この記事はここがポイント
- 70歳代二人以上世帯の年金生活は、月2.7万~3.7万円の赤字。
- 70歳代二人以上世帯の金融資産は平均2416万円、中央値1178万円と格差。
- 公的年金のみで生活する高齢者世帯は43.4%に留まり、個別の収支把握と対策の重要性。
筆者はFPとして、これまで多くの方の家計相談や老後資金のシミュレーションをサポートしてきました。ご相談者の中には「平均額以上あるから大丈夫」と安心される方もいれば、「平均に届いていないから不安」と焦る方も少なくありません。しかし実際のところ、老後の安心感を決めるのは資産額そのものよりも、「毎月いくら取り崩すことになるのか」という収支のバランスなのです。
本記事では、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額や年金受給額、家計収支の実態を確認しながら、公的年金だけに頼る老後生活の注意点について解説します
【70歳代・二人以上世帯】金融資産保有額の平均と中央値を確認
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、70歳代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見てみましょう。
※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
「60歳代・70歳代」二人以上世帯の金融資産保有額
金融資産保有額の平均値・中央値
- 70歳代:平均値2416万円、中央値1178万円
金融資産保有額の平均値を見ると、70歳代では2416万円と、いわゆる「2000万円」を上回っており、老後も比較的安定した生活が送れそうに見えます。
しかし、中央値は1178万円にとどまっており、実際には「平均ほど資産を持っていない世帯が多数派」であることがわかります。
さらに、60歳代から70歳代にかけて中央値が減少している点からは、退職後に貯蓄を取り崩す生活へ移行している実態も読み取れます。
金融資産非保有世帯の割合
この調査における金融資産には普通預金残高が含まれないものの、70歳代ではおよそ1割の世帯が「金融資産非保有」に該当します。
高齢期は働く機会が限られるため、収入が公的年金に大きく依存するケースも多く、家計の余裕は世帯によって大きく異なります。
こうしたデータを見ると、70歳代の家計は「平均貯蓄額」だけでは実態を把握しにくいことが分かります。
老後収入の柱となる国民年金・厚生年金の平均月額
老後に取り崩せる資産が少ない場合、生活費の大部分を公的年金等の収入に頼ることになります。
では、現代のシニアはどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金のみを受け取る場合と、国民年金+厚生年金を受け取る場合の平均月額を見てみましょう。
【国民年金の平均月額】
国民年金の平均月額
- 全体 5万9310円
- 男性 6万1595円
- 女性 5万7582円
【厚生年金の平均月額】
厚生年金の平均月額
- 全体 15万289円
- 男性 16万9967円
- 女性 11万1413円
※国民年金部分を含む
国民年金の平均月額は5万9310円、基礎年金部分を含む厚生年金の平均月額は15万289円となっています。
ただし、年金額は現役時代の収入や加入期間によって大きくばらつきます。
厚生年金を含めても、受給額は1万円未満から30万円以上まで幅広く分布しており、平均値だけでは実態をつかみにくいのが実情です。
平均的な数字だけを見ると「これだけで生活できるのかな…」と少し不安になってしまうかもしれませんね。ですが、まずはご自身の「ねんきん定期便」などで実際の受給予定額をしっかりと受け止め、そこからどうやりくりしていくかを前向きに一緒に考えていきましょう。
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証券会社出身。約8年間にわたり株式や投資信託、生命保険の販売に従事。現在はフリーライター兼個人投資家として活動中。FP2級や一種外務員の知識と自身の投資実務を活かし、マーケット動向を注視した金融記事を精力的に執筆している。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
