この記事はここがポイント
- 富裕層・超富裕層は2023年に過去最高の165.3万世帯、純金融資産469兆円に到達した現状。
- 資産を「育てる」意識を持つ「いつの間にか富裕層」など、新タイプの富裕層が増加傾向。
- 年収3000万円超で暗号資産等、5000万円以上でFXや現物資産等への投資対象の多様化。
2026年も7月中旬を迎え、夏のボーナスを受け取られた方も多いのではないでしょうか。筆者はファイナンシャルプランナーとして多くの方の資産相談をお受けする中で、「自分には富裕層なんて縁遠い話だ」と感じている方が少なくないと感じます。
しかし、経済の先行きが不透明な中でも、実は日本国内では純金融資産1億円以上を持つ「富裕層」の数が過去最多を更新し続けているのです。
なぜ今、富裕層は増えているのでしょうか。
この記事では最新の調査データを基に、ごく普通の会社員からでも着実に資産を築くためのヒントを探ります。
富裕層ピラミッド「頂点」にいる人、純金融資産5億円以上《超富裕層》は約11万世帯
「お金持ち」の定義は人によってさまざまですが、株式会社野村総合研究所は一つの基準を提示しています。それは、預貯金や株式などの金融資産の合計から、住宅ローンといった負債を差し引いた「純金融資産額」に基づき、世帯を5つの階層に分類するものです。
純金融資産額で分類される5つの階層とその世帯数とは
- マス層(3000万円未満):およそ4424万7000世帯
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):およそ576万5000世帯
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):およそ403万9000世帯
- 富裕層(1億円以上5億円未満):およそ153万5000世帯
- 超富裕層(5億円以上):およそ11万8000世帯
この分類では、純金融資産1億円以上の世帯が「富裕層」、5億円以上が「超富裕層」と定義されています。最新の推計によると、この2つの層を合わせると約165万3000世帯に達します。
この数字は、日本の全世帯のうち約33世帯に1世帯(約3%)が富裕層に当てはまることを意味します。現在の日本では、純金融資産3000万円未満の「マス層」が最も多く、全体の約8割を占める状況です。
富裕層と聞くと遠い世界の話に感じるかもしれませんが、近年ではマス層から着実に資産を増やし、準富裕層や富裕層へとステップアップする世帯が増える傾向にあります。
「いつの間にか富裕層」が増加中?資産1億円超え世帯の実態
リーマン・ショックや東日本大震災の後に一時的な減少は見られたものの、日本の富裕層・超富裕層は過去10年ほどで著しく増加し続けています。
富裕層の世帯数と資産総額は右肩上がりで推移
株式会社野村総合研究所の推計によれば、2013年に100万世帯を超えてからも増加は続き、2023年には過去最高となる165万3000世帯(純金融資産総額469兆円)に到達しました。近年の急激な増加は、歴史的な株価の上昇や円安の進行が主な背景にあると考えられています。
- 2005年:86万5000世帯 / 213兆円
- 2013年:100万7000世帯 / 241兆円
- 2023年:165万3000世帯 / 469兆円
資産を「育てる」意識を持つ、2つの新しい富裕層タイプ
近年では、地主や企業の創業者といった伝統的な資産家とは違う、新しいタイプの富裕層が生まれています。
「いつの間にか富裕層」
特別に年収が高いわけではなくても、40歳代から50歳代の会社員が長年の勤務と投資を両立させ、複利の効果を活かして資産を築いた層です。
「スーパーパワーファミリー」
パワーカップルをさらに超える、世帯年収3000万円以上の都市部に住む共働き世帯を指します。50歳代にかけて急速に資産を形成する点が特徴です。
これらの新しい富裕層に共通するのは、資産をただ「守る」だけでなく、積極的に「育てる」という考え方を持っていることです。
年収3000万円・5000万円の壁とは?富裕層の資産ポートフォリオを解説
株式会社博報堂の博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)が公表した「新富裕層調査2025」から、富裕層の資産ポートフォリオの実態が見えてきました。
世帯年収別での「金融資産1億円以上」世帯/「同5億円以上」世帯の構成比」
「株式」や「NISA」は高所得者層に広く普及しており、世帯年収による保有率の差はあまり見られません。しかし、年収が「3000万円」や「5000万円」といった節目を超えると、投資対象が急に多様化し、より高度なものへと変化していく傾向があります。
世帯年収3000万円を超えるとオルタナティブ資産への投資が本格化
リスク資産や現物資産への投資が広がりを見せます。一般的な投資商品だけでなく、より独自性の高い運用を行う傾向が強まるのがこの層です。
- 暗号資産(仮想通貨など):21.8%
- アクティブファンド:20.9%
- REIT(不動産投資信託):20.7%
世帯年収5000万円以上では専門的な金融商品や「現物資産」が人気に
年収が5000万円を超えると、さらに専門性の高い金融商品や、インフレ対策としても有効な「現物資産」への投資が活発化します。
- 専門性の高い金融商品:FX(28.2%)、社債(22.9%)、先物・オプション(16.0%)、プライベートエクイティ(15.4%)
- 価値のある現物資産:時計・宝飾品など(23.5%)、金(21.0%)、アート(16.8%)
将来の安心へつなげる、着実な資産形成の第一歩
日本の富裕層の実態を詳しく見ていくと、彼らが特別な存在というわけではなく、日々の仕事と地道な資産形成を両立させる「継続力」を持っていることが理解できます。
自分自身の資産状況を客観的に把握することは、他人と比べるためではありません。それは、各家庭に合った将来の目標を設定するための、大切な第一歩といえるでしょう。
新NISAなどの制度も活用しながら、これからの生活を見据えた「我が家らしい資産の育て方」を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
