【お金持ちの悩み】資産運用をするも「いつ売ればいい?」「手数料がわかりにくい…」を現役IFAが解決
「お金の悩みは、資産が増えれば消えていく」ーそう考えている方は少なくないかもしれません。ところが、証券会社やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の現場で資産の多い方々と接していると、必ずしもそうとは言えない現実が見えてきます。むしろ、資産が増えるほど判断を迫られる場面そのものが増え、悩みは次々と形を変えて現れます。
なかでも多いのが、「利益確定のタイミング」と「手数料」をめぐる悩みです。今回はこの二つを中心に、資産と長く向き合ってきた人たちの「やっている運用・やらない運用」を、IFAの視点から整理していきましょう。
資産運用をしていても「いつ売ればいい?」「何にいくら取られている?」利益確定と手数料の悩み
「利益が出ているのはうれしいけれど、いつ売ればいいのかがわからない」。資産運用を続けている方から、よく聞かれる悩みです。
たとえば、保有している商品のの評価益が想定以上に膨らんでくると、今が利益確定のときなのか、もう少し待つべきなのか、判断に迷うものでしょう。「できるだけ価格が最高値のときに売りたい」とは多くの人が思うもの。過去に利益を確定した銘柄が、その後もぐんぐん値上がりするのを見て、「あのとき売らなければよかった…」と心が揺れることもあるでしょう。逆に、相場をみていると短期の売買で利益を狙いたくなる場面も出てきます。
もう一つ、手数料への不安も根強くあります。インデックス型とアクティブ型の投資信託は何が違うのか、自分は毎年どれだけの手数料を払っているのか。「いざ受け取るときには手数料が引かれていて、思っていた金額と差があった」そんな戸惑いも少なくありません。
さらに、昨今のような国際情勢の混乱で相場が荒れると、動くべきか待つべきか、判断はいっそう難しくなります。利益確定のタイミングと手数料。この二つは、運用を続けるほど重くのしかかってくる悩みなのです。
IFAの立場から見る悩みへの共通点とは?
IFAの立場からみると、これらの悩みに共通しているのは、「そのときの気分で判断してしまいがち」という点と「情報量が多すぎて迷いやすい」という点です。
利益確定も、相場が荒れたときの対応も、その時にくる情報量も多いため、あらかじめ基準がなければ値動きや感情に引きずられてしまいます。手数料についても、仕組みを知らないままでは、知らず知らずのうちにコストを負担し続けることになりかねません。
大切なのは、迷ってから考えるのではなく、落ち着いているうちに「自分のルール」を決めておくことだと考えられます。
予め以下を考えて資産運用をするといいでしょう。
①何をもって利益確定とするのか
②相場が下がったときにどうするのか
③手数料を引いた後に実際いくら残るのか
この三つをはっきりさせておくだけで、判断のぶれは大きく減ります。次の章では、資産と長く向き合ってきた人たちが実践している、具体的な工夫をみていきましょう。
お金持ちが運用をする時に「やっていること・やらないこと」3つ
日々の面談の中でお話ししている中から、利益確定や手数料の悩みなどの資産運用の悩みについて「やるといいこと」と「あえてやらないこと」としてアドバイスしていることや感じた共通点を解説します。
まず資産運用をする際にやるといいこととして、利益確定のタイミングを「期間」ではなく「変化率」で決めます。何カ月で売ると決めるより、何パーセント増えたら確定するという基準のほうが、値動きに応じて機械的に判断でき、感情に左右されにくいからです。
次に手数料ですが、特に投資信託で悩まれる方が多いです。投資信託ではインデックス型とアクティブ型の違いや方針、これまでの実績、手数料の仕組みなどを総合的に理解したうえで、商品を選びます。仕組みがわかっていれば、払っているコストに納得したうえで運用を続けられるでしょう。具体的なシミュレーションを行うのもおすすめです。
そして、下落したときにどう動くかをあらかじめ決めておき、相場が荒れたときこそあわてて動かないようにしておくことが大切です。国際情勢で市場が不安定になっても、落ち着くのを待ってから動き、決めていた配分を崩さない方もいます。
一方で、やらない方がいいこともあります。まず短期的な売買を安易に繰り返しません。個人差が出るところではありますが、手数料の負担と、長く持つことの大切さを踏まえ、目先の値動きを追いかけないという方もいます。
次に、過去の売却は悔やみません。「頭と尻尾はくれてやれ」という格言がありますが、1番高いときに売るのはプロでも困難です。手放した銘柄が値上がりしても振り返らず、これからの判断に集中します。
そして、手数料などを曖昧なままにしません。投資額が大きくなると手数料の大きさを実感される方も多いので、具体的なシミュレーションなどを通して確認するようにします。
共通するのは、その場での判断ではなく、利益確定や下落時の基準決めておくこと、そして手数料への意識を先に具体的に持っておくことで、感情に流されず淡々と判断し続けられるようになるでしょう。
元証券会社の監修者よりアドバイス
資産が多い人の運用は意外と堅実だと感じた方もいるかもしれません。派手に増やすことよりも、判断の基準を持ち、感情に振り回されないことを大切にしている。これは、資産の多い少ないにかかわらず、誰にでも取り入れられる考え方でしょう。
証券会社勤務のある筆者ですが、運用でいちばん難しいのは、相場の予測そのものよりも、迷ったときの自分の心の扱い方だと感じています。だからこそ、利益を確定する基準や、下落したときにどうするかを、落ち着いているうちに決めておくことが助けになります。評価額の大きさだけを見るのではなく、手数料を引いた後に本当に手元へ残る金額で考える視点も欠かせません。
まずは、ご自身の運用に「これだけは決めておく」というルールを一つ持つことから始めてみてはいかがでしょうか。小さな基準の積み重ねが、長い目でみたときの安心につながっていくはずです。
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及び相続診断士。ジブラルタ生命出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
