この記事はここがポイント
- 65歳を迎える方へ年金請求書は誕生月の3カ月前に届き、戸籍謄本などの添付書類を準備し65歳の誕生日以降に提出
- 年金の受給開始を66歳以降に繰り下げると、最大75歳で年金額が84%増額する選択肢を検討
- 要件を満たす場合、年金請求書と同時に届く「年金生活者支援給付金請求書」で給付金を請求
2026年は昭和36年(1961年)生まれの方が65歳を迎える年です。
「そろそろ年金請求書が届くはず」と、誕生日を心待ちにしている方もいるのではないでしょうか。
緑色の封筒で届く「年金請求書」を前に、「何をどう書けばいいのか」「いつまでに提出すればいいのか」と戸惑う方は少なくありません。
銀行員時代も、65歳前後のお客さまから「書類が届いたけれど、どこから手をつければいいかわからなくて……」とご相談を受けることが度々ありました。
今回は、日本年金機構の資料をもとに、65歳の誕生日を迎えた方(または今年迎える方)に届く年金請求書への対応方法を、順を追って整理します。
年金の基本:国民年金と厚生年金の「2階建て構造」
年金請求書の内容を確認する前に、公的年金の基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。
厚生年金と国民年金の仕組み
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成る2階建て構造です。
老齢基礎年金・老齢厚生年金は原則として65歳から受給できますが、自動的に振り込まれるわけではなく、「請求手続き」が必要です。
この手続きのために日本年金機構から送られてくるのが「年金請求書」です。
2026年度の年金額の目安
2026年度に65歳を迎える方は、以下の水準をベースに、加入期間や報酬に応じた金額が支給されます。
令和8年度の年金額の例
- 国民年金(老齢基礎年金):月7万608円(1人分・40年間納付の満額)
- 厚生年金:月23万7279円(夫婦2人分の標準的な場合)
実際の受取額は個人によって異なります。自分の見込み額はねんきんネットや、毎年届く「ねんきん定期便」でも確認できます。
65歳の年金請求書、届いたらどうする?
年金請求書が届いたときに確認しておきたいポイントを、順番にご紹介します。
①送付されるタイミング:65歳の誕生月の3カ月前
年金請求書(緑色の封筒)は、原則として65歳の誕生月の3カ月前に、日本年金機構から自宅に送付されます。
1961年(昭和36年)生まれの方であれば、2026年中の該当タイミングで届きます。
②封筒の中身を確認する
封筒の中には、以下の書類が同封されています。届いたらまず全部取り出して、内容を確認しておきましょう。
- 年金請求書(本紙)
- あなたの年金加入記録の一覧
- 手続きの案内リーフレット
- 返信用封筒
年金加入記録は「ねんきん定期便」で確認してきたものと同じ形式です。
内容を照合し、記録に漏れや誤りがあれば、年金事務所に相談して訂正手続きを行いましょう。
③提出時期:65歳の誕生日以降に提出できる
年金請求書を提出できるのは「65歳の誕生日以降」です。提出先はお近くの年金事務所または年金相談センターとなります。
誕生日より前に提出しても受理されないため、ご注意ください。
④必要な添付書類を準備する
請求書の提出には、以下の書類が必要です。事前に準備しておくとスムーズです。
- 戸籍謄本(または戸籍抄本)
- 住民票(世帯全員分)
- 本人の預金通帳(振込先確認用)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 配偶者がいる場合は、配偶者の年金証書など
加給年金や振替加算の対象となる可能性がある場合は、配偶者の年金情報も必要になります。
⑤繰下げ受給を検討する場合は「あえて請求しない」選択肢も
65歳で年金を請求せず、66歳以降まで受給開始を遅らせる「繰下げ受給」という選択肢もあります。
1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額され、最大75歳まで繰り下げると84%の増額になります。
60代前半に就労収入が十分ある方にとっては、検討する価値がある制度です。
ただし、ご自身の健康状態や家計の状況によっても判断は変わりますので、家族とも相談しながらじっくりと考えてみてください。
⑥手続きを長期間放置すると「時効」に注意
年金の請求権は5年で時効となります。
65歳になった後も長期間請求しないでいると、さかのぼって受け取れる期間が短くなる可能性があります。
「繰下げを選ぶ予定ではないが、手続きをまだしていない」という方は、早めに対応することをおすすめします。
年金請求書と一緒に届く場合がある「年金生活者支援給付金請求書」とは
一定の要件を満たす方には、年金請求書と同じ封筒の中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
見落としがちな書類ですが、対象の方には大切な給付ですので、こちらも確認しておきましょう。
支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給を受けるには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
- 請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税である
- 前年の年金収入とその他の所得の合計が、一定の基準以下である
所得の基準は生年月日によって異なります。
- 昭和31年4月2日以後生まれの方:老齢年金生活者支援給付金は809,000円以下の方、補足的老齢年金生活者支援給付金は809,000円を超え909,000円以下の方
- 昭和31年4月1日以前生まれの方:老齢年金生活者支援給付金は806,700円以下の方、補足的老齢年金生活者支援給付金は806,700円を超え906,700円以下の方
なお、障害年金・遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
2026年度の給付額(基準額)
2026年度(令和8年度)の給付基準額は月額5620円です。
ただし、これはあくまでも基準額であり、実際の給付額は保険料の納付済期間や免除期間などに応じて算出されます。
請求書は65歳になる誕生日の前日以降に提出できます。年金請求書と同じタイミングで手続きを済ませておくと、受け取り忘れを防げます。
まとめ
65歳の年金請求書は、老後の生活設計における大切な出発点となる書類です。
緑色の封筒が届いたら、まず同封の加入記録を確認し、添付書類を揃えた上で、誕生日以降に年金事務所へ提出しましょう。
年金生活者支援給付金の請求書が同封されている場合は、こちらも忘れずに対応してください。
繰下げ受給を検討している方は、受給開始時期について家族とも相談しながら、ご自身のライフプランに合った選択をしていただけると良いと思います。
手続きに不明な点があれば、お近くの年金事務所(要事前予約)や「ねんきんダイヤル」へ相談を。
マイナポータルの「ねんきんネット」からも、ご自身の記録や見込み額をいつでも確認できます。
参考資料
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
