この記事はここがポイント
- 親の死後、口座凍結前の預金引き出しは相続トラブルの元。
- 相続トラブル時、遺産分割前の相続預金払戻し制度(上限150万円)が活用可能。
- 葬儀費用など当座の費用は、生命保険や年間110万円の生前贈与で事前準備が有効。
お盆が近づき、実家への帰省を予定している方も多いこの時期。久しぶりに実家の家族と会うことで、「もし親に何かあったとき、お金のことはどうなるのだろう」と心配になることも珍しくありません。
筆者は銀行員時代、多くの相続手続きを受け付けてきましたが、中でも特に多かったのが「親が亡くなったあとの当座の資金の工面に苦労している」という声です。
ここでは、親が亡くなった後の預金の取り扱い方や事前の対策方法についてくわしく紹介します。
死亡届の提出前でもATMで出金するのはおすすめできない
親が亡くなった後に、「口座が凍結される前に資金を引き出しておきたい」と考える方がいます。たしかに、口座が凍結されていなければ、ATMで出金操作をすること自体は可能です。
しかし、預金者が亡くなった後に口座から引き出すことはおすすめできません。これは、親が亡くなった時点で預金が相続財産となるためです。
相続財産は相続人全員の共有財産であり、一部の相続人が単独で引き出す行為は、他の相続人の権利を侵害することになりかねません。葬儀費用や入院費などの当座の費用が必要であったとしても、後々トラブルの種になる可能性があります。
「当面の生活費を引き出したい」「葬儀費用を準備したい」といった場合は、金融機関の相続手続きを早急に進めて資金を引き出すことが第一の選択肢です。
なお、「我が家は仲がいいから相続トラブルにはならない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、相続に関するトラブルは年々増加しており、決して他人事ではありません。続いての章でくわしく解説していきましょう。
相続トラブルは年々増加傾向にある
司法統計によると、遺産分割事件数は次のとおりとなっています。
- 2025年:1万6431件
- 2020年:1万1303件
- 2015年:1万2615件
- 2010年:1万849件
およそ右肩上がりに増加しており、相続に関するトラブルは年々増えています。
相続トラブルは富裕層だけの話ではないからこそ、親が亡くなった後にATMから資金を引き出すようなイレギュラーな取り扱いは控えるべきといえるでしょう。
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大学卒業後、銀行に10年間勤務。個人・法人営業として投資信託や保険等の提案・販売に従事。現在はその経験を活かし、金融専門ライターとして活動中。2級FP技能士など保有。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
