なぜ差がつく?現役時代の働き方が年金額に影響する「報酬比例」とは
このような格差が生まれる主な理由は、厚生年金が「報酬比例」という仕組みを採用しているためです。これは、現役時代の収入(報酬)と加入期間の長さに応じて、将来受け取る年金額が決定される制度です。
特に女性は、出産や育児といったライフイベントによってキャリアが中断されたり、非正規雇用で働いたりするケースが男性に比べて多い傾向にあります。
その結果、加入期間が短くなったり平均収入が低くなったりし、年金の受給額に直接的な影響が出やすいのです。
また、性別にかかわらず、過去に会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間が短い場合、実際に支給される年金額は想定よりも少なくなる可能性があります。
将来への備えをより確かなものにするためには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などを利用して、ご自身の年金受給見込額を早めに確認しておくことが大切です。
【コラム】平均月額15万円は丸々もらえない!? 親の「年金振込通知書」を見て気づいた意外な盲点
厚生年金の平均受給額は約15万円ですが、実はこの金額がそのまま口座に振り込まれるわけではありません。
現役時代は給与の「額面」と「手取り」の違いを意識しますが、年金にも同様のギャップが存在するのです。
筆者は以前、親の「年金振込通知書」を見る機会があったのですが、そこには介護保険料や後期高齢者医療保険料が、さらには住民税や所得税がしっかり天引きされている現実がありました。
家計調査のデータを見ても、75歳以上の無職夫婦世帯では、毎月約3万1500円もの非消費支出(税金や社会保険料)が発生しています。
「年金が月15万円あれば、なんとか暮らしていけるだろう」と漠然と考えていた私にとって、天引き後の「手取り額」が想定以上に少ないことは少なからぬ衝撃でした。
老後の生活を左右するのは、額面の受給見込額ではなく「実際の手取り額」です。
現役世代の私たちが老後資金をシミュレーションする際は、この「額面と手取りのギャップ」もあらかじめ計算に入れておく必要がありそうです。
まとめ:公的年金と向き合い、自分らしい老後設計を
「人生100年時代」といわれる現代、私たちの老後生活は以前よりも長くなることが予想されます。
本記事で見てきた現在のシニア世代の年金受給額は、ご自身の将来設計を考えるうえで重要な参考になります。
しかし、近年の物価上昇やライフスタイルの変化をふまえると、公的年金だけで老後の生活費すべてをまかなうのは容易ではないかもしれません。
老後に必要とされる資金は、ときに数千万円にのぼるともいわれており、その準備は健康維持や自己投資と同じように、一朝一夕で完成するものではありません。
預貯金で生活の基盤を固めながら、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用した資産運用で、効率的にお金を増やしていく視点を取り入れてみるのも一案です。
資産運用のリスクを理解し、ご自身に合った方法で備えていきましょう。
(参考)厚生年金における被保険者の4つの区分
2026年7月現在、厚生年金保険の被保険者は、以下のように区分されています。
- 第1号厚生年金被保険者…厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される者
- 第2号厚生年金被保険者…旧共済年金の加入者(国家公務員共済)
- 第3号厚生年金被保険者…地方公務員共済
- 第4号厚生年金被保険者…私立学校共済