この記事はここがポイント
- 日本の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年で41年連続世界一の長寿国
- 高齢者世帯の総所得に占める年金割合は61.3%、年金のみ世帯は41.3%
- 60代二人以上世帯の平均貯蓄額2683万円、中央値1400万円(2025年調査)
【最新の日本の平均寿命】男性81.35年、女性87.33年で女性は41年連続世界1位。人生100年時代へ近づいていく
2026年7月24日に公表された厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」によれば、日本の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年といずれも延びています。
人生100年時代といわれますが、日本の女性の平均寿命は41年連続首位に。基本的には年々平均寿命がのび、人生100年もだんだんと現実味を帯びていると考えられるでしょう。
老後の生活の柱は公的年金ですが、一般的な年金受給開始年齢は65歳から。平均寿命であれば十数年~二十年以上、人生100年であれば約35年間、年金を柱に生活することになります。しかし、年金だけが所得の100%を占める高齢者世帯は半分以下です。
今回は日本の平均寿命を世界からの視点でもみて確認した後、高齢者の所得や年金、貯蓄額も深掘りしていきましょう。
日本人の平均寿命は、どこまで延びている?年次推移は
最新の日本平均寿命
厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」によると、2025年の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年となっており、男女ともに延びています。平成2年には男性75.92年、女性81.90年でしたが、平成27年に男性は80.75年、女性は86.99年となり、基本的に日本の平均寿命は延びているでしょう。
最新の世界の平均寿命
女性の87.33年は、国別でみると世界でもっとも長く41年連続で1位です。
男性の平均寿命
男性の81.35年も、スイスやイタリアなどと並ぶ長寿国のひとつ。日本は、世界でも有数の長生きの国といえます。
長生きが当たり前になるほど気になるのが、「老後は何年続くのか」です。同じ簡易生命表から平均余命(その年齢の人が平均してあと何年生きるか)をみると、60歳の人は男性23.86年、女性29.07年、70歳の人は男性が15.78年、女性が20.10年。つまり60~70歳の女性は、平均しておよそ90歳まで生きる計算です。
長い老後は喜ばしい一方で、その年数だけ、暮らしを支えるお金も必要になります。まずは、同世代がどれくらい蓄えているのかをみていきましょう。
「所得が年金のみのシニア」は半分以下。「高齢者の所得や貯蓄」の実態を探る
老後の収入の柱は、公的年金です。厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(65歳以上の人だけ、または18歳未満の未婚者が加わった世帯)の総所得に占める公的年金・恩給の割合は61.3%。働いて得る稼働所得は25.9%で、家計のおよそ6割を年金が支えていますが、それ以外の所得もある程度を占めています。
高齢者の所得
さらに、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、「公的年金・恩給だけで暮らしている」(総所得に占める割合が100%の)世帯は41.3%にのぼります。
年金が所得に占める割合
つまり、半分以上の世帯は年金のみの所得ではありません。
年金は老後の土台として心強い一方、それだけでゆとりある暮らしまでまかなえるとは限りません。年金で足りない分を、貯蓄の取り崩しや、働き続けることで補う世帯も多いのが実情です。長生きが当たり前になるなか、「公的年金+自分の蓄え」で長い老後をどう支えるかが問われているでしょう。
【60歳代・70歳代の平均貯蓄額】二人以上世帯・単身世帯はそれぞれいくらか
では年金を支える貯蓄について、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」で確認しっましょう。60歳代・70歳代の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
60歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
60歳代の貯蓄円グラフ
60歳代の二人以上世帯は、平均2683万円・中央値1400万円。退職金が加わる世帯もあり、2000万円以上の世帯が39.6%に増える一方、貯蓄のない世帯も12.8%あります。
70歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
70歳代の貯蓄円グラフ
- 70歳代二人以上世帯:平均2416万円/中央値1178万円
70歳代の二人以上世帯は、平均2416万円・中央値1178万円。年金生活のなかで少しずつ取り崩す世帯が増え、60歳代よりやや下がります。それでも2000万円以上が37.5%を占め、貯蓄のない世帯は10.9%です。
60歳代単身世帯の貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま60歳代の貯蓄額
- 60歳代単身世帯:平均1364万円/中央値300万円
60歳代の単身世帯は、平均1364万円・中央値300万円。2000万円以上の人が21.1%いる一方、貯蓄のない人も30.4%と、二人以上世帯より高くなっています。
70歳代単身世帯の貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま70歳代の貯蓄額
- 70歳代単身世帯:平均1489万円/中央値500万円
70歳代の単身世帯は、平均1489万円・中央値500万円。60歳代より中央値が上がり、貯蓄のない人は20.4%に下がります。2000万円以上は25.4%です。
人生100年時代に向けた具体的な備えを
平均寿命は年々伸びていますが、平均的な高齢者は総所得に占める公的年金・恩給の割合は61.3%で、それ以外の所得もある状況です。また、貯蓄額をみても個人差や世帯差が大きく、人生100年時代では心もとなさを感じる人も少なくないでしょう。
人生100年時代の老後の対策としては、まず「わが家の年金額」を正確に把握すること。ねんきんネットやねんきん定期便で、世帯として毎月いくら受け取れるかを確かめます。年金で生活費をまかなえるか、足りない分はいくらかが、家計づくりの出発点になるでしょう。
また長い老後を前提に、貯蓄の取り崩しペースも計算したいところ。平均寿命が延びるなか、90歳、95歳まで続く暮らしを想定し、1年間に使う額を決めておくと、蓄えを長持ちさせやすくなります。
そして、年金以外の「小さな収入」も検討すること。短時間の仕事や、趣味を生かした収入など、無理のない範囲で年金を補う手立てがあると、家計にゆとりが生まれる場合もあります。
長い老後は、年金という土台に、自分の蓄えと工夫を重ねて支えていくものです。まずは、わが家の年金額と毎月の生活費を書き出して、現在地を確かめることから始めてみませんか。
参考資料
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。

元証券会社社員の筆者は、長年経済や金融に関する記事の編集者として公的資料を確認していますが、日本の平均寿命が延びる一方で、高齢者の年金や貯蓄の実態をみると早くから公的年金や資産形成の備えの重要性を感じています。
最新の厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」を確認しながら、高齢者の年金や貯蓄の実態を確認し、老後の備えを考えていきましょう。