イオン<8267>、1Q過去最高益でも株価は昨秋から半値。業績と株価はなぜ "ズレる"?
Ned Snowman/shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
17:00
イオン<8267>、1Q過去最高益でも株価は昨秋から半値。業績と株価はなぜ "ズレる"?
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この記事はここがポイント

  • イオン、直近1Q・前期で過去最高益。株価は半値下落、業績との乖離が顕著。
  • 利益はディベロッパー、ヘルス&ウエルネス、アセアンが牽引。本業と異なる複合収益構造。
  • 過去最高益もROE6.4%と低。巨大複合資産の効率性不足が株価の重し。

小売業で、決算が好調となる一方で株価は下落トレンドを脱せない。そんな食い違いが起きている。イオン<8267>の直近1Qは営業収益・営業利益ともに1Qとして過去最高を更新した。だが株価は2025年秋の高値から半分近い水準まで下げている。会社が語る好調の中身と、株価の弱さの間にあるずれを整理していこう。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

2025年11月末をピークに半減した株価

出所:各種資料をもとに筆者作成

イオンの株価は、2025年9月末の1,795円から急伸し、2025年11月末には2,828円と高い水準をつけた。しかしその後はほぼ一本調子で水準を切り下げ、2026年6月末には1,341円と、同じ期間で最も低い月末水準まで沈んだ。7月末は1,364円と小幅に戻したものの、ピークからは半値に近い。

株価が下げ続けた背景を一つに絞るのは難しい。個人消費を巡る見方や相場全体の地合いも影響した可能性がある。ただ、この間に発表された決算は、好調が続いている。株価と業績の向きが逆になっている点が、この銘柄の目下の特徴だ。

1Qは過去最高益。利益ドライバーは何か?

2027年2月期1Qは、営業収益が2兆9,420億円と前年同期比プラス14.6%、営業利益が752億円と同プラス33.6%、経常利益が636億円と同プラス32.3%となった。営業収益・営業利益・経常利益がいずれも1Qとして過去最高を更新した。

会社の説明によると、利益成長ドライバーと位置づけるディベロッパー・エンターテイメント、ヘルス&ウエルネス、アセアンがけん引した。ヘルス&ウエルネスではツルハとウエルシアの統合シナジーが順調に発現し、アセアンではベトナムでの出店拡大が同国の経済成長を取り込んで事業を伸ばしたという。生活必需の支出には節約志向が残る一方、レジャーなど価値消費は底堅いとしており、そのバラツキを事業の広がりで吸収した構図だ。

前期通期も過去最高。株価だけが逆を向く

好調は1Qに限らない。前期の2026年2月期通期も、営業収益が10兆7,153億円、営業利益が2,705億円と過去最高を更新した。純利益は727億円と前期比プラス167.5%に伸びたが、会社はこれを、ツルハの連結子会社化により生じた段階取得に係る差益が構造改革のコストを吸収したためとしている。

過去5期の営業利益をたどると、2022年2月期の1,743億円から、2,098億円、2,508億円と積み上がり、いったん2,377億円へ緩んだのち、直近は2,705億円へと水準を切り上げてきた。にもかかわらず株価は逆を向いており、決算が示す事実と株価の動きが噛み合わないのが、いまの局面だ。

低い自己資本比率が映す「複合企業」の姿

もう一つ押さえておきたいのが財務の形だ。イオンの自己資本比率は7.9%と、事業会社としては極端に低い。これは総合金融事業を抱え、総資産が15兆円規模に膨らんでいるためで、単純な健全性の低さとは意味が異なる。自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益の効率)は6.4%と、小売業の中央値である7%台をやや下回る水準にある。

株主還元では年間配当を15円とし、会社は連続増配を続けている。そのうえで今期の通期については、営業収益12兆円とプラス12.0%、営業利益3,400億円とプラス25.7%のさらなる増収増益を見込む。過去最高益の更新が続く計画だ。利益の増加トレンドと株価の弱さというギャップは、通期を通じても解消されるかどうかが注目を集める。

筆者コメント

過去最高益を更新し続ける会社の株価が、なぜ1年足らずで半値近くまで下げたのか。この問いに一つの答えを出すのは難しいが、事業の中身と市場の評価の間に温度差があることは確かだろう。

会社が挙げた利益ドライバーは、ディベロッパーやアセアン、ドラッグ統合といった、小売の主戦場やメインテーマとはやや離れた領域だ。本業のスーパーが薄利であることは変わらず、複合的に稼ぐ構造が利益を押し上げている。市場がこの構造をどう評価するかは、まだ定まっていないのかもしれない。

見ておきたいのは、過去最高益と低いROEが並列している点だ。利益の絶対額は伸びても、巨大な資産に対する効率はまだ高くない。株価の重さは、この効率の低さを映している面があるとみている。金融を含む複合の資産をどれだけ効率よく回せるかが、市場の評価が変わる分かれ目になりそうだ。

参考資料

  • イオン株式会社 2027年2月期第1四半期決算短信

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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