプランニングやお金の相談業務に携わってきました。ご相談の中でも特に近年増えているのが、「働き続けることで将来自分はどれくらいの年金がもらえるのか」という女性からのリアルな声です。
今回は、厚生労働省や内閣府の最新データをもとに、多様化する女性のライフコースに応じた将来の年金受給額の目安と、共働き世帯の現状について解説します。
【女性の年金】33年勤務「平均月収35.6万円」の場合、将来の年金額はいくら?
女性の社会進出や働き方の多様化が進む現在、キャリアを積んできた女性にとって「自分が将来受け取れる年金額」を把握することは、安心できる老後のライフプランを立てるための重要な第一歩です。
厚生労働省が公表した「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」の概算データをもとに、現役時代の働き方(ライフコース)の違いによる年金受給額の目安(令和8年度)と、その前提条件を確認してみましょう。
【多様なライフコースに応じた年金額(概算)】
ケース①:女性・厚生年金期間中心(20年以上)
年金月額(見通し)
- 令和7年度:13万2117円
- 令和8年度:13万4640円(前年度比 +2523円)
経歴の前提条件
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35.6万円(※賞与含む月額換算。年収換算で約427万円)
令和8年度の内訳
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
正社員等として約33年間着実にキャリアを積み、平均年収約427万円で推移した場合(ケース①)、受給額は月額13万4640円となる見込みです。
厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、将来の受給額は大きく変動します。今回の改定で各ケースとも増額となりましたが、住居費や生活費を考えると、この金額をベースに「不足分をどう準備するか」が鍵となります。
ケース②:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)
《年金月額》令和7年度:6万636円 → 令和8年度:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25.1万円
- 内訳(令和8年度):基礎年金 5万3119円/厚生年金 8652円
ケース③:女性・国民年金(第3号被保険者期間)中心(20年以上)
《年金月額》令和7年度:7万6810円 → 令和8年度:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26.3万円
- 内訳(令和8年度):基礎年金 6万9016円/厚生年金 9234円
ケース④:男性・厚生年金期間中心(20年以上)
《年金月額》令和7年度:17万3457円 → 令和8年度:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50.9万円(※賞与含む月額換算。年収換算で約610万円)
- 内訳(令和8年度):基礎年金6万9951円/厚生年金 10万6842円
ケース⑤:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)
《年金月額》令和7年度:6万2344円 → 令和8年度:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36.4万円
- 内訳(令和8年度):基礎年金 4万8896円/厚生年金 1万4617円
このように、現役時代の平均収入や厚生年金への加入期間によって、将来手にする年金額には大きな差が生じます。物価や賃金変動の影響で令和8年度は全体的に増額傾向にありますが、ご自身の働き方がどのパターンに当てはまるのかを早めに把握しておくことが、無理のない老後資金計画に繋がります。
【専業主婦世帯の3.5倍】1254万世帯に達した共働き世帯の現状を読み解く
社会の変化に伴い、各家庭における「働き方」のスタイルも大きく様変わりしています。内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 令和8年版 全体版」のデータから、現在の世帯状況を見てみましょう。
共働き世帯数と専業主婦世帯の推移(妻が64歳以下の世帯)
令和7年における世帯数の内訳は以下の通りです。
- 雇用者の共働き世帯数:1254万世帯
- 専業主婦世帯数:358万世帯
長年の推移を振り返ると、共働き世帯が右肩上がりで増加しているのに対し、専業主婦世帯は5年ごとに約2割のペースで減少を続けています。現在では、共働き世帯の数が専業主婦世帯の約3.5倍にまで拡大しており、「夫婦ともに働くこと」が日本の一般的な世帯のスタンダードとしてすっかり定着していることが分かります。
【フルタイム542万世帯】妻の働き方も多様化、パート・フルタイムともに増加傾向に
妻の就業時間別共働き世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)
さらに、共働き世帯における「妻の働き方」にも変化が見られます。同白書による令和7年の共働き世帯(妻の就業状況別)の内訳は以下の通りです。
- パートタイム労働(週35時間未満):712万世帯
- フルタイム労働(週35時間以上):542万世帯
共働き世帯の増加に伴い、短時間で働くパートタイム労働だけでなく、週35時間以上働くフルタイム労働を選択する世帯も前年に比べて増加しています。このデータからは、女性がそれぞれのライフステージやキャリアプランに合わせて、多様な働き方を柔軟に選択している実態が浮き彫りになっています。
【女性の年金】働き方の多様化と将来の年金に向けた備え
今回は、厚生労働省や内閣府のデータをもとに、女性の多様なライフコースに応じた年金見込み額と、広がりを見せる共働き世帯の現状について解説しました。平均月収約35万円で33年働いた場合の年金月額が約13.4万円という具体的な数字を見て、老後の家計をリアルに想像できた方もいるはずです。
公的年金だけで余裕のある生活を送るのは難しくとも、長く働き続けることで将来の受給額を確実に増やすことができます。まずはご自身の「ねんきん定期便」を確認し、今の働き方が将来どのような形に結びつくのかをチェックしてみてください。
お金の不安を少しでも減らし、自分らしい豊かな老後を迎えるために、今からできる資産形成や働き方の見直しを前向きに進めていきましょう。
参考資料
ほけんの窓口グループ出身。FP2級、生命・損害保険募集人資格。多数のライフプランニングや保険EC事業立ち上げを経験。現在は最適な保険の選び方を伝えるべく、コンテンツ制作や専門記事の執筆業務を行う。
