【2階部分の選択】加入300月が分岐点?「老齢厚生年金」が逆転するケース
次に、2階部分の障害厚生年金と老齢厚生年金を比較します。
障害厚生年金と老齢厚生年金の受給額
平成15年4月以降に初めて厚生年金に加入した場合、障害厚生年金(障害等級2級)と老齢厚生年金の受給額(基本額)は次の通り計算します。障害等級1級の受給額は2級の1.25倍です。
- 受給額=平均標準報酬額(※) × 5.481/1000 × 加入期間(月数)
※各月の給与や賞与を基にした「標準報酬月額」と「標準賞与額」の総額を加入期間で割って計算した金額のことです。
計算式は同じでも計算式の加入期間は以下の通り異なります。
- 障害厚生年金:障害認定日(※)の属する月までの厚生年金加入期間
- 老齢厚生年金:65歳の誕生月の前月(1日生まれの人は前々月)までの厚生年金加入期間
※原則、障害の原因となった病気やけがなどで初めて医師等の診断を受けた日(初診日)から1年6か月を経過した日を指します。
ずっと働き続けて厚生年金を払ってきた場合はどうなりますか?
【長く働いた方は老齢厚生年金が有利になることも】
障害認定日以降も厚生年金に加入して働き続けている場合、老齢厚生年金の方が加入期間が長くなるため、額面では障害厚生年金(2級)よりも多くなる傾向があります。 ただし、厚生年金加入期間が300月未満の場合、障害厚生年金は「300月みなし」で計算される特例があるため、一概には言えません。
「長く働いたから老齢年金の方が絶対に多い」と言い切れないのが年金の複雑なところですが、障害等級が1級となるとさらに少し事情が変わってきますか。
【1級の場合は障害厚生年金が有利なケースも】
障害等級1級の場合は受給額が2級の1.25倍になるため、結果的に障害厚生年金の方が多くなるケースが目立ちます。 実際の年金相談でも、障害等級1級の方は基礎・厚生ともに障害年金を選ぶ方が大半です。一方、障害等級2級で65歳までお仕事を続けられた方は、「障害基礎年金 + 老齢厚生年金」の組み合わせを選ぶ方が多くいらっしゃいます。
年金額以外の年金選択のポイント
年金の選択は、額面の比較だけで決めると損をすることがあります。以下を考慮して年金を選択することが重要です。
- 障害年金は非課税、老齢年金は課税対象であること
- 受給額は基本額だけでなく加算(加給年金や振替加算など)を含めて計算すること
- 厚生年金基金の受給権者はその受給額を老齢厚生年金に加算して受給額を計算すること
- 年金生活者支援給付金の有無を考慮すること
すべてを理解して正しく判断することは難しいため、障害年金受給者が65歳になった時、年金事務所で相談、手続きすることをおすすめします。年金にかかる具体的な税額や社会保険料を除き、疑問点の大半は解決するでしょう。
おわりに
2026年度の障害基礎年金は、1級が月8万8260円、2級が月7万608円に改定されました。公的年金は一人一年金が原則ですが、65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」など支給事由の異なる年金の併給が可能です。
受給額を見ると、基礎年金は障害年金、厚生年金は老齢年金が有利になるケースが多いものの、非課税メリットや加給年金・振替加算、年金生活者支援給付金まで含めると、最適な選択は人それぞれです。65歳になったら、年金事務所で相談して年金選択手続きをしましょう。
参考資料
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元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
