この記事はここがポイント
- 2019年創設の年金生活者支援給付金は、年金収入等基準以下の老齢・障害・遺族年金受給者を支援する制度
- 2026年度給付額は老齢・遺族月額5620円、障害1級7025円、2級5620円に
- 請求書は日本年金機構より送付、給付金は公的年金と同様偶数月15日支給
7月8日に内閣府が公表した「令和8年6月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査」によると、街角の景気実感を示す現状判断DI(季節調整値)は前月差0.4ポイント上昇の44.0となり、緩やかな持ち直しの動きが見られています。マクロな景況感は改善しつつある一方で、筆者自身は普段の食費などでシビアに物価高を実感しており、日々の生活の中では割引やポイントの利用を徹底するなど、お金の使い道にメリハリをつけるよう心がけています。
最近は物価の上昇が続き、年金だけで生活していくことに不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。
これまで日本郵便でのリテール営業や、SNS等を通じてはたらく世代のお金の悩みに寄り添う中で、公的な制度を「知らないと損していることがたくさんある」という現実を幾度となく目の当たりにしてきました。老後の生活を支える年金についても、受給額は人それぞれで現役時代の働き方によって大きく変わるため、利用できる公的制度を漏れなく把握しておくことが安心への第一歩だとお伝えしています。
特に、年金の受給額は人それぞれで、現役時代の働き方によって大きく変わります。
そんな中、公的年金に上乗せして受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知でしょうか。
この制度は、年金収入などが一定の基準額以下である方の生活を支援するためのものです。
この記事では、どのような方が対象になるのか、2026年度の給付額はいくらなのか、そして手続きはどうすればよいのか、といった点を詳しく解説していきます。
ご自身が対象になるか、ぜひ確認してみてください。
年金生活者支援給付金の基本概要
年金受給者の生活を支えることを目的に、2019年に年金生活者支援給付金制度が創設されました。
受給要件を満たした対象者には、2カ月に1回、公的年金の支給日にあわせて年金生活者支援給付金が支給されます。
年金生活者支援給付金制度について
年金生活者支援給付金には3種類があり、受給する基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」にわかれます。
それぞれの所得要件を満たす基礎年金受給者が、この給付金の対象となるということです。
【種類別】年金生活者支援給付金の支給要件
基礎年金を受給している人のうち、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合、「年金生活者支援給付金」がもらえる可能性があるとわかりました。
本章では「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件について、3種類にわけて見ていきましょう。
老齢年金生活者支援給付金の対象となる条件
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
まず老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く ※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
障害年金生活者支援給付金の対象となる条件
障害基礎年金を受給されている方へ
下記の支給要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
遺族年金生活者支援給付金の対象となる条件
遺族基礎年金を受給されている方へ
下記の支給要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
年金生活者支援給付金で受け取れる金額は?
年金生活者支援給付金には、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があり、公的年金に上乗せして支給されます。
ここでは気になる金額について見ていきましょう。
2026年度における年金生活者支援給付金の給付額
2026年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、2025年度に比べて3.2%引き上げられています。
年金生活者支援給付金の給付額
出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
【監修者からポイント解説】夫婦2人で、両方とも支給要件を満たしてたらどうなるの?
結論からお伝えすると、ご夫婦ともに支給要件を満たしていれば、お二人とも年金生活者支援給付金を受け取ることができます。
年金生活者支援給付金は、世帯単位ではなく「個人単位」で支給される制度です。そのため、ご夫婦それぞれが支給要件を満たしていれば、ご主人と奥様の両方が給付金を受け取ることができます。ただし、注意点もあります。
手続きは「それぞれ」必要
まず、給付金を受け取るための請求手続きは、ご夫婦それぞれが個別に行う必要があります。対象となった場合は、それぞれに案内が届きますので、忘れずに手続きを行いましょう。
一方、すでに給付金を受け取っている方は、新たに手続きをする必要はありません。毎年、日本年金機構が支給要件を確認し、引き続き対象となる場合は自動で支給が継続されます。
「世帯全員が非課税」が条件
また、ご夫婦2人暮らしであれば問題ありませんが、ご家族と同居している場合は注意が必要です。年金生活者支援給付金は、世帯全員が住民税非課税であることが要件の一つとなっています。そのため、同居している家族の中に住民税課税者がいる場合は、ご夫婦ともに給付金の対象外となる可能性があります。
ご自身が対象になるか分からない場合は、日本年金機構やお住まいの市区町村の窓口に確認してみることをおすすめします。
年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続き
本章では「年金生活者支援給付金の請求手続き」を解説します。
すでに公的年金を受給している人のうち、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が届きます。
すでに基礎年金を受給している場合の手続き
年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」
- 毎年9月の第1営業日から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されてくる
- 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請が利用できる
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
続いて、年金自体を新規で請求する場合のフローを確認しましょう。
これから老齢基礎年金を請求する場合の手続き
老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ
出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
※障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金の対象者のうち、基礎年金を初めて新規で請求する方(年金と給付金を同時に請求する方)は、給付金の請求書が自動的に郵送されません。年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。
給付金はいつ支給されるのか
年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
例えば10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。
年金の受取口座と同じ口座に振り込まれますが、通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます。
注意点:公的年金の受給額には個人差が大きい
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分も含む)が15万289円です。
ただし、年金受給額には個人差が大きいという点に注意が必要です。
特に厚生年金ではその差が顕著です。
厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
「厚生年金に加入している人は年金がたくさんもらえる」と思う人もいますが、実際には月額30万円以上受け取っている人もいれば月額1万円未満となる人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばっています。
年金とその他の所得を含めても一定基準以下の所得となる場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があるでしょう。
公的機関やお金の専門家に相談しながら、自分に合った支援制度を活用しよう
今回は、「年金生活者支援給付金」について詳しく解説しました。
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定の基準以下の方を対象とした公的な支援制度です。
2026年度の支給額は見直しが行われ、前年より170円~212円増額されました。支給額は月額5620円または7025円が基準となります。
1回あたりの金額はそれほど大きくありませんが、この制度は継続して受け取れる公的な給付金のため、長期的には家計の支えになります。
対象となる方には、日本年金機構から請求手続きの案内が届きます。受給するためには請求手続きが必要ですので、案内が届いたら忘れずに手続きを行いましょう。
また、年金生活者や生活にお困りの方を対象とした公的な支援制度は、この給付金以外にも数多くあります。「生活が苦しい」「利用できる制度があるか知りたい」という方は、市役所や役場の福祉課などに相談してみるのがおすすめです。利用できる支援制度について案内してもらえる場合があります。
公的機関やお金の専門家に相談しながら、自分に合った支援制度を活用していきましょう。
参考資料
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PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)、保険募集人資格などを保有。福岡女学院大学人文学部英語学科卒業後、日本郵便株式会社にてリテール営業に従事。投資信託や生命保険の販売では商品分析を得意とし、豊富な商品知識を持つ。現在はこれまでの金融商品の知識を生かし、Instagramを中心に、SNSにて資産運用のはじめ方や資産形成のコツについて積極的に情報発信をしている。はたらく世代のお金の悩みに徹底的に寄り添う姿勢で顧客からの信頼も厚く、くらしとお金の経済メディア「LIMO」での執筆も行い、Yahoo!ニュース経済カテゴリーでアクセスランキング1位などの実績もある。(2026年7月11日更新)
三菱UFJ銀行出身。資産運用コンサルティングに従事し、全国表彰を多数受賞。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして年金・資産運用など金融分野の記事を精力的に企画・執筆・監修している。
PROFILE
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて窓口業務およびリテール営業に従事。国内外株式の仲介をはじめ、国内外債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなど幅広い金融商品の提案・販売を担当し、資産運用コンサルティングに携わる。全国表彰を多数受賞。
金融業界で培った知識と実務経験を生かし、株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)に入社。現在は、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」編集部にて、記事の企画・執筆・編集・監修を担当している。
厚生労働省管轄の公的年金制度(老齢年金・障害年金・遺族年金)や社会保障をはじめ、資産運用、NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローン、為替、株式投資など、お金に関する幅広いテーマについて、制度の仕組みや最新動向をわかりやすく解説。金融機関での実務経験と金融ライターとしての知見を生かした記事を多数執筆し、Yahoo!ニュース経済カテゴリではアクセスランキング1位を多数獲得している。
