「現代のシニア」は誰と暮らし、収入のうち「年金の割合」はどれくらいなのか【60歳代以上】平均的な年金月額と生活費「年金だけに頼らない備え」が老後のゆとりを左右
metamorworks/shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
監修者宮野 茉莉子LIMO&ファイナンス編集部 副編集長
20:09
「現代のシニア」は誰と暮らし、収入のうち「年金の割合」はどれくらいなのか【60歳代以上】平均的な年金月額と生活費「年金だけに頼らない備え」が老後のゆとりを左右
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この記事はここがポイント

  • 65歳以上無職世帯は年金収入のみで生活費不足、月4万円台の赤字となる家計。
  • 高齢者世帯の約4割は年金のみ、約6割が収入の8割以上年金である現状。
  • 公的年金に頼らず、iDeCoや新NISA活用など、老後資金の備えが必須。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」が2026年7月15日に公表されました。それによれば、生活を苦しく感じている高齢者は半数を超えています。

「老後は自分の好きなことをする時間を過ごしたい」「趣味や旅行を楽しみたい」という方も多いでしょう。ただし、少子高齢化の現代においては、公的年金だけでゆとりある老後を過ごすのは難しいものです。

40~50歳代を子どもの教育費や住宅ローンなどに費やし、老後を目前にして「想像したよりも年金額が少ない」「老後の生活費の赤字が想像以上に多い」と気づく方もいます。

筆者は長年金融や経済に関する編集者として公的データを確認してきました。一昔前とは比べ、家族形態も、そして経済的な事情も変わった現代だからこそ、時代に即した老後の備えを考えることが大切となります。

今回は現代シニアに視点をあて、基本となる家族形態や公的年金が収入に占める割合について最新の情報を見ていきます。その上で平均的な高齢者の暮らしを確認し、「老後のために行いたい現代の対策」を3つ元銀行員の筆者が解説します。

【現代シニアの生活】誰と暮らしている?

まずは最新の厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」から、現代の高齢者がどのような世帯で暮らしているのか確認しましょう。同資料によると、65歳以上の方は全国で4024万5000人います。その家族形態は、次のようになっています。

高齢者の世帯

高齢者の世帯
出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

  • 夫婦のみの世帯:40.7%(1638万7000人)
  • 子と同居:32.2%(1296万6000人)
  • 単独世帯(ひとり暮らし):23.2%(933万5000人)

もっとも多いのは「夫婦のみ」で約4割、次いで「子と同居」が約3割です。そして、ひとり暮らしがおよそ4人に1人にのぼります。かつては子と同居する高齢者が多くみられましたが、いまは夫婦だけ、あるいは一人で暮らすシニアが多数を占めるようになっているといえます。

男女・年齢別にみると、傾向の違いも表れます。

高齢者の世帯

高齢者の世帯
出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

男性は「夫婦のみ」の割合が高い一方、女性は年齢が上がるにつれて「単独世帯」や「子夫婦と同居」の割合が高くなります。

実際、ひとり暮らしの高齢者のうち女性は62.4%と、男性の37.6%を大きく上回ります。平均寿命の違いなどから、人生の後半を一人で過ごす女性が多いことがうかがえます。さきほどの単身世帯の家計とあわせて考えると、おひとりさまの備えはみな大切ではありますが、とりわけ女性にとって身近なテーマだといえるでしょう。

【現代シニア】収入のうち「年金の割合」はどれくらい?「年金だけに頼らない備え」が老後のゆとりを左右する

老後を支える柱として年金が挙げられますが、高齢者世帯の収入における年金の割合を見ましょう。同じ調査から、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯について、総所得に占める公的年金・恩給の割合別に世帯の構成をみると、次のとおりです。

収入のうちの年金の割合

収入のうちの年金の割合
出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

収入のうち「年金の割合」

  • 100%(年金・恩給だけ):41.3%
  • 80〜100%未満:17.1%
  • 60〜80%未満:14.1%
  • 40〜60%未満:13.6%
  • 20〜40%未満:9.7%
  • 20%未満:4.2%

収入のすべてを公的年金でまかなっている世帯は41.3%。およそ5世帯に2世帯が、年金だけで暮らしている計算になります。さらに、年金が収入の8割以上を占める世帯まで含めると、6割近くに達します。多くのシニア世帯にとって、公的年金は暮らしの土台である一方、それだけに頼りきらない備えができているかどうかが、ゆとりを左右するといえそうです。

公的年金は「2階建て」

では、まず土台である年金を詳しく確認しましょう。日本の公的年金は、2階建てにたとえられます。

厚生年金と国民年金の仕組み
出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等をもとにLIMO&ファイナンス編集部作成

1階は、20歳以上のすべての人が対象となる「国民年金(老齢基礎年金)」。2階は、会社員や公務員が上乗せで加入する「厚生年金」です。自営業やフリーランスの方は1階が中心、会社員はそこに2階が積み上がるイメージです。

つまり、どのような働き方をしてきたかで、受け取る年金の姿は変わってきます。

2026年度(令和8年度)の年金額は?厚生年金と国民年金で見る。平均月額も

公的年金の額は、物価や賃金の動向をふまえて毎年度見直されます。2026年度は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金が2.0%の引き上げとなりました。おもな金額は次のとおりです。

2026年度(令和8年度)の年金額

  • 老齢基礎年金(満額・1人分):月7万608円(1300円の増額)
  • 厚生年金の夫婦2人のモデル世帯:月23万7279円(4495円の増額)

額面は増えましたが、注意したい点もあります。物価が上がり続けるなかでは、金額が増えても、実際に買えるものの量が同じように増えるとはかぎりません。増えた・減ったという数字だけでなく、暮らし全体のなかでどう受け止めるかが大切になります。

では、いま受け取っている人の平均額はどのくらいでしょうか。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均の年金月額(基礎年金を含む)は次のようになっています。

厚生年金と国民年金の平均月額

  • 厚生年金:全体15万289円(男性16万9967円/女性11万1413円)
  • 国民年金(老齢基礎年金):全体5万9310円(男性6万1595円/女性5万7582円)

目を引くのは、厚生年金の男女差です。男性が約17万円なのに対し、女性は約11万円と、6万円ほどの開きがあります。これは、働き方や賃金、加入期間の違いが、そのまま年金額に反映されるためと考えられます。ご自身やご家族の年金を考えるときは、この差も頭に入れておきたいところです。

65歳以上・無職夫婦の生活費は「年金だけで足りていない」

受け取る額がわかったら、次に気になるのは「それで暮らせるのか」という点でしょう。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見てみましょう。

「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支

65歳以上の生活費
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

毎月の収入

収入合計:25万4395円

※うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

毎月の支出

  • 消費支出:26万3979円
  • 非消費支出:3万2850円

支出合計29万6829円

家計収支

▲4万2434円

収入のほとんどを年金などの社会保障給付が占め、それでも毎月4万円台の赤字が生じています。不足分は貯蓄などから取り崩して補うことになります。仮にこの赤字が20年続くと、単純に足し合わせて約1000万円ほどにのぼります。

65歳以上・単身世帯の生活費も「年金だけで足りていない」

単身世帯の家計もみておきましょう。同じ家計調査によると、65歳以上の無職単身世帯の毎月の家計は次のとおりです。65歳以上の無職単身世帯の家計収支

65歳以上の生活費(単身世帯)

65歳以上おひとりさまの生活費
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

毎月の収入

収入合計:13万1456円

※うち社会保障給付(主に年金):12万212円

毎月の支出

  • 消費支出:14万8445円
  • 非消費支出:1万2990円

支出合計16万1435円

家計収支

▲2万9980円

夫婦世帯より収入も支出も小さくなりますが、それでも毎月約3万円の赤字です。住まいや健康の状況によっては、負担がさらに重くなることもあります。おひとりさまほど、早めに家計の見通しを立てておきたいところです。

年金だけに頼らない「現代の老後への備え」を元銀行員がアドバイス

今回平均を見てきましたが、平均に一喜一憂するのではなく、ねんきん定期便やねんきんネットなどでご自身の年金見込み額を確認し、毎月の家計とのギャップを把握すること。そのうえで、「時代と自分に合った老後資金対策」を複数行うことが大切です。

公的年金以外の「老後の収入」を用意する

まず、年金だけに頼りきらないよう、少額でも別の収入や取り崩せる資産を用意するなど「他の収入源」を用意しましょう。個人年金保険やiDeCoといった私的年金もその選択肢の一つですし、貯蓄で備えて取り崩していく方法もあります。

また、「仕事による収入」を得るのも一つ。ずっと働き続けるのは体力的な不安もありますが、細く長く働き続けるという選択肢も、昔に比べれば現代はあるでしょう。

リスク・リターンを洗い出し、非課税制度の利用を考える

収入以外に「今ある貯蓄」について、その資金をどこに置くかで10年、20年後の資産が変わる場合もあります。預貯金だけで大きく増えることはありませんが、保険、債券、投資信託、株式などに投資することで、損をするリスクがある一方、資産を増やせる可能性もあるでしょう。

証券会社で勤務していたころ、退職金や老後資金を預貯金以外でどの金融商品に置けばいいのかといったご相談は多くありました。

人によりリスク許容度はそれぞれ。また、「投資信託」と一口に言っても、投資をしている地域は一国、もしくは先進国、新興国、全世界など様々ですし、金融商品も債券や株式など多様です。

1つずつ具体的に調べていくことで、「この商品であれば自分でも投資できそう」と思われる方もいらっしゃいました。まずは具体的に調べたり、シミュレーションをしたりすることでイメージがしやすくなるでしょう。

新NISAは通常利益に対しかかる約2割の税金が非課税になる制度で、2024年に制度も新しくなり、長期的な資産形成をしやすくなりました。このような制度を自分に合ったリスク許容度でうまく利用するのも一つでしょう。

貯蓄は目的別にわけて管理する

スマホのアプリで貯蓄を管理しやすくなった現代。貯蓄は生活費の補填、趣味や旅行・将来のための資金、車の買い替えやリフォーム、病気や介護…など、目的別に管理をするようにしましょう。これにより使いすぎを防いだり、不安を減らしたりできるものです。

大切なのは、他人の平均ではなく、あなた自身の世帯と数字から考えていくことではないでしょうか。これを機に老後について具体的に考えていきましょう。

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