この記事はここがポイント
- 総務省統計局2025年データで、夫婦世帯の老後30年間生活費不足額は1528万円
- 介護や住宅修繕など予期せぬ支出を加味すると、老後安心に必要な防衛ラインは2368万円
- NISA活用で目標2000万円は、利回り3%で月6.1万円、6%で月4.4万円の積立で達成
厳しい残暑が続く8月、1年もすでに折り返しを過ぎました。先日公表された「令和7年版厚生労働白書」では、日本の人口を100人に置き換えてみたときに、65歳以上が29.3人を占め、1日に2512人もの人口が減少しているという少子高齢化のリアルな現状が示されました。
人口100人でみた日本
筆者はFA(ファイナンシャルアドバイザー)として日々多くのお金に関するご相談を受けていますが、「将来の年金だけで生活できるのか」という不安の声を頻繁に耳にします。特に物価高が続く昨今は、銀行に預けている現金の価値が目減りしてしまうのではと心配される方も少なくありません。しかし、現状の数字を正しく把握し一歩踏み出せば、具体的な解決策は必ず見えてきます。
今回は、公表された最新の調査結果をもとに、いま目指すべき現実的な必要額と、NISA(少額投資非課税制度)を使った無理のない資産形成について解説します。
老後2000万円問題の「今」老後の生活費、毎月の不足額はいくら?
「老後2000万円問題」は2019年に大きな話題となりましたが、物価上昇や年金額の改定を経た最新のデータではどのように変化しているのでしょうか。総務省統計局の「2025年(令和7年)平均結果の概要」に基づき、65歳以上の無職世帯における30年間の生活費不足分を試算してみましょう。
65歳以上の《夫婦のみ・単身》無職世帯それぞれの家計収支
65歳以上《夫婦のみ》無職世帯の家計収支
- 実収入:25万4395円
- 支出合計(消費+非消費):29万6829円
- 毎月の不足額:4万2434円
- 30年間の不足額合計:約1528万円(4万2434円×12カ月×30年)
65歳以上《単身》無職世帯の家計収支
- 実収入:13万1456円
- 支出合計:16万1435円
- 毎月の不足額:2万9980円
- 30年間の不足額合計:約1079万円(2万9980円×12カ月×30年)
最新のデータにおいても、年金などの収入だけでは日常生活を送るうえで毎月数万円の不足が発生するという本質は変わっていません。夫婦世帯では、生きているだけで約1528万円の持ち出しが発生する計算です。
【安心の防衛ライン】介護など予期せぬ3つの支出への備え
予想外の支出にも「備え」を

上記の約1528万円は、あくまで日常の最低限の生活費の不足分です。ここに、毎月の家計調査には反映されにくい「特別な支出」を加算して考えてみます。
生命保険文化センターの2024年度調査によると、介護にかかる費用の目安は以下の通りです。
- 一時費用(住宅改修など):平均47万円
- 月額介護費用:平均9万円
- 平均介護期間:55ヶ月(4年7ヶ月)
これにより、ひとりあたりの介護費用は約540万円(47万円+9万円×55ヶ月)と試算できます。さらに、自宅の修繕や家電の買い替えなどの予備資金として300万円を確保する場合、夫婦の生活費不足分(約1528万円)と合わせると合計で約2368万円となります。
つまり、世間一般で言われる「2000万円」という数字は決して贅沢をするためのものではなく、「将来のリアルなリスクに備えた現実的な防衛ライン」といえるのです。
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びFP2級保有。地方銀行出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
