【厚生年金】標準夫婦の年金は「月額23万円」、手取りはいくら?《元メガバンク銀行員が解説》夫婦世帯の家計収支をもとに天引きされる5つのお金と手取り額の目安を試算
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執筆者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
10:11
【厚生年金】標準夫婦の年金は「月額23万円」、手取りはいくら?《元メガバンク銀行員が解説》夫婦世帯の家計収支をもとに天引きされる5つのお金と手取り額の目安を試算
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この記事はここがポイント

  • 2026年度夫婦モデル年金月23万7279円は額面。税・社会保険料控除後手取りは20万~21万3000円
  • 年金からは所得税、住民税、介護保険料、健康保険料等が特別徴収で天引きされる
  • 年金振込通知書(毎年6月頃送付)で年金額・控除額の内訳を確認しよう

2026年度は公的年金額が引き上げられ、標準的な夫婦のモデル年金は月23万7279円となりました。

この金額を見ると、「モデルケースに該当する夫婦は、毎月23万円以上受け取れる」と考える方もいるかもしれませんが、実際に振り込まれる金額は額面どおりではありません。

筆者は銀行員時代、年金の入金があった直後にお客様から「年金額が上がったと聞いたのに、通帳の金額が思ったより増えていない」というご相談を受けることが度々ありました。

実際には、額面の年金額から税金や社会保険料が天引きされているケースがほとんどで、この仕組みを知らずに戸惑われる方が多い印象を持っています。

公的年金からは、一定の条件を満たすと所得税や住民税、介護保険料、健康保険料などが天引きされるため、手取り額は少なくなります。

年金生活では、毎月受け取る金額が家計に直結するため、「いくらもらえるか」だけでなく、「実際にいくら手元に残るのか」を把握することが大切です。

本記事では、2026年度の年金額をもとに標準的な夫婦の手取り額の目安を紹介するとともに、公的年金から天引きされる5つのお金と、毎年届く「年金振込通知書」で確認したいポイントについて解説します。

2026年度の標準的な夫婦の年金額は月23万円超。ただし手取りは減る

2026年度は、公的年金額が前年度から引き上げられ、老齢基礎年金(国民年金)は前年度比1.9%、老齢厚生年金(報酬比例部分)は同2.0%の増額となりました。

厚生労働省が公表している2026年度の年金額の目安は、次のとおりです。

令和8年度の年金額の例

令和8年度の年金額の例
令和8年度の年金額の例
  • 国民年金※1:7万608円(1人分)
  • 厚生年金※2:23万7279円(夫婦2人分)
    ※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
    ※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

注意点として、厚生年金の23万7279円はあくまでも「額面の金額」です。

実際には、税金や社会保険料などが年金から天引きされるため、振り込まれる金額はこれより少なくなります。

モデルケースの23万7279円という数字はあくまで額面であり、そこから税金や社会保険料が天引きされます。ニュースなどで取り上げられる「年金額改定」の数字は額面ベースであることが多いため、この認識のズレは非常に起こりやすいものだと感じています。

標準的な夫婦の年金「23万円」の手取りはいくら?

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見てみましょう。

「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支

65歳以上の生活費

65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の収入

  • 収入合計:25万4395円
  • うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の支出

  • 消費支出:26万3979円
  • 非消費支出:3万2850円

支出合計29万6829円

この世帯の場合、ひと月の収入は25万4395円、その約9割の22万8614円を公的年金などの社会保障給付が占めます。

一方で支出の合計は29万6829円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万2850円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が26万3979円でした。

このケースでは、実収入の約10%が税金や社会保険料などの非消費支出となっています。

もちろん、実際の天引き額は居住地や所得、扶養の有無などによって異なりますが、標準的な夫婦のモデル年金(月23万7279円)に当てはめると、手取り額はおおむね20万〜21万3000円程度になると考えられます。

「年金は23万円もある」と思っていても、実際に自由に使えるお金はそれより少なくなる点は知っておきたいポイントです。

では、公的年金からは具体的にどのようなお金が差し引かれているのでしょうか。

次章では、年金から天引きされるお金について見ていきます。

夫婦世帯の場合、片方が扶養に入っているかどうかで国民健康保険料や介護保険料の算定基準が変わってきます。夫が厚生年金、妻が国民年金のみというモデルケースの世帯構成では、妻が夫の被扶養者として扱われるケースが多く、この場合は単身世帯とは天引きの構造が異なります。記事の試算はあくまで目安ですが、実際の手取り額はご自身の自治体の保険料率や扶養状況によって変わってくる点は、念頭に置いておいていただきたいと思います。

年金から天引きされる主なお金とは?

前述したように、年金は支給額がそのまま振り込まれるわけではありません。

一定の要件を満たす場合は、現役時代の給与と同様に、税金や社会保険料があらかじめ差し引かれたうえで支給されます。

この仕組みは「特別徴収」と呼ばれています。

主に年金から天引きされる項目は、以下のとおりです。

【年金から天引きされる社会保険料】

  • 介護保険料
  • 健康保険料(国民健康保険料または後期高齢者医療保険料)

【年金から天引きされる税金】

  • 所得税
  • 住民税

どの項目が天引きされるかは、年齢や加入している医療保険、所得、居住する自治体などによって異なります。

それぞれの内容を見ていきましょう。

年金から天引きされる「社会保険料」

年金から差し引かれる主な社会保険料には、介護保険料と健康保険料があります。

介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料とあわせて納付しますが、65歳以降は原則として年金から天引きされる仕組みです。

また、介護サービスを利用していても、保険料の納付義務は原則として継続します。

健康保険料については、加入している医療保険制度によって異なります。

75歳になると、原則として後期高齢者医療制度へ移行し、後期高齢者医療保険料が年金から天引きされるケースがあります。

年金から天引きされる「税金」

一定額以上の公的年金を受給している場合は、所得税や住民税も年金から差し引かれます。

所得税には、東日本大震災の復興財源として課されている復興特別所得税も含まれます。

また、住民税についても一定の所得がある場合は、年金から特別徴収されます。

ただし、年金収入や所得が一定額以下の場合は、住民税が非課税となるケースもあります。

税額は年金額や各種控除、自治体ごとの基準などによって異なるため、人によって実際の天引き額には差があります。

6月に届いた「年金振込通知書」で天引き額を確認しよう

年金受給者には、毎年6月頃に日本年金機構から「年金振込通知書」が送付されます。

年金振込通知書

年金振込通知書
年金振込通知書

通知書には、年金額や実際の振込額に加え、所得税や介護保険料、健康保険料などの控除額も記載されています。

額面の年金額だけでなく、どの項目でどれだけ天引きされているのかを確認することで、自分の実際の手取り額を把握しやすくなります。

年金を受給している方は、毎年届く通知書を一度確認しておくとよいでしょう。

額面だけでなく「手取り額」を確認して老後の家計を考えよう

本記事では、2026年度の年金額をもとに、標準的な夫婦の手取り額の目安を紹介しました。

2026年度の標準的な夫婦のモデル年金は月23万7279円ですが、この金額はあくまで額面であり、実際には所得税や住民税、介護保険料、健康保険料などが天引きされます。

そのため、実際に自由に使えるお金は額面より少なくなる点を理解しておくことが重要です。

老後の家計を正しく把握するためには、額面の年金額だけを見るのではなく、実際の手取り額や天引きの内訳を確認し、自分の生活設計に役立てていきましょう。

中本 智恵
執筆者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

元銀行員の筆者からのコメント:「振込通知書、見たことありますか?」と伺うと

筆者は元銀行員ですが、年金生活を送っているシニア世帯のお客様とお話する機会も多かったです。「年金振込通知書、目を通されていますか」とお伺いすると、「届いているのは知っているけれど、詳しく見たことはない」とおっしゃるお客様が実は多くいらっしゃいました。額面と手取りの差に気づくきっかけは、まさにこの通知書なのですが、封筒を開けずにしまい込んでしまう方が少なくない印象です。

とくにお伝えしたいのは、記事にある5つの天引き項目のうち、ご自身がどれに該当しているかは年齢や医療保険の加入状況によって変わってくるという点です。たとえば64歳までと65歳以降とでは介護保険料の徴収方法が変わり、75歳になると後期高齢者医療制度への移行で天引きの内訳がさらに変化します。銀行の窓口でも、「去年と天引き額が違う」というご相談を受けた際、よくよく確認すると、ちょうど後期高齢者医療制度への移行や、住民税の課税区分が変わったタイミングだったというケースが多くありました。

ご自身の天引き額が年によって変動した場合、それが単なる保険料率の見直しなのか、それとも非課税・課税の境目をまたいだ結果なのかを、通知書の内訳と照らし合わせて確認してみることをおすすめします。

まずは今年届いた通知書を実際に開封し、額面・天引き額・手取り額の3つの数字を確認するところから始めてみてください。この一手間が、老後の家計管理の解像度を大きく上げてくれるはずです。

参考資料

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中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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