7月といえば、夏のボーナス支給シーズン。SNSのタイムラインに「公務員のボーナスは平均◯◯万円」というニュースが流れるたび、「やっぱり公務員は安定しているな」と感じる方もいるのではないでしょうか。
ボーナスだけでなく、定年退職時にまとまった「退職金」が出るかどうかも、老後の安心に直結する大きな要素です。ファイナンシャルアドバイザーとして日々お客様のライフプラン相談を受ける中でも、退職金の金額とその後の資金計画は常に重要なテーマとなっています。今回は、内閣官房内閣人事局の最新データをもとに、国家公務員の退職金が本当に「2000万円」を超えるのか、退職理由別・勤続年数別に詳しく解説します。
国家公務員の退職金、平均はいくら?
内閣官房内閣人事局が公表する「退職手当の支給状況(令和6年度)」によると、国家公務員(常勤職員)の退職手当受給者は約2万9000人。退職理由ごとに平均支給額は次のように分かれます。
退職理由別退職手当受給者数及び退職手当平均支給額
【退職理由別】常勤職員の平均支給額
- 定年:2160万1000円
- 応募認定(早期退職):2470万3000円
- 自己都合:345万4000円
- その他:263万円
- 計:1094万3000円
【退職理由別】行政職俸給表:適用者の平均支給額
- 定年:2148万8000円
- 応募認定(早期退職):2277万円
- 自己都合:331万5000円
- その他:210万円
- 計:1389万6000円
全体の平均は約1094万円ですが、これは自己都合退職など短期間で退職した層も含めた数字です。「定年まで勤め上げた」場合に限れば、平均は約2160万円と2000万円を大きく超えています。
応募認定(早期退職)の平均が最も高く約2470万円となっているのは、退職金が一般企業の早期退職優遇制度と同じく上乗せされるためです。
「退職金2000万円超え」のボリュームゾーンを見る
平均値だけだと一部の高額退職者に引き上げられた印象もあるため、「金額帯ごとの人数分布」を確認します。
退職手当支給額別退職手当受給者数
- 500万円未満:113人
- 500~1000万円未満:120人
- 1000~1500万円未満:292人
- 1500~2000万円未満:2166人
- 2000~2500万円未満:6953人
- 2500~3000万円未満:1228人
- 3000~3500万円未満:61人
- 3500~4000万円未満:15人
- 4000~4500万円未満:61人
- 4500~5000万円未満:22人
- 5000~5500万円未満:6人
- 5500~6000万円未満:4人
- 6000~6500万円未満:27人
- 6500~7000万円未満:5人
最も人数が集中しているのは「2000万~2500万円未満」の階級で、6953人とダントツ。続く「1500万~2000万円未満」が2166人、「2500万~3000万円未満」が1228人と続きます。
定年まで勤め上げた国家公務員にとって、退職金は「2000万円台前半」が最も標準的なゾーンといえそうです。
勤続年数別、退職金の伸びかた
どれくらい勤めれば退職金が2000万円を超えるのか、勤続年数別の平均支給額を見ていきます。
【常勤職員】勤続年数別退職手当受給者数及び退職手当平均支給額
【勤続年数別】常勤職員の退職金
- 5年未満:169万1000円
- 5年~9年:394万円
- 10年~14年:729万円
- 15年~19年:855万8000円
- 20年~24年:1366万円
- 25年~29年:1581万4000円
- 30年~34年:2030万3000円
- 35年~39年:2328万6000円
- 40年以上:2246万4000円
【うち行政職俸給表(一)適用者】勤続年数別退職手当受給者数及び退職手当平均支給額
【勤続年数別】行政職俸給表:適用者の退職金
- 5年未満:86万8000円
- 5年~9年:376万3000円
- 10年~14年:768万8000円
- 15年~19年:1023万7000円
- 20年~24年:1510万円
- 25年~29年:1658万8000円
- 30年~34年:2061万円
- 35年~39年:2216万6000円
- 40年以上:2158万4000円
常勤職員・行政職俸給表:適用者のいずれも、退職金が2000万円を超えるのは勤続30年以上からです。35〜39年勤続では2300万円前後とピークに達し、40年以上勤続ではむしろ若干下がる傾向も見られます。
1000万円を超えるのは、常勤職員で「20年~24年」、行政職俸給表:適用者で「15年~19年」のあたり。「公務員はずっと働けば退職金がもらえる」というイメージは、概ね正しいといえそうです。一方で、転職や自己都合退職を選んだ場合は数百万円台にとどまることもわかります。
まとめにかえて
国家公務員の退職金は、定年まで勤め上げれば平均2160万円。ボリュームゾーンも「2000万~2500万円未満」と、「退職金2000万円」は決して都市伝説ではありませんでした。しかし、このデータを自分自身のライフプランに落とし込む際には注意が必要です。
ファイナンシャルアドバイザーの視点から、今回のポイントを3つにまとめます。
1.「2000万円」は30年以上の長期勤続が前提
定年時の平均額は高いものの、勤続年数が30年未満の場合は2000万円に届かないケースが大半です。ご自身の勤続年数と照らし合わせることが重要です。
2.退職理由(自己都合など)による大幅な減額リスク
自己都合退職者の平均は約345万円にとどまります。将来的なキャリアチェンジや独立を少しでも考えている場合は、退職金に大きく依存しない資金計画を立てる必要があります。
3.公務員・民間問わず「自助努力」での資産形成が必須
民間企業では退職金制度自体がない会社も増えています。公務員・民間問わず、勤続年数や退職タイミングによって受け取れる金額は大きく変わるため、自分の場合いくらになるのかを早めに試算し、不足分はiDeCoやNISAなどでしっかり備えていきましょう。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びTLC資格保有。ジブラルタ生命出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
