この記事はここがポイント
- 加給年金は「年金の家族手当」。厚生年金加入20年以上で、65歳未満の配偶者や子を扶養している場合に年金に上乗せされる
- 2026年度の加給年金額(配偶者分)は年額24万3800円+特別加算。金額は受給者の生年月日によって異なる
- 老齢年金生活者支援給付金は所得が低いシニアへの上乗せ給付。2026年度の基準額は月5620円で、前年度から3.2%増額
銀行員時代、「もう少し年金が増えてくれたら助かるんだけど……」とおっしゃるお客様は、本当にたくさんいらっしゃいました。
年金を増やす方法としては、「加給年金」や「年金生活者支援給付金」があります。
どちらも自動的に支給されないため、知っているかどうかで、毎月・毎年の受取額が変わってきます。
老齢年金には、一定の条件を満たすと「上乗せ」で受け取れるお金があります。
よく知られているのは老齢基礎年金・老齢厚生年金ですが、その金額だけが「もらえる年金のすべて」とは限りません。
この記事では、老後の年金にプラスアルファで受け取れる可能性がある「加給年金」と「老齢年金生活者支援給付金」について、2026年度の最新金額と受給要件をわかりやすく整理します。
年金の「家族手当」、加給年金とは
加給年金は、老齢厚生年金に上乗せして受け取れる給付金で、よく「年金版の家族手当(扶養手当)」と例えられます。
一定の要件を満たした場合、年下の配偶者や子を扶養しているときに支給されます。
加給年金の支給要件
加給年金を受け取るためには、まず老齢厚生年金の受給者自身が次のどちらかの要件を満たしている必要があります。
- 厚生年金の加入期間が20年以上あり、65歳到達時点で対象となる家族がいる
- 65歳以降に被保険者期間が20年以上となった場合(退職改定時・70歳到達時など)に対象となる家族がいる
その上で、以下のいずれかにあたる家族がいる場合に加給年金が支給されます。
- 65歳未満の配偶者
- 18歳到達年度の末日までにある子、または1・2級の障害状態にある20歳未満の子
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や障害年金などを受給している場合は、配偶者分の加給年金は支給停止となります。
2026年度の加給年金額
2026年度における加給年金額(年額)は以下のとおりです。
加給年金の加給年金額
- 配偶者:24万3800円(年額)
- 1人目・2人目の子:各24万3800円(年額)
- 3人目以降の子:各8万1300円(年額)
配偶者の加給年金額には、老齢厚生年金を受給する方の生年月日に応じて3万6000円から17万9900円の「特別加算」も上乗せされます。
配偶者が65歳になったら「振替加算」へ
配偶者が65歳を迎えると、加給年金の支給は終わります。
ただし、配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合で一定の要件を満たせば、老齢基礎年金に「振替加算」が加算されます。
加給年金が終わっても、そのまま受給がゼロになるわけではない点を把握しておくと安心です。
加給年金は「手続きしなければ支給されない」制度ではなく、年金請求時に要件を満たしていれば自動的に加算されます。ただし、途中で配偶者の年金の受給状況が変わった場合などは届け出が必要です。
「配偶者が年金をもらい始めたから私の加給年金が止まるはず」と把握していないと、後から返還を求められるケースもあります。ご夫婦の年金受給状況はセットで確認しておきたいところです。
所得が一定額未満の方に支給される「老齢年金生活者支援給付金」とは
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金を受け取っている方が一定の所得要件を満たす場合に、年金に上乗せして受け取れる給付金です。
こちらは申請が必要で、自動的には支給されません。
受給要件を確認する
次の3つの条件をすべて満たす方が対象です。
- 65歳以上の老齢基礎年金受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下(昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下)
なお、障害年金・遺族年金などの非課税収入は、上記の収入合計に含みません。また、合計所得が80万9000円を超え90万9000円以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ)は「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となります。
2026年度の給付基準額と計算のしくみ
2026年度の給付基準額は月額5620円で、前年度から3.2%引き上げられました。実際の給付額は、この基準額をもとに保険料の納付状況によって次の①と②の合計で算出されます。
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5620円 × 保険料納付済期間 ÷ 480カ月
- ②保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1768円 × 保険料免除期間 ÷ 480カ月
保険料を全額納付した方は①のみ、免除期間がある方は①と②の合算で給付額が決まります。
年金生活者支援給付金は、収入や年金額が一定基準以下のシニア世代をサポートするための心強い制度です。基本的には、年金額が少ない人ほどこの給付金の支給額が多くなるような仕組みになっています。
しかし、ここで絶対に知っておいていただきたいのが「給付額の計算ルール」です。
計算式を見てもお分かりのように、この給付金の額は、過去にきちんと保険料を納めた「保険料納付済期間」と、手続きをして認められた「保険料免除期間」の2つをベースに決定されます。
つまり、過去に保険料を支払わず、免除の手続きもせずに「未納」のまま長期放置していた期間がある場合、ベースとなる国民年金(基礎年金)が減るだけでなく、この年金生活者支援給付金までもが低額になったり、最悪の場合は「ゼロ(無年金)」になったりするリスクがあるのです。
経済的に苦しくて払えない場合でも、しかるべき「免除・猶予の申請」さえしていれば給付金の計算にカウントされますが、単なる「未納放置」は将来の自分にブーメランとなって返ってきてしまいます。「過去に未納期間があるかも……」と不安な方は、手遅れになる前に一度年金事務所へ相談してみることを強くおすすめします。
老齢年金生活者支援給付金の目安
上記のとおり、40年間すべて納付した場合は月額5620円ですが、すべて全額免除だった場合は月額1万1768円と、全額納付の場合の倍以上になります。
この差は、免除によって将来の基礎年金が少なくなってしまう分を、給付金側で補って全体のバランスをとる仕組みになっているためです。
まとめ
加給年金と老齢年金生活者支援給付金はどちらも、老後の年金にプラスして受け取れる可能性があるお金です。
ただし「要件を満たしていれば自動で入ってくる」と思っていると、手続きが漏れたままになってしまうケースもあります。
加給年金は年金請求時に対象であれば加算されますが、配偶者の年金状況が変わった際の届け出が必要です。
年金生活者支援給付金は申請しなければ受け取れず、日本年金機構から送付される請求書に記入・返送する必要があります。
まずは「自分は対象になりそうか」を日本年金機構のウェブサイトで確認し、わからなければお近くの年金事務所に問い合わせてみてください。知っているだけで、受取額が年間数万円単位で変わってくるかもしれません。
参考資料
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
