この記事はここがポイント
- 最新2026年12月期第1四半期、営業利益303億円黒字転換、四半期損失大幅改善。
- 2025年12月期は投資で当期損失、Non-GAAP営業利益1062億円黒字で本業堅調。
- 2025年12月末楽天モバイル優待は2026年5月15日受付終了、次期未発表、現在無配。
スマートフォンやECサイト、銀行、証券など、日々の生活で「楽天エコシステム(経済圏)」で利用されている方は非常に多いのではないでしょうか。
私たちの暮らしに深く根ざしているといっても過言ではない楽天グループですが、株式投資の対象としてはどのような魅力や業績の傾向があるのでしょうか。
今回は、楽天グループ株式会社(東証プライム、証券コード:4755)を例に、投資初心者の方にも実践してもらいやすい「決算短信のサマリーでみる5つのポイント」について、元マネースクール講師のファイナンシャルプランナー(FP)がわかりやすく解説します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※決算情報・業績等は執筆時点での情報にもとづいています。
楽天グループ(4755)人気の「楽天モバイル」特別優待を振り返る
2025年12月末時点の株主を対象とした第29期株主優待のお申込み受付は、2026年5月15日をもって終了しましたが、魅力的だと話題になっていました。どんなものだったか振り返ってみます。
現在、楽天グループの株価は840.4円(2026年7月29日終値ベース)です。株式は100株(1単元)単位で購入するため、最低購入金額は8万4040円となります。
多くの投資家を驚かせた楽天グループの直近の優待制度(第29期・2025年12月末時点の株主が対象)は、以下のような手厚い内容でした。
優待内容
「楽天モバイル」特別ご優待音声+データ30GB/月プランが6ヶ月無料(継続要件をクリアすれば最大1年間無料)で提供されました。
「Rakuten Link Office」アプリの使用で、国内通話や国内SMSも無料になりました。
※今から株式を購入しても第29期の優待を受け取ることはできません。
この第29期の申込受付は2026年5月15日に終了しています。気になる「次の期(2026年12月末分)の優待情報」ですが、現時点では公式な詳細はまだ発表されていません。
前回のインパクトが非常に大きかっただけに、「次回はどんな優待になるのかな?」と発表が楽しみにされる方もいるのではないでしょうか。
また、配当金ですが、楽天グループは有利子負債削減など財務健全性の確保を最優先するため、剰余金の配当を行っておらず現在は「無配」となっています。
楽天グループ(4755)決算短信サマリー「5つのポイント」
魅力的な株主優待がある銘柄でも、それだけで銘柄購入を決めるのは注意が必要です。
決算短信のサマリー「5つのポイント」で手早く把握
今回は、楽天グループを例に1年のまとまった成績発表である「2025年12月期(通期)決算短信」のサマリー(表紙)をベースに、大切なチェックポイントを5つに絞って解説します。
2025年12月期の連結業績(2025年1月1日~2025年12月31日)
ポイント1:売上収益(成長性)~ビジネスの規模は拡大しているか?
売上収益は「会社がどれくらいサービスを提供したか」というビジネスの全体規模を表します。
- 2025年12月期(通期): 2兆4965億7500万円(前期比 9.5%増)
売上は前期から9.5%増と順調に右肩上がりを続けており、約2.5兆円という超巨大なビジネス規模へと着実に拡大していることがわかります。
ポイント2:営業利益(実質的な収益性)& ROE
サマリーに並ぶ通常の「営業利益」と実質的な強みを見る指標、さらにROEをあわせてチェックします。
- サマリー上の営業利益(IFRS): 143億8200万円(前期比 72.9%減)
- Non-GAAP営業利益: 1062億7700万円の黒字(前期は529億7500万円の黒字)
- ROE(自己資本利益率): △18.53%
サマリーに記載の通常の営業利益(IFRS基準)は前期比で減少していますが、一時的な要因や株式報酬費用などを除外して「本来の定常的な稼ぐ力」を評価するNon-GAAP営業利益で見ると、1000億円を超える大幅な黒字(前期比約2倍)となっています。ROE(株主のお金をどれだけ効率よく使って利益を生み出したか)は当期利益が最終赤字のためマイナス表示となっていますが、本業の定常的な稼ぐ力(Non-GAAP)は急速に上向いています。
ポイント3:3つのキャッシュ・フロー(CF)と当期損失
1年間の現金の動きを示す「キャッシュ・フロー」と、最終的な手残りを見てみましょう。
- 営業活動によるCF(本業でお金を稼げたか):+4240億9300万円
- 投資活動によるCF(将来のためにお金を使ったか):△7798億900万円
- 財務活動によるCF(資金の調達や返済の状況):+141億3400万円
- 当期損失:1778億8600万円の赤字
本業の営業活動で4200億円以上の現金をしっかり稼ぎ出していますが、モバイル基地局整備等のためにそれを大幅に上回る約7800億円もの大金を積極的に投資(投資CFのマイナス)に使っています。この設備償却費や有利子負債の利息等の負担がのしかかり最終的には赤字となっていますが、お金の出入り自体は非常に活発に回っていることがわかります。
ポイント4:連結自己資本比率(財務の安全性)~倒産リスクやお金の余裕は?
会社が持っている資産のうち、返済する必要がない自分の資金(自己資本)がどれくらいあるかを示す指標です。
- 2025年12月期末:3.4%
一見すると低く見えますが、楽天グループには「楽天銀行」や「楽天証券」といった金融機関が含まれています。金融業は顧客から預かったお金(預金など=負債にカウントされる)を元手にビジネスをするため、自己資本比率が見かけ上、どうしても非常に低くなってしまう特徴があります。
ポイント5:将来の見通し(業績予想)~これからはどうなる?
今後の業績を左右するチェックポイントです。
- 通期見通し:証券サービスを除く連結売上収益で、一桁後半の成長を目指しています。
楽天市場やトラベルの取扱高の増加、フィンテック事業の安定した推移に加え、楽天モバイルの契約者数の拡大と、利用者がグループ内の複数のサービスを利用する動きが、今後の成長を支える重要なポイントとなります。
最新の四半期決算では、改善傾向がスタート!
通期(2025年12月期)の全体像を掴んだところで、最後に最新の「2026年12月期 第1四半期(3ヶ月間)決算」を見てみましょう。ここを見ると、非常にポジティブな変化が起きていることが一目でわかります。
2026年12月期第1四半期の連結業績(2026年1月1日~2026年3月31日)
- 売上収益: 6435億8300万円(前年同期比 14.4%増)
- サマリー上の営業利益(IFRS): 303億9400万円の黒字(前年同期は154億4400万円の赤字)
- Non-GAAP営業利益: 362億9900万円の黒字(前年同期は3億500万円の赤字)
- 四半期損失(最終損益): 186億4800万円の赤字(前年同期は734億7100万円の赤字)
まとめにかえて
今回は、スマートフォン代が半年〜最大1年間無料になるという家計に直結する非常に魅力的な株主優待が話題となった、楽天グループの第29期株主優待を振り返り、さらに決算短信サマリーの見るポイントを紹介しました。
優待の豪華さだけに注目して投資を判断してしまうのは、やや注意が必要です。企業がしっかりと利益を出せているか、財務の安全性はどうかといった「業績」を客観的に確認することが、自分の大切な資金を守り、賢く育てるためには欠かせないからです。
今回ご紹介した「決算短信サマリー5つのポイント」を時折チェックする習慣を身につければ、気になった企業の現状を、初心者の方でも冷静に見極めることができるようになるかもしれません。
また、最新決算が示すように楽天グループの業績は上向いており、今後の業績推移や、次期の株主還元などの動向に注目していきましょう。
参考資料
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

最新の3ヶ月間では、サマリーに載っている通常の営業利益(IFRS)が、前年同期の赤字から「303億円の黒字」へ黒字転換しました。Non-GAAP営業利益も362億円の黒字と大きく改善しており、最終損益の赤字幅についても前年同期から500億円以上も劇的に縮小しています。
フィンテック事業の成長に加え、楽天モバイルの契約者数増加によるモバイル事業の赤字縮小がしっかりと業績に貢献し始めています。