執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
監修者宮野 茉莉子LIMO&ファイナンス編集部 副編集長
19:45

老後の生活費は平均でいくら?「老後の平均的な生活費の赤字額」20年間で累計約1000万円に

貯蓄額とあわせて気になるのが、年金を受け取りながらの毎月の家計です。総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の1カ月の家計収支は、平均で次のようになっています。

  • 実収入:25万4395円(うち社会保障給付が22万8614円で、実収入の89.9%)
  • 消費支出:26万3979円
  • 毎月の不足分:約4万2434円

収入の約9割を、公的年金を中心とした社会保障給付が占めているのが、この世代の家計の特徴です。そのうえで毎月の支出が収入をやや上回り、平均で4万円ほどの不足が出ている計算になります。

この不足分は、これまで積み上げてきた貯蓄から取り崩して補うことになります。仮に毎月4万円強の不足が続くとすると、1年でおよそ50万円、20年ではおよそ1000万円を貯蓄でまかなう見当です。もちろんこれは平均値で、実際の収入や支出は世帯によって異なります。持ち家か賃貸か、医療や介護にどれだけかかるかによっても大きく変わってきます。

裏を返せば、先ほどみた貯蓄額は、この毎月の不足をどれくらいの期間支えられるかという「持ちこたえる力」の目安にもなります。わが家では毎月いくら不足しそうかを一度つかんでおくと、必要な備えのイメージがはっきりしてきます。

貯蓄の取り崩しペースとお金の置き場所の管理を

60歳代・70歳代二人以上世帯の貯蓄は、60歳代で平均2683万円・中央値1400万円、70歳代で平均2416万円・中央値1178万円でした。「2000万円以上」の世帯が4割前後を占める一方、貯蓄を持たない世帯もあり、状況は世帯によってさまざまです。毎月の家計は平均でみると4万円ほどの不足が出ており、その分は貯蓄から補っていく形になります。

すでに年金生活に入っている、あるいは間近な世代だからこそ、これからは「貯蓄をどう長持ちさせるか」が中心になります。元銀行員の視点から、2つ行いたい点をご紹介します。

ひとつは、取り崩しのペースを決めておくことです。毎月の不足額をおおまかに把握し、「年金で足りない分だけを、どの口座から取り崩すか」を先に決めておくと、使いすぎを防ぎやすくなります。住宅の修繕や医療・介護などのまとまった支出に備えて、一部を予備費として分けておくのも安心です。

もうひとつは、収入の柱を増やす工夫です。もし可能であればですが、夫婦のどちらかが短時間でも働き続ければ、その分だけ取り崩しをゆるやかにできます。また、当面使う予定のないお金は、新NISAなどの制度で運用を続ける選択肢もあります。ただし投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、まずは生活防衛資金を預貯金で確保したうえで、無理のない範囲で検討したいところです。

平均や中央値、そして「2000万円」という数字は、あくまで目安のひとつにすぎません。大切なのは、わが家の年金額と毎月の収支、そして貯蓄で何年くらい持ちこたえられそうかを具体的に描いてみることです。今日はその第一歩として、通帳を開いてみることから始めてみませんか。

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
宮野 茉莉子LIMO&ファイナンス編集部 副編集長

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