70歳代も働く人はどれくらい?高齢者の就業率をみる
貯蓄とあわせて考えたいのが、収入を得る手立てです。内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者の就業率(人口に占める働いている人の割合)は次のようになっています(2024年)。
- 65〜69歳:53.6%(男性62.8%/女性44.7%)
- 70〜74歳:35.1%
- 75歳以上:12.0%
70〜74歳でも、およそ3人に1人が働いています。65〜69歳では半数を超えており、定年後もすぐには引退せず、収入を得ながら暮らす人が多いことがわかります。65歳以上の就業者数は21年連続で増えており、長く働くことは特別なことではなくなってきました。
おひとりさまにとって、働いて収入を得られる期間を延ばすことは、貯蓄の取り崩しをゆるやかにする現実的な方法のひとつです。状況によっては年金の繰下げ受給をおこない受け取りを遅らせたり、貯蓄を増やしたりといったことができる場合もあるでしょう。
また短時間の勤務や、趣味や経験を生かした仕事など、無理のない形で収入の柱を細く長く保つ工夫も考えられます。「自分は何歳まで、どのような職種で、どんな働き方がしたいか」は現役時代から考えておくといいでしょう。
もちろん、健康上の理由などで働き続けるのが難しいこともあります。だからこそ、働けるうちは収入を得て蓄えの減りをゆるめ、その分の貯蓄を働けなくなってからの暮らしに回す―そんな順番を意識しておくと、見通しも立てやすくなります。
老後の「貯蓄の取り崩し方」や「お金の置き場所」を考えよう
70歳代おひとりさまの貯蓄は、平均1489万円・中央値500万円で、蓄えのある人とほとんど持たない人など個人差がありました。一方で、70〜74歳の3人に1人が働いているように、収入を得る手立ては年齢を重ねてからもあります。
老後資金を増やしたり、維持したりする方法のひとつとして、長く働き続けるのは一つの手です。少しでも収入があれば、その分だけ貯蓄の取り崩しを先延ばしにできます。生活費のすべてを働いてまかなう必要はなく、不足分の一部を補うだけでも、貯蓄の持ちは大きく変わるでしょう。
次に大切なこととして、毎月の不足額を把握し、貯蓄からの取り崩しのペースを決めておくことがあります。年金と生活費の差を出し、その不足を貯蓄で何年支えられそうかを見ておくと、使い方に見当がつきますしセーブもききやすくなります。
あわせて、「老後資金をどこに置くか」も考えたいところ。金融商品は保険、債券、投資信託、株式…など種類があり、リスク・リターンもさまざま。また、一括投資をするか、毎月一定額を買い付ける積立投資をするかといった投資方法や、投資対象などによってもリスク・リターンは異なります。
リスクがあるとなると怖くなりますが、一方で資産運用により資産を増やすことができれば、自分は働かなくても「お金に働いてもらう」という選択肢が増えます。おひとりさまにとって収入を得る方法が増えるのは嬉しいポイントですね。
ただし、大切な老後資金ですから、資産運用をする際にはよく調べ、自身のリスク許容度の中で納得のいく運用をすることが大切です。
仕事による収入や家計管理、資産運用など、現役時代も老後に入ってからもお金に対するアプローチ法は複数あります。複数のアプローチをバランスよくとりいれることで、老後の安心度も変わるでしょう。まずは自分に合ったものは何かを調べてみてくださいね。
参考資料
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
