この記事はここがポイント
- 40代後半からのNISA、老後資金の目標額試算と明確化が第一。
- 投資商品は、日本株と全世界株式の特性理解と分散投資が肝心。
- 長期積立投資、信託報酬など手数料や商品特性の把握が成功の鍵。
【新NISA】40歳代後半から老後資金のためにはじめる「NISAでの積立投資」いくら積み立てればいい?全世界株式or日本株どっちがいい
老後資金づくりをNISAではじめようーそう考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのが、「いくらを目標にすればいいのか」、そして「何を選べばいいのか」という二つの壁です。今回は、40歳代後半の会社員の方が老後資金づくりに踏み出すケースを例に、この二つの悩みをどう整理していけばよいのかを、以前は証券会社で勤務をしており、現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として働いている筆者の視点から解説します。
株価が高いのに今からはじめてもいい?とはいえ50歳代からでは遅い?
40歳代後半の会社員がNISAで老後資金づくりを始める際、まず「いくらを目標にすればよいのか」という金額の悩みに直面します。日経平均株価は2026年7月29日の終値で6万1434円となっていますが、この方は昨今の株価の上昇を目にしていま投資をはじめていいのかと悩む一方、「50歳代でNISAを始めるのは遅いのでは?」という不安もありました。45歳から65歳までと考えれば20年間ですが、50歳から65歳までだと15年間と投資期間が減ります。
もっとも、実際に試算をしてみると、老後資金の不足額は思っていたより小さいので過度なリスクを取ってリターンを求める程ではないと気付かれました。まずは実際に「自分に必要が老後資金額」を明確にすることが大切なのです。
積立投資で選ぶファンドは全世界株式?それとも日本株?
とはいえ、投資金額は試算などで決められるものの、「積立投資をするにしても、つみたて投資枠で何を選べばよいのか」と悩む方も多いのです。
この方は世界の株式に幅広く分散する投資信託にするか、日本株に投資をするかで悩まれていました。国内であればわかりやすいものの、全世界株式となるとそれぞれの値動きやリスク、また手数料なども考えないといけません。考えるべきポイントが多いことも悩みを膨らませていました。
40歳代後半からはじめるNISA、今からしたいこと。鍵はシミュレーション
IFAとして40歳代後半からはじめるNISAについてお伝えしたいのは、まずは、目標額を決めるところからです。
まず目標額を「試算」で具体的な数字にすることです。漠然とたくさん必要と思い込むと、不安ばかりが大きくなります。手元の資産や見込みの年金をもとに老後の不足額を試算してみると、意外と現実的な金額に落ち着くことも少なくありません。目標がはっきりすれば、毎月の積立額も、必要な運用期間も見えてきます。過度なリスクを取らずに済む、と分かることもあります。
目標額が見えたら、次は商品選びです。
商品選びについては、まず一つの商品や資産に偏らず、分散をすること。日本株に連動する投資信託だけ、世界株に連動する投資信託だけ…といった一点集中は、その資産が不調のときに弱くなります。基本的に積立投資は10年、20年…と長期的に積み立てを継続することでリターンを求めることになるもの。「長期間投資したいと思える商品」を選ぶことが大切です。不安なのであれば、リスクを軽減するためにも分散して投資をするといいでしょう。
また、それぞれの値動きの特性とリスクを理解してから組み合わせることです。たとえば金融商品の場合は、株式は値動きが大きい一方でリターンも期待でき、債券は比較的おだやかに利子を受け取れる、といった性格の違いを踏まえると、自分でもどう配分すべきかわかるでしょう。
日本株と全世界株式に投資する投資信託であれば、日本株は一国集中で投資をしており、全世界株式であれば投資することを分散しているなどの違いがあります。また、未来のことはわからないので過去の実績がそのまま運用成績となることは期待できませんが、これまでの実績をもとにシミュレーションをしてみるのも一つです。いずれもメリット・デメリットがあるので、それらを洗い出して自身が投資したいと思えるものを選んでいくことが大切です。
野村證券で勤務経験のある監修者からのアドバイス
老後資金づくりは、「いくら」と「何を」の二つでつまずきがちです。けれど、どちらも一度に完璧に決める必要はありません。
まず試算で目標額のあたりをつけ、次に、値動きの違うものを組み合わせて商品を整えていく。この順番で一つずつ進めるだけで、迷いはずいぶん軽くなります。
証券会社で勤務していた経験を振り返り思うのは、始めるのに「遅すぎる」ということは、案外少ないということです。40歳代後半や50歳代からでも、目標を定めて無理のない範囲で続ければ、時間はまだ味方になってくれます。
完璧な正解を探すよりも、確かめながら整えていく。まずは、老後の不足額を試算してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
NISAをはじめるときに知っておきたい用語
最後に本文で触れた、NISAをはじめるときに知っておきたい言葉を整理しす。
- NISA・つみたて投資枠:NISAは、投資で得た利益にかかる税金が一定の範囲で非課税になる制度です。「つみたて投資枠」は、そのうち、長期の積立・分散に向いた投資信託を、毎月少しずつ積み立てていくための枠です。
- 投資信託:多くの人から集めた資金を、専門家が株式や債券などに分散して運用する商品です。手数料がありますが、特に保有している間、運用管理の費用(信託報酬)がかかるので確認しましょう。
- インデックス運用:特定の株価指数に連動することをめざす運用です。市場全体の動きにあわせて値動きするのが特徴です。
- 分散:値動きの異なる資産に資金を分けて持つことで、一つの資産が値下がりしたときの影響をやわらげる考え方です。
- 手数料(信託報酬など):投資信託を保有している間にかかる、運用管理の費用などです。長く持つほど、最終的な成果に効いてきます。
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びAFP。SMBC日興証券出身。証券会社でのリテール営業の経験を活かし、現在はIFAとして老後資金の準備や相続相談などを得意とした個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。

IFAの立場からみると、この二つの悩みは、順番に整理していくのが近道です。
先に「いくら」を決め、次に「何を」を考える。逆にすると、目標が定まらないまま商品ばかりを探すことになり、迷いが深まります。金額は、漠然とした不安のまま大きく見積もっても、少なく見積もって備えが足りなくなっても困ります。
だからこそ、まずは試算で現実的な目標額を出すこと。そのうえで商品選びは、「正解の一本」を当てにいくのではなく、値動きの異なるものを組み合わせて全体で整える、と考えることが大切です。