厚生年金「平均15万円」の3つの落とし穴
ここからは、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、""平均""だけでは見えない受給額の実態を確認していきます。
落とし穴①:男女で6万円近い差がある
厚生年金:年金月額階級別の受給権者数
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金部分を含む
男女平均を単純に比べると差は約5万8000円。
「平均15万円」は男性寄りに引き上げられた数字であり、女性の平均は約11万円と1割以上下回ります。
落とし穴②:分布は「山型」ではなく「幅広く分散」
厚生年金の階級別受給権者数は次のとおりです(1万円レンジ)。
- ~10万円未満:計 約305万人(全体の約19%)
- 10万円以上~15万円未満:計 約498万人(全体の約31%)
- 15万円以上~20万円未満:計 約499万人(全体の約31%)
- 20万円以上~25万円未満:計 約266万人(全体の約17%)
- 25万円以上:計 約37万人(全体の約2%)
平均額15万円のちょうど周辺(14〜16万円未満)は約189万人で、全体の約11.8%しかいません。「平均額=最も多い」は必ずしも成り立たず、「10万〜20万円」のかなり広い帯域に受給者が幅広く散らばっているのが実態です。
落とし穴③:中央値と平均値のズレ
階級別データを積み上げていくと、受給者の累計がちょうど半数(約804万人)に到達するのは「14万〜15万円未満」の階級。
つまり厚生年金の中央値は月14万円台となり、平均15万円289円と大きくは離れていません。
ただしこれは「厚生年金加入者に限る」統計です。厚生年金に加入していない自営業者・フリーランス層は「国民年金のみ」で、平均月額は約6万円と大幅に下がります。
世の中の年金受給者全体で見ると、「平均15万円」を大きく下回るゾーンにも多くの人がいるという点は忘れてはいけません。
関連タグ
証券外務員二種・相続診断士。早稲田大学卒。官公庁の一次資料分析に基づく「お金と暮らし」の記事を執筆。15年の書籍校閲経験をいかした確かなファクトチェック力が強み。家族の認知症介護の経験も交え、これから介護に向き合う読者の暮らしがより良くなるような、リアルで信頼できる情報をお届けします。
PROFILE
【保有資格】 二種外務員資格(証券外務員二種)、相続診断士、認知症介助士
【経歴】 早稲田大学第一文学部卒。15年以上の書籍校閲経験で培ったファクトチェック力を武器に、現在は金融メディア『LIMO』にて年金・貯蓄をメインとするパーソナルファイナンス記事の編集・執筆を担当。厚生労働省、金融庁が公表する一次データの分析記事を得意とする。長年の紙媒体で培った編集力と、自身の家族介護の実体験を掛け合わせ、「お金とくらし」にまつわるリアルで信頼性の高い情報を読者目線で発信している。
