【60歳代の貯蓄】3000万円以上は何割?平均・中央値と老後のリアル
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【60歳代の貯蓄】3000万円以上は何割?平均・中央値と老後のリアル

かつての「老後2000万円」では足りないかも? 親の老人ホーム探しで見えた予測不能な介護費用

執筆者熊谷 良子編集記者
05:36
【60歳代の貯蓄】3000万円以上は何割?平均・中央値と老後のリアル
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夏のボーナスが支給されるこの時期は、日々の家計や将来のマネープランを見直す絶好のタイミングです。

老後資金といえば、かつて話題になった「老後2000万円問題」を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、少子高齢化が進み、物価の上昇も続くなか、「本当に2000万円で足りるのだろうか?」と不安に感じている方も少なくないはずです。

実は筆者自身も、かつて親の老人ホーム探しをした際、「最初に提示された月額料金がずっと続くわけではない」という現実を知り、将来の介護費用に対して強い不安を感じた経験があります。

老後の生活では、日々の暮らしを支えるお金のほかに、突然の病気や長期化する介護など、まとまった出費が発生する場面も考えられます。

こうした将来の不測の事態に備えるため、今は「貯蓄3000万円」を一つの目標に設定して備えを進める方が安心といえる時代になってきているのかもしれません。

この記事では、実際に60歳代で貯蓄3000万円以上を保有している世帯はどのくらいいるのか、そして老後の大きな不安要素である「介護・老人ホーム費用」のリアルな実態について、最新のデータをもとに詳しく見ていきます。

【60歳代の貯蓄事情】貯蓄3000万円以上を持つ世帯の割合は?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によれば、60歳代の二人以上世帯における貯蓄(金融資産保有額)の平均値は2683万円、中央値は1400万円でした。

このうち、3000万円以上の金融資産を持つ世帯は、全体の27.2%を占めています。

なお、ここでいう貯蓄額は、日常的に使う普通預金などの残高は含まれていない点にご留意ください。

60歳代・二人以上世帯における貯蓄額の詳しい分布

【円グラフ】60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額

【円グラフ】60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

貯蓄額の分布をさらに詳しく見ると、内訳は以下のようになっています。

  • 金融資産非保有:12.8%
  • 100万円未満:4.7%
  • 100~200万円未満:3.9%
  • 200~300万円未満:3.0%
  • 300~400万円未満:2.8%
  • 400~500万円未満:1.8%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:12.4%
  • 3000万円以上:27.2%
  • 無回答:2.0%

3000万円以上の資産を持つ世帯が一定数いる一方で、金融資産を全く保有していない世帯が12.8%存在し、貯蓄が100万円に満たない層と合わせると約17%に達します。

資産分布は「3000万円以上」の層と「金融資産非保有」の層に二極化しており、「平均的な世帯」の実態を捉えにくくしているのが現状といえるでしょう。

【65歳以上の生活費】無職の夫婦世帯、1カ月の支出は平均いくら?

60歳代の貯蓄状況を把握したうえで、次に65歳以上の無職夫婦世帯における平均的な家計収支を見ていきましょう。

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」のデータを参考にします。

65歳以上・夫婦のみ・無職世帯の家計収支

【グラフ】65歳以上の夫婦のみの無職世帯「ひと月の家計収支」

【グラフ】65歳以上の夫婦のみの無職世帯「ひと月の家計収支」

まず収入面を見ると、実収入の平均は月額25万4395円で、そのうち社会保障給付(主に公的年金)が22万8614円を占めています。

一方で支出の合計(実支出)は平均29万6829円となっており、収入から支出を差し引くと、毎月4万2434円の赤字が発生している計算になります。

一般的な生活を送る場合でも毎月4万円ほどの不足が生じる可能性があり、この赤字分を貯蓄で補い続けると、資産が想定よりも早く減少してしまうリスクがあります。

ライフスタイルの変化で変わる支出。「老後を楽しむ必要経費」とは?

リタイアすると、通勤交通費や仕事用の衣服代といった出費は自然と減少します。しかし、それと入れ替わるように、ライフスタイルの変化に伴って新たな支出が必要となるケースがあります。

例えば、以下のような項目です。

  • 在宅時間が長くなることに伴う水道光熱費
  • 友人や地域との交流を深めるための交際費
  • 趣味や習い事、旅行といった「老後を楽しむための教養娯楽費」
  • 健康維持や、年齢とともに増加する可能性のある医療・介護費用

これらは一概に「無駄遣い」とは言えません。むしろ、充実したセカンドライフを送るための大切な経費といえるでしょう。

60歳代が最も高い「スポーツ施設利用料」の支出

60歳代は「スポーツ施設使用料」の支出金額が高い!

60歳代は「スポーツ施設使用料」の支出金額が高い!
総務省統計局「家計簿から見たファミリーライフ」第3章 年齢階級別に見た暮らしの特徴

実際に総務省の調査データをみると、フィットネスクラブなどの「スポーツ施設使用料」に対する支出は、全年代のなかで60歳代が最も多くなっています

また、サプリメントをはじめとする「健康保持用摂取品」への支出は、70歳以上の世帯が最も多いという結果も出ています。

【コラム:親の老人ホーム探しで見えた「終わりの見えない不安」介護費用は予測不能】

さて、筆者自身、親の老人ホーム探しをした経験があります。

その際、一番の気がかりだったのは「最初に提示された料金が、その後も本当にそのまま続くのか?」ということでした。

予算内に収まる施設を見つけても、将来的に物価高などで値上げされたら支払っていけるのか。

そもそも、この支払いが「いったい何年間続くのか」。そういった先の見えない不安は、老後の資金計画において非常に大きなプレッシャーになると痛感しました。

介護にかかる費用と期間のリアル。在宅と施設でいくら違う?

筆者も直面した介護の不安ですが、実際のデータを見てみましょう。

生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護を行った期間は平均で「4年7カ月(55.0カ月)」となっています。

介護を行った場所別介護費用(月額)

介護を行った場所別介護費用(月額)
生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」

また、月々の介護費用は平均9.0万円ですが、介護を行った場所別に見ると「在宅が平均5.3万円」「施設が平均13.8万円」と、施設介護を選択した場合、大きな負担となることがわかります。

ただしこの平均額は支払った費用がない人を0円として算出された平均額。

ひとくちで施設介護といっても、特別養護老人ホームなどの公的施設から、民間の有料老人ホームまで色々です。

LIFULL 介護の試算によれば、1年間の在宅介護を経て有料老人ホームに5年間入居した場合、一人あたりにかかる介護費用の総額は約2300万円(2295.6万円)にのぼるとされています。

要注意!介護施設の「入居後値上げ」リスク

そして、筆者が最も不安に感じた「入居後の値上げ」は、決して杞憂ではありません。

老人ホーム「値上げの理由」

老人ホーム「値上げの理由」
出所:株式会社Speee『介護施設の月額費用、4人に1人以上で「入居時より高くなった」』

株式会社Speee(ケアスル 介護)が実施した調査によると、介護施設に入居後、実際に支払う月額費用が「入居時より高くなった」と回答した家族は26.4%にのぼります。

また、施設から値上げを通知された経験がある家族も約4割(39.35%)存在し、その主な理由は「物価・光熱費の上昇(60.31%)」「食料品・日用品の値上がり(48.97%)」などとなっています。

施設側の経営努力だけでは抑えられないコストの上昇が、結果的に利用者の負担として跳ね返ってきているのが実態です。

厚生年金と国民年金、それぞれの平均受給月額を比較

貯蓄とともに、老後の暮らしを支えるベースとなるのが公的年金です。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、平均受給額を確認します。

厚生年金の平均受給額(月額)

※国民年金部分を含む

厚生年金保険(第1号):男女別年金月額分布

厚生年金保険(第1号):男女別年金月額分布
  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

国民年金の平均受給額(月額)

国民年金:男女別年金月額分布

国民年金:男女別年金月額分布
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
  • 全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

年金額は加入していた制度や働き方によって個人差が大きいため、「ねんきん定期便」などでご自身の見込み額を正確に把握しておくことが不可欠です。

老後資金の準備に向けて今からできること

これまでのデータが示すように、老後の生活では毎月の家計赤字に加え、長期間にわたる介護費用や、老人ホーム入居後の「想定外の値上げリスク」にも備えておく必要があります。

まずはご自身の家計と年金見込み額を正確に把握することから始めましょう。そして、資産を長持ちさせるために、預貯金だけでなく新NISA(少額投資非課税制度)などを活用した「積立投資」も有効な手段の一つです。

投資のリスクを理解したうえで資産形成に取り組み、ご自身のライフプランに合った具体的な資金計画を今のうちから考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

Google で優先するソースとして追加
熊谷 良子編集記者株式会社モニクルリサーチ

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