【元生保職員が解説】生前贈与の持ち戻しが3年→7年に!「3年」が適用されるのは今年12月末まで
years44/shutterstock.com
パーソナルファイナンスニュース

【元生保職員が解説】生前贈与の持ち戻しが3年→7年に!「3年」が適用されるのは今年12月末まで

生前贈与と生命保険を活用するメリット

執筆者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
16:30
【元生保職員が解説】生前贈与の持ち戻しが3年→7年に!「3年」が適用されるのは今年12月末まで
years44/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • 生前贈与の持ち戻し期間が従来の相続開始前3年以内から7年以内に延長。
  • 3年間の持ち戻し期間が適用されるのは2026年12月31日までの贈与に限定。
  • 生前贈与と生命保険の活用で、年間110万円と死亡保険金500万円×法定相続人のダブル非課税枠を最大限活用できる相続対策。

元生命保険会社の職員として、これまで数多くのご家族の相続対策や資産形成のご案内をしてきました。

保険業界において「生前贈与」は、将来の相続税負担を和らげつつ、大切なご家族へ資金をスムーズに引き継ぐための方法として、生命保険を活用したスキームが定番の手法として広く活用されています。

今回は、近年の税制改正によって大きく変わった「暦年課税による生前贈与の加算対象期間等の見直し」について分かりやすく解説します。

【生前贈与のルール激変】生前贈与の持ち戻しが3年→7年に!

令和5年度の税制改正により、暦年課税(年間110万円の基礎控除を利用する贈与)における生前贈与のルールが大きく見直されました。

暦年課税の変更点

暦年課税の変更点
暦年課税の変更点

国税庁の「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」にもある通り、生前贈与された財産が相続財産に加算(持ち戻し)される期間が、従来の「相続開始前3年以内」から「7年以内」へと延長されることになりました。

なお、延長された4年間(相続開始前3年超〜7年以内)に取得した贈与財産については、総額100万円まで相続財産に加算されないという一定の配慮措置も設けられています。

「まだまだ元気だから」とお考えになる方もいらっしゃいます。

しかし、いざという時にこの「7年」という期間が、ご家族の思わぬご負担につながってしまうケースもあります。相続対策において、早めの準備は何より心強い味方になってくれます。

「3年」が適用されるのは今年12月末まで

この法改正は2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から適用されていますが、一気に7年になるわけではなく、段階的な経過措置が取られています。

加算対象期間について

加算対象期間について

ここで非常に重要なポイントがあります。現在2026年7月末ですが、表を見ていただくと分かる通り、贈与の加算対象期間が「3年間」で済むのは、今年2026年12月31日までの贈与に限られます。2027年1月1日以降の贈与からは加算対象期間が順次延びていくため、生前贈与を検討されている方にとって今年が大きなターニングポイントとなります。

大切なご資金を現金のまま残されるのも一つの方法ですが、生命保険の「枠」をご活用いただくことで、ご家族の税負担を和らげることが可能なケースがあります。

親御様からお子様へ現金を贈与し、お子様ご自身が契約者となって保険にご加入される手法は、多くのお客様が選ばれている堅実な選択肢の一つです。

過去最高を更新!相続税の申告者数「約16.6万人」超えのリアルな現実

「うちはそこまで資産がないから関係ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、国税庁が公表した「令和6年分 相続税の申告事績の概要」を見ると、現実は少し異なります。

相続税の申告事績

相続税の申告事績
相続税の申告事績

令和6年分において、相続税の申告書の提出に係る被相続人数(亡くなられた方のうち申告が必要だった方)は16万6730人(前年対比107.1%)と増加しています。

また、その課税価格の総額は23兆3846億円(前年対比108.1%)、申告税額の総額は3兆2446億円(前年対比108.0%)にのぼりました。

実はこれらの数字、いずれも基礎控除額の引下げがあった平成27年分以降で過去最高を記録しているのです。

地価の上昇や基礎控除の引き下げにより、ごく一般的なご家庭でも相続税の対象になるケースが年々急増しているのが現場のリアルな実感です。

生前贈与と生命保険を活用するメリット

このように相続税の対象者が増え、さらに生前贈与の持ち戻し期間も長くなる中、効果的な対策として注目されるのが「生前贈与×生命保険」です。生前贈与の基本は、暦年課税の基礎控除である「年間110万円」の枠を活用し、元気なうちに自分の意思で財産を移転して将来の相続税負担を軽減することです。

これに生命保険を組み合わせることで、生前はこの110万円の非課税枠で無駄なく資産を移しつつ、万が一の相続発生時には「500万円×法定相続人の数」という死亡保険金独自の非課税枠もあわせて利用できるようになります。

つまり、生前と死後の「ダブルの非課税枠」を最大限活用でき、より手厚い相続対策と遺族保障が可能になるのです。

現金をそのまま残すより、生命保険という「枠」を活用した方が税金面で圧倒的に有利になるケースが多いです。

親から子へ現金を贈与し、子が自身を契約者・親を被保険者として保険に入る手法は、実務でも非常に多く使われています。

失敗を防ぐための重要な4つのポイント

生前贈与と生命保険の組み合わせは強力ですが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。特に、毎年同じ金額を渡し続けると「定期贈与」とみなされ、最初からまとまった金額を贈与する意図があったとして多額の贈与税が一括でかかってしまう恐れがあるため注意が必要です。

安全かつ確実に財産を引き継ぐためには、以下の工夫を取り入れましょう。

①贈与契約書を作成する

トラブルや将来の税務調査に備え、口約束ではなく贈与の都度必ず書面(贈与契約書)を残しましょう。

②記録を残す

手渡しではなく、親の口座から子の口座へ銀行振込を行い、客観的な履歴を残すことが重要です。

③定期贈与を避ける

毎年同じ金額や時期にこだわらず、渡し方や金額(今年は100万円、翌年は110万円など)に変化をつけましょう。

④早めに行動する

生前贈与は早く始めるほど節税効果が高まります。加算期間が延びる前、つまり今年中に計画を立てることが何より大切です。

生前贈与を進める際は、ご自身の財産規模やご家族の状況をしっかりと把握し、家族全体で話し合いながら最適な方法を見つけていくことが大切です。

参考資料

Google で優先するソースとして追加
村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

関連タグ