ファーストリテイリング、純利益5,000億円へ最高益。株価8万円目前、PER47倍を「割高」と切り捨てられない理由
Sundry Photography/shutterstock.com
執筆者泉田良輔LIMO&ファイナンス編集部 編集長
09:17
ファーストリテイリング、純利益5,000億円へ最高益。株価8万円目前、PER47倍を「割高」と切り捨てられない理由
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この記事はここがポイント

  • 海外ユニクロが牽引し、2026年8月期に純利益5,000億円の過去最高益を見込む。
  • 前期ROE20.2%、自己資本比率58.9%と高い資本効率と健全な財務体質。
  • 予想PER47倍、PBR8.9倍は市場が将来の高成長を強く織り込んだ評価。

ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)が、絶好調の決算を続けています。2026年8月期は売上収益が初めて4兆円に迫り、当期純利益は5,000億円と過去最高を見込みます。株価は7月に高値をつけ、7月24日の終値は76,220円。年初の安値56,390円(1月8日)からは約1.35倍で、高値からはやや調整した水準です。この株価をもとにした予想PER(株価収益率)は約47倍。日本株の平均が15倍前後であることを考えると、際立って高い評価です。「業績がよくても、さすがに高すぎる」と感じる人も多いこの銘柄を、業績と株価の関係から読み解きます。

海外ユニクロがけん引する最高益

直近の会社予想(2026年8月期、7月9日時点)は、売上収益3兆9,700億円(前期比16.7%増)、営業利益7,300億円(同29.4%増)、当期純利益5,000億円(同15.5%増)です。前期(2025年8月期)も売上収益3兆4,005億円、営業利益5,643億円と過去最高で、そこからさらに二桁の増収増益を続ける計画です。

けん引役は海外ユニクロ事業です。連結全体の業績では第3四半期(2026年8月期の9か月累計)では売上収益が前年同期比17.1%増、営業利益が同36.2%増ですが、海外ユニクロ事業では、売上収益が前年同期比25.9%増、営業利益が46.2%増となっています。北米や欧州での出店・ブランド確立が進み、国内で磨いた「良い商品を効率よく売る」モデルが世界で通用していることを示しています。

「稼ぐ効率」の高さがこの会社の本質

ファーストリテイリングを見るうえで欠かせないのが、資本効率の高さです。前期のROE(株主資本利益率)は20.2%。これは、株主が預けた資本に対して1年で約2割の利益を生み出したことを意味します。同じ小売業でも、イオンは6.4%、セブン&アイは7.6%程度で、この20%という水準がいかに突出しているかがわかります。

ROEが高い企業は、稼いだ利益を株主資本として積み上げ、その資本がさらに利益を生む「複利」のサイクルが速く回ります。ファーストリテイリングは自己資本比率も58.9%と財務が健全で、高い収益性と強い財務体質を両立させています。長期の株価上昇の背景には、この株主資本の複利によって企業価値そのものが着実に膨らんできたという事実があります。かつて数千円だった株価が数万円になったのは、一時的なブームではなく、利益の積み上げに裏打ちされたものです。

PER47倍・PBR8.9倍——市場は何を織り込んでいるのか

では、株価はこの実力をどう評価しているのでしょうか。株価76,220円をもとにすると、会社予想の1株利益(予想EPS約1,630円)に対する予想PERは約47倍。1株純資産(BPS)約8,579円に対するPBR(株価純資産倍率)は約8.9倍です。純資産の約9倍という値付けは、トヨタ(約1倍)や三菱UFJ(約1.9倍)と比べても格段に高い水準です。

この高さは、株式の評価式で整理すると理解しやすくなります。PBR = ROE × PERという関係でみると、ROEが20%と高いこと自体がPBRを押し上げる要因です。加えてPERが47倍まで買われているのは、市場が「この高い成長がこれからも続く」という強い期待を株価に織り込んでいるからにほかなりません。裏を返せば、株価はすでに明るい未来をかなりの程度先取りしている、ということでもあります。

投資家はどう受け止めればよいか

成長株の難しさは、まさにここにあります。高い成長期待が続くうちは高いPERが正当化されますが、成長がわずかでも鈍化すれば、利益は伸びていても株価が大きく調整するということが起こり得ます。過去の平均的なPERの範囲を大きく超えた水準で買う場合、どこで利益を確定し、どこで見切るかの判断が難しくなる点は、あらかじめ意識しておきたいところです。

一方で、企業としての質の高さは折り紙つきです。予想配当は1株640円と増配基調で、海外の成長余地もなお大きい。懸念材料としては、円安による調達コストの上昇や、一部のグローバルブランド事業の採算、販管費の増加などが挙げられます。株価の水準が高いだけに、決算の中身が期待に届くかどうかで株価が振れやすい局面です。「良い会社」であることと「今が買い時の株」であることは必ずしも同じではない——この銘柄は、その違いを考えるうえでまさに今注目です。

泉田良輔
執筆者泉田良輔LIMO&ファイナンス編集部 編集長

日本の株式市場のバリュエーションを上げるために欠かせない銘柄ファストリ

日本の株式市場のバリュエーションは上昇してきたとはいえ、グローバルで見るとまだ低い水準です。

バリュエーション、つまり、PERやPBRを考えるうえで欠かせないのがROE。

これまで日本企業のROEは8%を下回ることが多く、そのため「伊藤レポート」で、まずは8%を目指しましょうということになりました。

その結果、ROEに関しては多くの上場企業が意識するところとなり、三菱UFJFGも12%程度にまで上昇してきたのは以前の記事で記載した通りです。

さて、今回取り上げた皆さんご存じのユニクロことファストリのROEは一般的な日本企業の水準を大きく超えています。

PBR=PER×ROE

この関係性は有名ですが、結果、PBRの水準も大きく違います。

もちろんビジネスモデルが違うことによる企業への評価が異なるために起きることですが、日本の株式市場全体の評価を上げるには欠かせない企業の見本ということになります。

さて、PERに関しては将来の成長性を織り込みます。

ファストリに関しては今回見たように海外でのポテンシャルが多分にあります。

PERの正しさを測るには、そこを調査する必要があります。ポイントはブランド力と展開余地です。

したがって、世界の人にユニクロがさらに受け入れられるか、またその普及率、市場シェアなどがカギとなります。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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