【高齢者の年金】厚生年金でも「5人に1人」が月10万円未満?最新の受給額分布と、軽度の認知障害による「預金凍結」を避けるための備え
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【高齢者の年金】厚生年金でも「5人に1人」が月10万円未満?最新の受給額分布と、軽度の認知障害による「預金凍結」を避けるための備え

平均寿命は女性87歳。長寿化時代に必要な財源と管理の仕組み

執筆者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
08:01
【高齢者の年金】厚生年金でも「5人に1人」が月10万円未満?最新の受給額分布と、軽度の認知障害による「預金凍結」を避けるための備え
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この記事はここがポイント

  • 厚生年金は月15万円だが約5人に1人が10万円未満、国民年金は約6万円
  • 総務省2025年調査で、65歳以上単身無職世帯は月2万9980円の赤字
  • 平均寿命伸長で老後長期化、約3人に1人が認知症かMCIという実態

老後の生活を支える収入源として、公的年金は欠かせない存在です。

厚生労働省の最新データでは、厚生年金の平均受給額は月約15万円となっていますが、約5人に1人は月10万円未満にとどまっています。

本記事では、現在のシニア世代の国民年金・厚生年金の受給額の実態を確認するとともに、65歳以上の約559万人が該当すると推計される軽度認知障害(MCI)の現状も紹介します。

今のシニア世代の年金受給額の実態を見てみよう

まずは、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、現在のシニア世代が受け取っている年金額の状況を確認します。

【国民年金】平均受給額はいくら?

国民年金月額ごとの受給権者数

国民年金月額ごとの受給権者数
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

国民年金受給者全体(総数)を受給している人の平均月額および受給割合は以下のとおりです。

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

 

  • 1万円未満: 5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満: 21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満: 68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満: 206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満: 388万0083人
  • 5万円以上~6万円未満: 641万0228人
  • 6万円以上~7万円未満: 1715万5059人
  • 7万円以上~: 299万7738人

受給額別では、「6万円以上〜7万円未満」の層に最も多くの受給者が集中しています。

国民年金は満額でも約7万円であるため、国民年金のみで老後の生活を支えるのは容易ではありません。

一方、会社員や公務員などが加入する厚生年金では、平均受給額や受給額の分布はどのようになっているのでしょうか。

続いて、厚生年金の状況を見ていきます。

【厚生年金】約5人に1人が月10万円未満

厚生年金受給者(国民年金を含む)の平均月額および受給割合は次のとおりです。

厚生年金月額ごとの受給権者数

厚生年金月額ごとの受給権者数
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

 

  • 1万円未満: 4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満: 1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満: 3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満: 6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満: 7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満: 10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満: 31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満: 57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満: 80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満: 101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満: 111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満: 107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満: 97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満: 92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満: 92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満: 96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満: 100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満: 103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満: 102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満: 96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満: 85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満: 70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満: 52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満: 35万0004人
  • 24万円以上~25万円未満: 23万0211人
  • 25万円以上~26万円未満: 15万0796人
  • 26万円以上~27万円未満: 9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満: 5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満: 3万0289人
  • 29万円以上~30万円未満: 1万5158人
  • 30万円以上~: 1万9283人

受給額別に見ると、月10万円未満を受給している人は約19.0%(18.98%)となっており、およそ5人に1人が該当します。

一方で、平均受給額は約15万円ですが、加入期間や現役時代の収入によって受給額には大きな差があります。

では、老後の生活費は毎月どれくらいかかるのでしょうか。

老後の生活費は毎月どれくらいかかる?

公的年金は老後生活を支える重要な収入源ですが、受給額だけでなく、実際にどのくらいの生活費が必要になるのかも確認しておきたいポイントです。

総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯では、実収入は月13万1456円、手取り収入にあたる可処分所得は11万8465円となっています。

一方、消費支出は14万8445円で、可処分所得と比べると毎月2万9980円の赤字となっています。

65歳以上の単身無職世帯の家計収支

65歳以上の単身無職世帯の家計収支
出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

【65歳以上 単身無職世帯】

  • 実収入:13万1456円
  • 可処分所得(手取り収入):11万8465円
  • 消費支出:14万8445円
  • 毎月の赤字額:2万9980円

このように、公的年金などの収入だけでは毎月の生活費を賄えないケースもあり、預貯金などを取り崩しながら生活する世帯も少なくありません。

さらに、老後生活は数年ではなく20年以上続く可能性もあるため、長い期間を見据えた資金計画が重要になります。

では、日本では実際にどのくらい長い老後を迎えることになるのでしょうか。

次章では、平均寿命から長寿化の現状を見ていきます。

長寿化で老後は以前よりも「20年以上」続く時代へ

厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳となっています。

平均寿命の年次推移

平均寿命の年次推移
出所:厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」

前年と比べると男性は横ばい、女性はわずかに低下したものの、長期的に見ると平均寿命は伸びており、65歳以降の老後生活が20年以上に及ぶケースも珍しくありません。

老後が長くなるほど、年金収入だけで生活を支えることは難しく、医療費や介護費など将来の支出も考慮した備えが重要になります。

そのなかでも、高齢化に伴って身近な課題となっているのが認知症です。

次章では、65歳以上の高齢者における認知症と軽度認知障害(MCI)の現状について見ていきます。

65歳以上の約559万人が「軽度認知障害(MCI)」という実態

政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」によると、2022年時点で65歳以上の高齢者約3603万人のうち、認知症と推計される人は約443万人(12.3%)、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の人は約559万人(15.5%)となっています。

65歳以上の高齢者における認知症の現状

65歳以上の高齢者における認知症の現状
出所:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」

認知症とMCIを合わせると約1002万人となり、65歳以上のおよそ3人に1人が認知症またはMCIに該当すると推計されています。

長寿化が進む今、老後の備えは年金収入だけでは十分とはいえません。

将来の医療費や介護費も見据えながら、認知症などのリスクを踏まえた資産形成や生活設計を進めていくことが重要です。

【金融ジェロントロジー視点】認知機能の低下が招く「資産管理」のリスク

銀行の窓口でシニア世代のお客様やご家族から相談を受ける中で、近年特に増えていると感じたのが、「親の認知機能が低下し、介護費用を親の預金から引き出せなくなってしまった」というご相談です。

認知症や、その前段階とされるMCI(軽度認知障害)が進行し、ご本人の意思能力を十分に確認できないと金融機関が判断した場合、預金者本人の財産を守るため、預金の払い戻しや定期預金の解約などの手続きが制限されることがあります。

その結果、介護施設の入居費用や医療費を支払いたくても、家族が自由に預金を引き出せず、対応に苦慮するケースも少なくありません。

記事でも紹介したように、65歳以上では認知症またはMCIに該当する方の割合は決して低くなく、誰にとっても身近なリスクになりつつあります。

だからこそ、老後の資産形成では「いくら貯めるか」「年金をいくら受け取るか」だけでなく、「将来、自分でお金を管理できなくなった場合にどう備えるか」という視点も欠かせません。

例えば、認知機能が十分に保たれているうちに、金融機関で代理人の登録が可能か確認しておく、任意後見制度や家族信託など、自分に合った財産管理の仕組みを検討しておくことも有効な選択肢です。

長寿化が進む今、資産を「増やす備え」だけでなく、「必要なときに使える備え」まで考えておくことが、安心した老後につながるでしょう。

年金額の把握に加え、長寿時代に備えた資産形成も大切

本記事では、現在のシニア世代の国民年金・厚生年金の受給額の実態について紹介しました。

厚生年金の平均受給額は月15万289円である一方、約5人に1人は月10万円未満の受給額となっており、年金額には大きな個人差があります。

また、国民年金のみを受給する人の平均月額は約6万円であり、老後の生活費を年金だけで賄うことは容易ではありません。

公的年金は老後の重要な収入源ですが、それだけに頼るのではなく、自分の年金見込み額を確認したうえで、医療費や介護費も見据えた資産形成や生活設計を進めることが、安心したセカンドライフにつながるでしょう。

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