執筆者加藤 聖人2級ファイナンシャル・プランニング技能士
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
18:30

過去の運用成果を比較すると何が違う?

「オルカン」や「S&P500」をベンチマークとするファンドは複数ありますが、今回は三菱UFJアセットマネジメントが設定している以下2本の運用実績を比較してみましょう。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の運用実績

三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、米国を中心としつつも、欧州・日本・新興国など世界中の株式市場に分散投資しています。

三菱UFJアセットマネジメントが公表している騰落率(分配金再投資)を見ると、以下のようになっています。

【2026年7月15日基準】

  • 1ヵ月:+1.99%
  • 3ヵ月:+9.05%
  • 6ヵ月:+11.62%
  • 1年:+35.36%
  • 3年:+96.86%
  • 5年:+147.83%
  • 設定来:+283.35%

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用実績

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、米国を代表する約500社に集中投資するファンドです。

米国企業は成長力が高く、特にIT・ハイテク分野の拡大を背景に、長期的に高いリターンを上げてきました。

同じく三菱UFJアセットマネジメントが公表している騰落率(分配金再投資)を見ると、以下のようになっています。

【2026年7月15日基準】

  • 1ヵ月:+2.84%
  • 3ヵ月:+10.75%
  • 6ヵ月:+11.91%
  • 1年:+33.45%
  • 3年:+101.25%
  • 5年:+169.78%
  • 設定来:+349.70%

どちらが優勢か?期間によって順位が入れ替わる点に注意

3年・5年・設定来といった長期の期間で見ると、米国市場に集中投資するS&P500が、オルカンに比べてリターンの大きさで上回る傾向にあります。

設定来のリターンでは、S&P500が+349.70%であるのに対し、オルカンは+283.35%と、60ポイント以上の差がついています。

一方で、直近1年間の騰落率を見ると、オルカン(+35.36%)がS&P500(+33.45%)をわずかに上回っています。

このように、常にS&P500に軍配が上がるわけではなく、期間の切り取り方によって順位が入れ替わることもある点には注意が必要です。とはいえ、米国市場の動向によっては大きく値下がりするリスクもあるため、どちらが良いとは一概には言えません。

村岸 理美
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

騰落率とは、スタート時点の価格が異なる商品同士の実力を公平に比べるための「共通のモノサシ」であり、一定期間でお金が何%増減したかを示すリアルな成績表です。

ちなみに、国内に数千本ある投資信託と比較しても、オルカンやS&P500が近年叩き出している数字は極めて優秀な部類に入ります。これほど低コストで高い実績を出し続けているからこそ、NISAのツートップとして多くの投資家に選ばれているわけですね。

「オルカン」vs「S&P500」100万円投資、30年間放置したらどうなる?

では、「オルカン」と「S&P500」に100万円を投資し、30年間放置したらどうなるのかをシミュレーションしてみます。

なお、投資では必ず価格変動のリスクが伴うため、あくまでも過去の運用実績であることを理解しておきましょう。

※設定来の騰落率を年平均成長率(CAGR)に換算してシミュレーション ※CAGR(パーセント)=[(X年目の数値÷1年目の数値)^ {1 ÷(X-1)}-1]×100

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に100万円投資し、30年間放置した場合

オルカンの設定来の騰落率(+283.35%)を年平均成長率(CAGR)に換算すると、約19.0%となります(2018年10月31日〜2026年7月15日、約7.7年間と仮定)。

仮に、100万円を年率19.0%で運用できた場合、30年後の資産額は「約1億8685万円」となります。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に100万円投資し、30年間放置した場合

こちらも同様に、設定来の騰落率(+349.70%)を年平均成長率(CAGR)に換算すると、約20.6%となります(2018年7月3日〜2026年7月15日、約8.0年間と仮定)。

仮に、100万円を年率20.6%で運用できた場合、30年後の資産額は「約2億7468万円」となります。

【注意】設定来のCAGR(年平均成長率)を将来にそのまま当てはめない

今回のシミュレーションに使用した年平均成長率(CAGR)は、あくまでも近年の好調な相場を反映した数値になっています。

年率19〜21%という数字は、歴史的にも極めて高い水準であり、今後も同様のパフォーマンスが続くとは限りません。

より現実的な視点として、運用利回りを年1〜10%と仮定した場合に、30年後の資産額がどの程度になるのかをシミュレーションしたので、参考にしてください。

  • 利回り1%の場合:約135万円
  • 利回り2%の場合:約181万円
  • 利回り3%の場合:約243万円
  • 利回り4%の場合:約324万円
  • 利回り5%の場合:約432万円
  • 利回り6%の場合:約574万円
  • 利回り7%の場合:約761万円
  • 利回り8%の場合:約1006万円
  • 利回り9%の場合:約1327万円
  • 利回り10%の場合:約1745万円

※初期投資額100万円、複利計算にて算出 ※本シミュレーションは、実際の運用結果を保証するものではありません

まとめにかえて

オルカンとS&P500は、どちらもNISAで人気の高い投資先ですが、その性格には違いがあります。 過去の運用実績では、設定来・3年・5年といった長期の期間でS&P500がオルカンを上回る傾向にありますが、直近1年ではオルカンが上回る局面もあり、常に一方が優勢とは限りません。

また、シミュレーションで見たとおり、わずか1〜2ポイントの年率リターンの差でも、長期の複利運用では最終的な資産額に数千万円単位の差が生まれます。

ただし、高い実績利回りをそのまま将来に当てはめるのは現実的ではなく、年1〜10%という現実的な利回りでの試算もあわせて確認しておくことが大切です。

筆者自身も、証券会社時代の経験と現在の投資家としての実感から、オルカンとS&P500のどちらか一方に絞りきれない場合は、両方を組み合わせて保有するのも十分に合理的な選択だと考えています。

米国市場の力強い成長を取りこぼさず、世界にも幅広く分散しているという精神的な安心感を得ることができますよ。

大切なのは、過去の数字に期待しすぎず、自分が続けやすい商品を選び、長期で積み立てていくことです。

村岸 理美
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

どちらも低コストのインデックスファンドとして人気が高い銘柄ですが、最終的には「相場の下落時でも自分が信じて持ち続けられるか」が最大のポイントになります。

どちらを選んだとしても、長期的な資産形成のベースとしては非常に優秀で素晴らしい選択です。一時的な値下がりに一喜一憂せず、まずはご自身の無理のない範囲で、淡々と積み立てを継続していきましょう。

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