「新NISAを始めてみようかな」と思ったとき、意外とつまずきやすいのが「何に気をつければいいの?」という点ではないでしょうか。通常は利益に対して約2割かかる税金が非課税となり投資をはじめやすい制度ですが、投資である以上、はじめる前に知っておきたいこともあります。
そこで本記事では、証券会社で勤務していた筆者が新NISAと積立投資のしくみを整理したうえで、はじめるときに気をつけたい注意点を5つにしぼって、わかりやすく解説します。
新NISAとは?まずは制度を確認
新NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。おもな内容は次のとおりです。
新NISA制度の仕組み
新NISA制度
- つみたて投資枠:年間120万円まで(月あたり10万円)
- 成長投資枠:年間240万円まで
- 生涯の非課税保有限度額:1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)
以前の制度と比べて投資できる枠が広がり、保有期間の制限もなくなりました。自分のペースで長く続けやすい制度になった一方、自由度が上がった分、より自分で金額や投資期間、投資対象など考えて投資をしたいものです。
「積立投資」とは?
積立投資とは、毎月など決まったタイミングで、一定の金額をコツコツ買い付けていく方法です。値動きのある商品を一度にまとめて買うのではなく、時間を分けて長期間「高いときに少なく、安いときに多く」買いつけることで購入単価を平準化できます。
積立投資とは
誰しも「1番安いときに買って、1番高いときに売りたい」と思いますが、プロでも難しいもの。特に現役世代は仕事や家事育児などで忙しく、毎日経済ニュースや株式市場などをみる時間もとりにくいですし、経験がないと都度売買の判断をするのも難しいでしょう。積立投資であれば買い付けタイミングを分散できるので、忙しい現役世代や初心者の方もはじめやすい投資方法となっています。
新NISAのつみたて投資枠で買えるのは、一定の条件を満たした投資信託に限られます。たとえば、毎月分配型やデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象から除かれており、長くコツコツ積み立てることを想定した設計になっています。つまり、初心者の方でも、腰を据えて続けやすい枠だといえるでしょう。
新NISAで積立投資をはじめるときの注意点5つを元証券会社社員が解説
ここからははじめる前におさえておきたい注意点を5つ解説します。
1.長期・積立・分散を基本にし、いつまで積み立てるかを計画する
積立投資は10年、20年…と長期間運用することで資産を形成することを目指します。だからこそ数十年先でも投資し続けたいと思える、自身で納得のいく投資対象選びを行いましょう。
また値動きが気になって短期で売り買いを繰り返すと、積立投資の利点を活かしにくくなるもの。長く続けるほど、時間の分散は効きやすくなります。だからこそ、日々の値動きに一喜一憂しすぎず、コツコツ続けることを基本にしましょう。特に「何歳まで」や「何年間」積み立てるかについては、はじめから考えておきましょう。
2.相場の下落・暴落時の行動を考えておく
投資である以上、値下がりによって投資した額を下回る可能性があります。とくに短期では値動きの影響を受けやすく、はじめてすぐにマイナスになる時期もあるでしょう。また、長く投資を続けていれば、暴落するという局面にあう可能性もあります。
下落や暴落したタイミングで慌てて売却して損をするというケースもあります。はじめから「下落や暴落する可能性はある」と考え、そのときにとる行動を決めておきましょう。
3.生活防衛資金を確保してからはじめ、積立金額はライフイベントに応じて見直す
投資に回すのは、当面使う予定のない余裕資金が基本です。病気や失業など、いざというときの備えとして、生活費の数か月分は預貯金で確保しておくと安心です。あわてて売らずに済むよう、投資と生活資金は分けて考えましょう。また、長い人生、積み立てができる金額は変動しやすいものです。家計の状況により、都度、積立金額を見直すこともしましょう。
4.長期積み立てだからこそ手数料を考える
基本的に積立投資は長期間運用するからこそ、気になるのがコストです。特に投資信託の場合、確認したいのが投資信託を保有している間にかかる「信託報酬」です。
つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の分布
信託報酬の平均は以下の通り。
つみたて投資枠の指定インデックス投信の信託報酬(税抜)の平均
- 投資先を国内とする指定インデックス投信の信託報酬:平均0.26%
- 投資先を国内外とする指定インデックス投信の信託報酬:平均は0.34%
「国内外を投資先とする指定インデックス投信」に視点をあてると、多い順に「0.4%超0.5%以下」が46本、「0.1%超0.2%以下」が44本、「0%超0.1%以下」が38本などとばらつきがあります。
10年、20年、30年…と長期間運用するほど手数料は最終的な利益に影響しますから、投資をはじめる段階でしっかりと確認しておきましょう。
5.NISA口座のメリット・デメリットを理解して利用する
新NISAの最大のメリットは「利益に対して約2割かかる税金が非課税になること」です。ご自身の資産の中でも、このメリットが生かせる資産をNISA口座で運用するといいでしょう。
一方で、NISA口座は一般口座や特定口座といった課税口座との損益通算や、損失を翌年以降に持ち越す繰越控除は利用できません。この点もはじめから理解した上で運用をはじめましょう。
まとめにかえて
新NISAの積立投資は、長い時間をかけて資産づくりを続けやすいしくみです。とはいえ、元本割れのリスクや手数料など、最初におさえておきたい点もあります。しっかりと情報収集をしてリスクをおさえた上で、まずは続けられる範囲から始め、家計に合わせて調整していくのも一つの方法でしょう。
参考資料
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
