【精神障害者保健福祉手帳】所持者数154万人超え「1年で10万人以上」の増加。暮らしや就労の支援をFPが解説
schrock jaheem/shutterstock.com
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【精神障害者保健福祉手帳】所持者数154万人超え「1年で10万人以上」の増加。暮らしや就労の支援をFPが解説

等級別では「2級」が最多、「3級」は対前年度10%の増加率

執筆者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
06:30
【精神障害者保健福祉手帳】所持者数154万人超え「1年で10万人以上」の増加。暮らしや就労の支援をFPが解説
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7月も中旬にさしかかり、本格的な夏の訪れを感じる季節となりました。

筆者はファイナンシャルプランナーとして、家計や資産形成だけでなく、病気や障がいによる生活の困難に関するご相談も受けることがあります。

特に精神的な不調は外からは見えにくいため、ご本人やご家族が孤立しがちですが、公的な支援制度を活用することで負担を軽減できる場合があります。

今回は、近年所持者が増加している「精神障害者保健福祉手帳」に焦点を当て、最新データをもとに制度の現状や具体的な支援内容について解説します。

【3つの障害者手帳】身体・療育・精神の所持者数を比較

一般的に「障害者手帳」と呼ばれるものには、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。

これらは、障がいのある方が日常生活や社会生活を送るうえで、必要な支援や配慮を受けやすくするための制度です。手帳を取得すると、障がいの種類や程度に応じた福祉サービスやさまざまなサポートの利用が可能になります。

3種類の障害者手帳について

3種類の障害者手帳について
3種類の障害者手帳について

3種類の障害者手帳

障害者手帳は、対象となる障がいの種類によって3つに大別されます。ここでは、それぞれの概要と所持者数について確認していきましょう。

1. 身体障害者手帳(所持者数:467万4999人)

身体の機能に、基準で定められた一定以上の障がいがあると認定された場合に交付される手帳です。

2. 療育手帳(所持者数:132万1350人)

児童相談所や知的障害者更生相談所で、知的障がいがあると判定された方に対して交付されます。

3. 精神障害者保健福祉手帳(所持者数:154万7433人)

一定の基準を満たす精神障がいの状態にあると認定された場合に交付される手帳です。

3種類の手帳を比較すると、身体障害者手帳の所持者数が最も多いことがわかります。この記事では、次に所持者数が多い精神障害者保健福祉手帳について、詳しく解説していきます。

【精神障害者保健福祉手帳】所持者数154万人超え「1年で10万人以上」の増加

精神障害者保健福祉手帳の交付状況は「交付台帳」で管理されています。厚生労働省が公表した『令和6(2024)年度衛生行政報告例』によれば、手帳の所持者数は2020年度から5年続けて増加傾向にあります。

「精神障害者保健福祉手帳」交付台帳登載数

「精神障害者保健福祉手帳」交付台帳登載数
「精神障害者保健福祉手帳」交付台帳登載数

2024年度末時点の所持者数は154万7433人で、前年度から10万9340人増加しました。この数値は、有効期限内の手帳を持つ人を集計したもので、2年ごとの更新制を考慮した実際のアクティブな所持者数を示しています。

等級別では「2級」が最多、「3級」は対前年度10%の増加率

手帳には1級から3級までの等級があります。2024年度末時点では、2級の所持者が89万7292人と最も多く、全体の半数以上を占めています。

その一方で、前年度からの増加率に注目すると3級が最も高く、10.0%増と大幅に伸びていることがわかります。

精神障害者保健福祉手帳における3つの等級とその判定基準

精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患そのものの状態に加え、日常生活や社会生活にどの程度影響があるかを総合的に評価して決定されます。

  • 1級:日常生活を送ることが自力ではほとんど難しく、常に介助や支援を必要とする状態。
  • 2級:日常生活に大きな制約があり、多くの場面で継続した支援や配慮が求められる状態。
  • 3級:日常生活や社会生活において一定の支障があり、状況に応じたサポートや配慮が必要な状態。

この等級制度は、一人ひとりの状態に合わせた支援内容を決めるための重要な基準となります。適切なサポートを受けるためにも、制度への理解を深めておくことが大切です。

【精神障害者保健福祉手帳】暮らしや就労の支援をFPが解説

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患が原因で生活や社会参加に一定の制約がある方を対象とする制度です。

対象となる疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病、双極性障害など)、てんかん、発達障害、高次脳機能障害といった器質性精神障害、薬物などによる中毒性精神障害など、多岐にわたるものが含まれます。

手帳を持つことで受けられる支援にはどのようなものがある?

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、税金の控除や公共料金の割引といった全国共通の支援が受けられます。

さらに、お住まいの自治体や各事業者によっては、公共交通機関の運賃割引、携帯電話料金の割引、公営住宅への入居支援など、独自のサービスを提供していることもあります。

「精神障害者保健福祉手帳」を持つことで受けられるサービスの一例

「精神障害者保健福祉手帳」を持つことで受けられるサービスの一例
「精神障害者保健福祉手帳」を持つことで受けられるサービスの一例

これらの支援は、精神障がいのある方がより安定した暮らしを送れるようにサポートすることを目的としています。

また、手帳を持っていると障害者雇用枠での就職活動ができるようになり、職場からの配慮を受けながら働くという選択肢も生まれます。就労移行支援事業所などを利用すれば、職業訓練を受けたり、就職後の定着支援を受けたりすることも可能です。

まとめにかえて

この記事では、厚生労働省の最新データを基に、精神障害者保健福祉手帳の所持者数の推移や、具体的な支援内容について解説しました。所持者数は5年連続で増え続け、2024年度末には154万人を上回っています。

この増加の背景には、精神疾患への社会的な理解が深まってきたことや、制度自体の認知度が高まったことが影響していると考えられます。

手帳を通じて利用できる税制上の優遇措置、公共料金の割引、障害者雇用枠での就労といった支援は、当事者が抱える経済的・社会的な負担を軽くするために設けられた公的な制度です。

制度の内容をあらかじめ知っておくことは、いざという時に自分に合った選択肢を考えるうえで非常に重要です。このような公的制度が、今後も多様なライフスタイルを支える社会の基盤として、どのように役割を果たしていくのかが注目されます。

参考資料

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村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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