この記事はここがポイント
- 富裕層は2023年過去最高約165.3万世帯に増加、株価高騰・円安が要因。
- 投資で資産を増やす「いつの間にか富裕層」や年収3000万円超世帯が増加。
- 富裕層の投資は年収3000万円超でオルタナティブ、5000万円超でFX・現物資産に多様化。
2026年も折り返し地点を迎え、将来の資産形成や老後資金について改めて考える方も多いのではないでしょうか。
経済の先行きが不透明な中、実は日本国内では純金融資産1億円以上を持つ「富裕層」の数が過去最多を更新し続けています。
私はファイナンシャルアドバイザー(FA)として、日々多くの働き世代の方々から資産形成や老後資金のご相談を受けています。
ブライダル業界や保険業界での経験を経て、現在はお客様一人ひとりに寄り添い、専門用語を使わない「シンプルで分かりやすい」アドバイスを心がけてきました。
最近の相談現場では、特別な高収入でなくとも着実に資産を増やしている方が増えていると肌で感じています。
なぜ今、富裕層は増えているのでしょうか。最新の調査データから、普通の会社員からでも資産を築くためのヒントを探ります。
【富裕層ピラミッドは5階層】純金融資産5億円以上「超富裕層」は約11.8万世帯
「お金持ち」と一言でいっても、その基準は人それぞれです。株式会社野村総合研究所では、預貯金や株式といった金融資産の合計から、住宅ローンなどの負債を差し引いた「純金融資産額」を基準に、各世帯を5つのカテゴリーに分類しています。
純金融資産額で見る5つの階層と世帯数
- マス層(3000万円未満):約4424.7万世帯
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):約576.5万世帯
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):約403.9万世帯
- 富裕層(1億円以上5億円未満):約153.5万世帯
- 超富裕層(5億円以上):約11.8万世帯
この分類に基づくと、純金融資産が1億円以上の世帯を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と位置づけています。最新の推計では、これら2つの層を合計すると約165万3000世帯にのぼります。
これは日本の全世帯のうち、およそ33世帯に1世帯(約3%)が富裕層に該当するという計算です。現状、日本で最も割合が大きいのは純金融資産3000万円未満の「マス層」で、全体の約8割を占めています。
富裕層というと自分とはかけ離れた世界に感じるかもしれませんが、実際にはマス層から着実に資産を増やし、準富裕層やそれ以上の階層へと移行する世帯が近年増加傾向にあります。
【いつの間にか富裕層】資産を育てる2つの新富裕層はどんな人たち?
リーマン・ショックや東日本大震災の直後には一時的に減少したものの、日本の富裕層・超富裕層はここ10年ほど著しい勢いで拡大を続けています。
右肩上がりで成長する富裕層の世帯数と資産額
純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移
野村総合研究所の推計によると、2013年に100万世帯を突破して以降も増加し、2023年には過去最高の165万3,000世帯(純金融資産総額469兆円)に達しました。特に近年の急増は、歴史的な株価上昇や円安の進行が主な要因とみられています。
- 2005年:86.5万世帯 / 213兆円
- 2013年:100.7万世帯 / 241兆円
- 2023年:165.3万世帯 / 469兆円
投資で資産を「育てる」2つの新しい富裕層
近年、地主や企業の創業者といった従来型の資産家とは異なる、新しいタイプの富裕層が登場しています。
「いつの間にか富裕層」
特別な高年収ではなくとも、40〜50代の会社員が長年の勤務と並行して投資を続け、複利効果で資産を築き上げた層。
「スーパーパワーファミリー」
パワーカップルをさらに上回る、世帯年収3,000万円を超える都市型の共働き世帯。50代にかけて急速に資産を形成するのが特徴。
彼らに共通しているのは、資産を単に「守る」だけでなく「育てる」という意識です。
実際、私のところへご相談に来られる方の中にも、すでにこの層に達しているのに全く自覚がないという方がいらっしゃいます。コツコツと長年の投資を続けた結果、ご自身でも気づかないうちに資産が増えていたというケースは少しずつ増えています。
【年収3000万・5000万の壁】富裕層の資産ポートフォリオをみる
株式会社博報堂の博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)が発表する「新富裕層調査2025」では、富裕層の資産ポートフォリオが明らかになりました。
世帯年収別での「金融資産1億円以上」世帯/「同5億円以上」世帯の構成比」
「株式」や「NISA」はインカムリッチ(高所得者)の間で広く浸透しており、世帯年収による差はほとんどありません。しかし、年収が「3000万円」「5000万円」を超えるタイミングで、投資先は一気に多様化・高度化していきます。
世帯年収3000万円以上:オルタナティブ資産への進出
リスク資産や現物資産への投資が拡大。一般的な投資から一歩踏み出し、独自の運用を行う傾向が目立ち始めます。
- 暗号資産(仮想通貨等): 21.8%
- アクティブファンド: 20.9%
- REIT(不動産投資信託): 20.7%
世帯年収5000万円以上:専門的な金融商品と「現物」の保有
年収5000万円を超えると、よりニッチで専門的な金融商品に加え、インフレに強い「現物資産」への投資がさらに加速します。
- 高度な金融商品: FX(28.2%)、社債(22.9%)、先物・オプション(16.0%)、プライベートエクイティ(15.4%)
- 価値ある現物資産: 時計・宝飾等(23.5%)、金(21.0%)、アート(16.8%)
実際、私がお客様のご相談をお受けする中でも、まずはNISAや株式といった基本的な資産運用からスタートし、資産や年収の増加に合わせてオルタナティブ資産や現物資産へと運用の幅を広げていかれる方を多く見てきました。
最初から高度な金融商品を目指す必要はなく、ご自身のステージや資産の成長に合わせてステップアップしていくことが、着実な資産形成への近道だと感じています。
まとめにかえて
本記事では日本国内における「富裕層」の方たちについて解説しました。近年では従来とは違い、投資で資産を育てる新しいタイプの富裕層が増加しているようですね。実際に筆者もお客様の相談に乗る中で、以前と比べると金融リテラシーの高いお客様が年々増えてきていると顕著に感じます。
もちろん投資にはリスクが伴いますが、将来に向けてお金を育てるという長期的な目線で考えることが大切です。まずは少額からでも始められる新NISAやiDeCoといった、税制優遇のある制度を賢く活用してみるのもいいかもしれませんね。
働き世代の方がこれから資産形成を始めるなら、まずはご自身のライフプランに合った無理のない金額からスタートすることが成功の秘訣です。私自身、これまで多くのお客様をサポートしてきましたが、専門用語に惑わされずシンプルな仕組みで長期投資を続ける方ほど、着実に結果を出されています。何から始めればいいか迷った時は、ぜひ身近なファイナンシャルアドバイザーを頼ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格、FP2級及びTLCを保有。オリックス生命出身。若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

資産運用と聞くと少しハードルが高く感じるかもしれませんが、焦る必要はありません。ご自身のペースで、将来の安心に向けた準備を少しずつ始めていくことが何より大切です。
日々の生活を楽しみながら、お金にも働いてもらう仕組みづくりを一緒に考えていきましょう。