この記事はここがポイント
- 月3万円20年積立で銀行預金と新NISA年利5%運用は、約475万円の資産差
- 2024年1月開始の新NISAは投資利益非課税、運用枠拡大、期間無期限化
- 銀行預金は利息が限定的で、インフレによる実質資産価値目減りの可能性
2026年の日経平均株価は、1月5日の大発会から7月23日の終値時点にかけて約28%上昇しました。
6月には7万2000円台の年初来高値を付けるなど、今年の上半期は堅調な値動きが続いています。
将来に備えて、毎月コツコツと貯金をしている人もいるでしょう。
しかし、物価上昇によってお金の実質的な価値が変わりゆくなか、「預金だけで本当に資産を守り、増やせているのだろうか」と不安を感じたことはありませんか。
毎月同じ金額を積み立てるケースでも、単なる預貯金として貯めていく場合と、「新NISA」を活用して投資に回す場合とでは、将来の資産額に違いが生じる可能性があります。
実際に20年間積み立てを続けた場合、その差額が数百万円規模にまで広がることも少なくありません。
本記事では、「銀行預金」と「新NISAを活用した積立投資」それぞれのシミュレーションを行い、20年後の資産額がどのように変わるのかを比較・検証していきます。
「月3万円」を20年続けた場合の貯金額はいくら?
結論からお伝えすると、毎月3万円を銀行預金として積み立てた場合、20年間での元本は合計「720万円」となります。
計算式でいえば、3万円×12か月×20年間=720万円、となります。
近年は日本銀行の利上げの影響もあり、メガバンクの普通預金金利は年0.3%前後まで上昇していますが、資産を大きく増やすには十分とはいえない水準です。
この条件で20年間預け続けた場合、得られる利息は約22万円(税引前)にとどまり、最終的な資産額はおよそ742万円となります。
月3万円を20年続けた場合の預金額
ただし、利息には約20%の税金がかかるため、実際に手元に残る金額はこれより少なくなります。
加えて注意したいのがインフレの影響です。
年2%の物価上昇が続いた場合、20年後には同じ商品を購入するのに現在の約1.5倍の金額が必要になります。
そのため、預金額自体は増えていても、お金の実質的な価値は下がる可能性があります。
このように、預金は元本が減りにくいという安心感がある一方で、利息は限定的であり、インフレの影響によって実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。
では、同じ「月3万円」を積み立てる場合、より効率的に資産形成を目指す方法はないのでしょうか。
そこで注目されているのが、税制優遇を受けながら投資ができる「新NISA」という制度です。
実際の面談でも、超低金利の時代が長く続いた影響で「銀行に預けているだけで大丈夫か」と不安を口にされる方は多いです。近年は金利が上向いていますが、物価上昇のペースを考えると、預金だけで安心とは言い切れない場面が増えています。
新たな積立投資の選択肢「新NISA」とは?
NISA(少額投資非課税制度)とは、投資で得た利益に対して税金がかからなくなるお得な制度です。
通常、株式や投資信託などで得た運用益や配当には約20%(20.315%)の税金が課されますが、NISA口座内で運用した場合はこれらが非課税となり、手元に残るお金を増やすことができます。
新NISAについて
たとえば、毎月3万円を20年間銀行に預金した場合、元本720万円に対して年利0.3%で最終的な資産額は約742万円になります。
しかし、この増えた利息分にも約20%の税金がかかるため、実際の手取り額はさらに目減りしてしまいます。
一方、NISA口座を利用していれば、同じ条件で利益が出たとしても税金が引かれないため、税金の負担を抑えて効率的に資産を増やすことが可能です。
このNISA制度は以前から存在していましたが、2024年1月に内容が大幅に拡充され、「新NISA」として新たにスタートしました。
開始から約2年が経過!「新NISA」とは?
新NISAは、旧制度と比較して年間の投資枠や非課税期間などが改良され、より柔軟で使いやすい仕組みへと進化しています。
新NISAについて
以前の「つみたてNISA」では年間の非課税投資枠が40万円でしたが、新NISAではこの枠が大幅に拡大され、より多くの資金を非課税で運用できるようになりました。
さらに、旧制度では非課税となる期間に上限があったものの、新NISAでは無期限化されたため、ご自身のペースで長期的な資産形成に取り組みやすくなっています。
では、この新NISAを活用して毎月3万円を積み立てた場合、20年後の資産にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。
面談でNISAの仕組みを説明すると、「なぜ税金がかからないのか」と背景まで掘り下げて質問される方が多くいらっしゃいます。制度を単なる「お得な枠」で終わらせず、非課税の仕組みから理解しておくと、その後の運用判断にも納得感が持てるようです。
【利回り別】新NISAで積立投資した場合、20年後の資産額はいくらになる?
本章では、毎月3万円を20年間積み立てた場合について、利回りごとのシミュレーションをもとに資産の変化を確認していきます。
利回り3%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を20年間、想定利回りを年3%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
利回り3%で運用した場合
- 投資元本:720万円
- 運用収益:261万円
- 資産合計(元本+収益):981万円
利回り5%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を20年間、想定利回りを年5%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
利回り5%で運用した場合
- 投資元本:720万円
- 運用収益:497万円
- 資産合計(元本+収益):1217万円
利回り10%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を20年間、想定利回りを年10%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
利回り10%で運用した場合
- 投資元本:720万円
- 運用収益:1435万円
- 資産合計(元本+収益):2155万円
年利3%を想定したシミュレーションでは、20年間の積立による運用益はおよそ261万円となり、預金のみの場合と比べると、資産を増やす効果が期待できるといえるでしょう。
さらに、年利5〜10%で運用できた場合には、約497万円〜1435万円の運用益が見込まれ、最終的な資産額は元本を大きく上回る結果となります。
私とお客様とのご面談では、こうした利回り別の試算を画面で一緒に見ながら進めるようにしています。数字だけでなく、利回りが高くなるほど値動きの振れ幅も大きくなる点をあわせて確認すると、ご自身に合った運用イメージを持ちやすくなるようです。
資産差はいくら?「貯金 vs 投資」の決定的な違い
ここまで見てきたとおり、毎月3万円を20年間積み立てた場合、銀行預金では最終的な資産額は約742万円にとどまります。
一方で、新NISAを活用した積立投資では、利回りによって大きな差が生まれます。
たとえば、年利3%で運用した場合は約981万円となり、預金と比べて239万円の差が生じます。
さらに、年利5%では約1217万円、年利10%では約2155万円となり、預金との差はそれぞれ約475万円、約1413万円に広がります。
この差を生み出している要因が「複利」です。
複利とは、運用によって得た利益が元本に組み込まれ、その利益にもさらに利益がついていく仕組みを指します。
積立投資の初期段階では、貯金との違いはそれほど大きくありません。
しかし、運用期間が長くなるにつれて利益が積み重なり、後半になるほど資産の増え方が加速していきます。
「貯金 vs 投資」の決定的な違い
これまでのシミュレーションからわかるように、資産形成を成功に導くカギは「早めのスタート」と「無理のない継続」にあります。
とくに、運用期間を長く確保することは、投資の成果を左右する非常に重要な要素となります。
将来のリターンが約束されているわけではありませんが、長期的な視点を持つことで、預金を上回る十分な利益を得られる可能性が高まります。
新NISAを利用して積立投資を始める際は、家計に負担をかけない金額を設定し、長期にわたってコツコツと運用を続けることを心がけましょう。
【監修者より】新NISAと預貯金「流動性の違い」も考慮しよう
元証券会社の富裕層担当であった監修者より、新NISAと預貯金の活用方法についてポイントを整理します。
この記事では、新NISAと預貯金を20年間続けた場合の試算結果を解説しました。
新NISAには投資で得た利益に約20%の税金がかからない「税制優遇」のメリットがあります。
また、コツコツ積立投資を続けることで、複利の効果により資産を増やす可能性が期待できます。
一方で、預貯金は新NISAを活用した資産運用とは異なり、価格変動リスクや元本割れなどのリスクはありません。
しかし、物価の上昇が預貯金の金利を上回っているため、実質的な資産価値が減少する可能性が考えられます。
元証券会社勤務経験からのアドバイス
最後に、資産形成についてのアドバイスを3つお伝えします。
①資産運用には価格変動リスクなどが伴うため「余剰資金」を活用する
②お金の引き出しやすさである「流動性」にも着目する
③保有している資産全体のバランスを考慮したうえで選択する
新NISAと預貯金は「流動性の違い」もあります。
預貯金は必要なときにすぐに引き出せるため、不測の事態にも対応しやすいです。
新NISAも保有している金融商品を売却して現金化することは可能ですが、売却するタイミングによっては購入時よりも値下がりしているケースもあるでしょう。
将来に向けて資産形成を検討する際は、「流動性の違い」も考慮しておくことが大切です。
参考資料
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びAFP。SMBC日興証券出身。証券会社でのリテール営業の経験を活かし、現在はIFAとして老後資金の準備や相続相談などを得意とした個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして記事の企画・執筆・監修をしている。

川勝と申します。ファイナンシャルアドバイザーをしております。
日々の面談では、NISAやiDeCoにまだ何も加入しておらず、何から手をつければよいか分からずに相談にいらっしゃる方は少なくありません。
老後資金への漠然とした不安を抱えつつ、勤務先の退職金制度や個人年金保険には加入していても、それとは別にもう一歩の資産形成を考えたいという声もよく聞きます。
こうした方には、株式や投資信託の仕組み、NISAとiDeCoの違いを基礎から順を追って説明するようにしています。その中で「なぜ税金がかからないのか」といった質問が自然と出てきて、一つずつ整理していくうちに「思ったよりシンプルだった」と感じていただけることが多い印象です。
実際、複数のファンドに分けて積み立てることで値動きの差を和らげたいと相談される方も多く、少額からコツコツ積立を始める方も増えています。
本記事では、こうした相談で必ず話題になる「銀行預金だけで積み立てた場合」と「新NISAを活用して積み立てた場合」の差について、シミュレーションをもとに見ていきます。