65歳以降も働くなら年金は繰下げ受給すべき?iDeCo・退職金と合わせたベストな受け取り方
HOTAKA_N/shutterstock.com
パーソナルファイナンスニュース

65歳以降も働くなら年金は繰下げ受給すべき?iDeCo・退職金と合わせたベストな受け取り方

複数の制度が絡み合い最適な出口が見えない…”損得”だけで決めないベストな出口戦略

執筆者神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
11:22
65歳以降も働くなら年金は繰下げ受給すべき?iDeCo・退職金と合わせたベストな受け取り方
HOTAKA_N/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • 就労継続時の年金繰下げは、損得より長生きリスクへの備えと割り切る判断。
  • iDeCoと退職金控除は、年金と組み合わせた受け取り順序・タイミングでの税金面の有利不利判断基準。
  • 年金やiDeCoの選択は、損得より管理の手間や性格に合った「心地よさ」を優先する判断。

65歳以降も会社員として働く予定がある場合、まず直面するのが「年金をいつから受け取るべきか」という問題です。

年金は繰り下げるほど受給額が増える仕組みですが、一方で「iDeCo(イデコ)」や「退職金」の受け取り時期も絡んでくると、どの組み合わせが自分にとって最適なのか判断に迷ってしまうものです。

今回は、すでに退職金を受け取り、資産運用を続けながら65歳以降も働く予定の60代の実例をもとに、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点を交えて、後悔のない選択をするための考え方と注意点を解説します。

年金、iDeCo、退職金…これだけ多くの制度が一度に押し寄せたら、誰だって「何が正解か」分からなくなりますよね。

それぞれ独立した制度なのに、受け取る時は全部繋がっているのが厄介なところです。

まずは、絡まった糸を一本ずつ優しく解いていくことから始めましょう。

【お悩み】65歳以降も就労収入はあるが、複数の制度が絡み合い最適な出口が見えない

すでに一度退職金を受け取り、これまで着実に資産運用を続けてきた60代のシニア。65歳以降も会社員として働き続ける予定があるため当面の生活費には困らないものの、新しく浮かんできた「年金の繰下げ受給」という選択肢に頭を悩ませていました。

年金は繰り下げれば毎月の受給額は増える仕組みですが、それが得になるかどうかは「何歳まで生きるか」次第であり、誰にも正解が分かりません。

さらにこのケースでは、iDeCoの一時金をいつ、どう受け取るかという判断も重なっていました。

退職金控除はすでに一度使っており、iDeCoの一時金を受け取るタイミング次第で、控除の使い方や税金の有利・不利が変わってくることも悩みを複雑にしていました。

年金・iDeCo・退職金という複数の制度が絡み合う中で、それぞれを個別に考えるのではなく、全体としてどう受け取るのが自分に合っているのか、判断のよりどころが定まらない状態が続いていました。65歳以降も収入がある分、年金をすぐに受け取らなくても当面の生活には困らないものの、「では何を基準に繰り下げるかどうかを決めればよいのか」と、迷いは尽きません。

【FPの視点】同じ悩みを持つ人が、まず自分で確認すべき4つのチェックポイント

このような複雑な悩みに直面した際、FPは単に制度の損得を計算するだけでなく、個々の「背景」や「価値観」を確認します。

もしあなたも同じような迷いをお持ちなら、まずはご自身で以下の4つのポイントを整理してみましょう。

  • 1. 65歳以降の「確実な収入」と「生活費」のバランス: すぐに年金を受け取らなくても、働いて得られる給与だけで日々の生活が成り立つかどうかを確認します。家計に余裕があるなら、受け取りを急がないという選択肢を検討する余地が生まれます。
  • 2. 過去の退職金受給歴と「退職所得控除」の使用状況: すでに退職金を受け取っている場合、その「時期」や「勤続年数(加入期間)」を確認します。iDeCoの一時金受給との間隔によって、退職所得控除を最も有利に使えるかどうかのルールが変わるため、過去の履歴を正確に把握することが不可欠です。
  • 3. これまでの資産運用のスタイルと経験: 投資に対してどのようなスタンスを持っているかを確認します。過去の価格変動に対して冷静にいられたか、仕組みを理解してじっくり待てるタイプかどうかは、年金の受け取り方を決める大切な要素になります。
  • 4. 老後管理の手間に関する「性格的な好み」 :お金の管理にどれくらいの手間をかけたいかを確認します。常に数字を気にするのがストレスになるのか、それとも多少複雑でも最も有利な方法を追求したいのか、ご自身の性格を見つめ直します。

これらのチェックポイントを踏まえた上で、実際にどのような考え方や注意点にたどり着いたのか、詳しく解説します。

【解決策】損得の計算にとらわれず、複数の制度を横並びで整理する

FPとの対話を重ねる中で、複雑に絡み合った制度を紐解き、自分なりの納得のいく考え方や注意点にたどり着いた実例があります。

これから判断を下す方にとっても、大きな指針となるポイントを見ていきましょう。

繰下げ受給は「損得」ではなく「長生きリスクへの備え」と割り切る

年金の繰下げ受給が得になるか損になるかは、誰にも分からない「寿命」次第です。

「年金も長生きを前提とするなら繰り下げも選択肢だが、最終的には個人の判断が重要」という気づきの通り、繰り下げが得か損かを断定できる一律の正解はありません。

65歳以降も収入があり当面の生活に困らないのであれば、繰り下げは有力な選択肢の一つですが、それを選ぶかどうかは「自分がどんな老後を想定するか」次第だと割り切ることが、判断の出発点になります。

iDeCoと退職金控除は「受け取りの順序とタイミング」をセットで整理する

iDeCoの一括受け取りは税金面で有利な場合が多いと理解した一方で、退職金控除をすでに一度使っている場合は注意が必要です。

控除の重複や受け取り時期によって有利・不利が変わることもあるため、年金の繰り下げだけを単独で考えるのではなく、iDeCoや退職金との受け取り順序・タイミングをセットで整理することが欠かせません。

65歳以降も働き続けて収入がある間は、あえて受け取りを急がない選択肢も含めて、複数の制度を横並びで見比べる余裕が生まれます。

焦って結論を出さず、リスクや手数料を含めて理解する

これまでも資産運用を続けてきたこの方は、債券の価格変動や格付けの変化に慌てず、「満期まで保有すれば元本と利子は変わらない」といった仕組みを理解したうえで判断してきました。

年金の受け取り方についても同様に、シミュレーションや制度の説明を確認しながら、時間をかけて自分なりの結論に近づいていく姿勢が役立ちます。

数字だけを見て高利回りに飛びつくのではなく、手数料やリスクまで含めて理解してから動くという運用の習慣は、年金の判断にもそのまま活かせます。

自分の性格やライフスタイルに合った「心地よさ」を選ぶ

「株や債券の利率とかずっと見てると、他の仕事何もできなくなっちゃうので、なるべくほったらかしでいいものがいい」という言葉は、非常に本質的です。

老後の生活設計では、繰下げによる増額(数字)を追い求めることだけが正解ではありません。「管理の手間がかからない安心感」という、数字には表れない基準を優先しても良いのです。

65歳以降も働くこと自体が一つの安心材料になるのであれば、年金はその安心感を補強する形で位置づけるという考え方もできます。

65歳以降の働き方に合わせた「後悔のない年金プラン」を作るために

年金の繰下げやiDeCoの受け取り方は、単純な損得計算だけで割り切れるものではありません。

特に65歳以降も仕事を続ける場合、本業やプライベートの時間を削ってまで「最も得する方法」にしがみつく必要はないのです。

まずはご自身の就労収入や過去の退職金履歴を整理し、他の制度との兼ね合いを横並びで確認しましょう。

そして何より、焦らずに「自分の性格」や「理想の生活スタイル」に合った心地よい方法を選ぶことこそが、後悔の少ないリタイアメントプランにつながります。

Google で優先するソースとして追加
神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級

関連タグ