【お盆に要チェック】70歳代の「貯蓄と家計事情」 実家の“ゴミ屋敷化”リスクをどう考える?
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【お盆に要チェック】70歳代の「貯蓄と家計事情」 実家の“ゴミ屋敷化”リスクをどう考える?

70歳代の「貯蓄」事情より深刻な、実家の“ゴミ屋敷”化リスク。親の体力が衰える前に考えたい防衛策を、相続診断士が介護経験を交えて解説します

執筆者熊谷 良子編集記者
19:06
【お盆に要チェック】70歳代の「貯蓄と家計事情」 実家の“ゴミ屋敷化”リスクをどう考える?
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この記事はここがポイント

  • 親の介護や実家じまいの隠れコストが、子世代の家計を圧迫する課題
  • 70代夫婦無職世帯は中央値貯蓄1178万円、約15%が100万円未満、月約4.2万円の赤字
  • ゴミ屋敷化や2024年4月からの相続登記義務化による空き家放置リスク、生前整理が必須

もうすぐお盆の季節ですね。

帰省して、離れて暮らす親御さんと顔を合わせる機会になるという方も多いのではないでしょうか。

筆者は、官公庁などの一次データの分析結果や自身の介護経験も踏まえて「お金とくらし」の情報を発信しています。

熱中症も気になるこの時期になると、実家の様子や親の暮らし、そして老後のことがいつも以上に気になったものです。

総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」などによれば、高齢無職世帯の家計は赤字傾向が続いており、預貯金の取り崩しが表面化しています。

親の年金や貯蓄だけで老後の費用をまかなえるのか不安がよぎる中、近年子世代の頭を悩ませているのは、「実家のゴミ屋敷化」に伴う片付け費用や、法改正による「空き家放置リスク」といった隠れコストの問題です。

今回は、最新のデータから親世代のリアルな貯蓄・家計事情をひも解きつつ、私たち子世代の家計をも脅かす「実家じまい」の隠れコストについて一緒に考えてみましょう。

今の70歳代のリアルな貯蓄額。「ゆとりある老後」は一部だけ?二極化するシニア家計の実態

親が70代になり、本格的な年金生活に入ると、子世代としては「親自身の貯蓄で老後を不自由なく過ごせるのだろうか」と気になり始めるものです。

実際のところ、今の70歳代にはどのくらいの貯蓄があるのでしょうか。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」のデータから、70歳代・二人以上世帯のリアルな金融資産保有額(金融資産非保有世帯を含む)を見てみましょう。

【70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額】

【円グラフ】70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額

【円グラフ】70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額
出所 : J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO&ファイナンス編集部作成
  • 平均値:2416万円
  • 中央値:1178万円

これを見ると「平均2000万円以上もあるのか」と安心するかもしれませんが、平均値は一部の高額資産保有者によって大きく引き上げられる傾向があります。

より一般的な実感に近いとされる「中央値」を見ると、その額は半分以下の1178万円にとどまっています。

さらに、貯蓄額の分布状況を詳しく見ると、シニア世代の深刻な「二極化」が浮き彫りになります。

  • 金融資産非保有(貯蓄ゼロ):10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 3000万円以上:25.2%

「3000万円以上」のゆとりある世帯が25.2%を占める一方で、生活防衛資金となる貯蓄を持たない「金融資産非保有(貯蓄ゼロ)」の世帯が10.9%も存在します。

これに「100万円未満」と合わせると、約15%の世帯が日々の生活費を賄うだけで精一杯という厳しい状況にあることが分かります。

年金だけでは生活費が不足する現実。ふくらむ「想定外の出費」

総務省の家計調査(2025年)によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支は、収入の大半を年金に頼る中で毎月数万円の赤字が発生しており、不足分は手元の貯蓄から取り崩していくことになります。具体的な内訳を見てみましょう。

【65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(月額)】

65歳以上の夫婦のみの無職世帯

65歳以上の夫婦のみの無職世帯
  • 実収入:25万4395円
  • うち社会保障給付(年金など):22万8614円(実収入の89.9%)
  • 非消費支出(税金・社会保険料など):3万2850円
  • 消費支出(日々の生活費):26万3979円
  • 毎月の赤字(差額分):4万2434円

収入の約9割を年金などの社会保障給付に頼っていますが、税金や社会保険料、そして日々の生活費を支払うと、毎月約4.2万円の赤字が生じていることがわかります。

これは、年間でおよそ50万円、10年間で約500万円の貯蓄が生活費の補填だけで消えていく計算です。

親が健康に暮らし、計画通りに毎月少しずつ貯蓄を取り崩していく分には、中央値レベルの貯蓄があればなんとか乗り切れるかもしれません。

しかし、長寿化とインフレが同時進行する現在において、物価高に対して脆弱な貯蓄にゆとりのない世帯は生活が圧迫されやすくなります。

筆者自身も親を老人ホームに入居させた経験がありますが、入居後におむつ代や医療費、物価高による月額費用の値上げなど、後から追加でかかる費用が思いのほか多く、驚いたものです。

万が一、親の施設入居や介護が始まった際、親のお金だけで賄えなければ、最終的に子世代が金銭的な支援を行う必要が出てきますね。

子世代の家計を直撃?「実家のゴミ屋敷化」と「放置リスク」という重い隠れコスト

そして近年、子世代の貯蓄や労力を一気に奪う深刻な問題として急浮上しているのが、親が住む「実家」の問題です。

株式会社AlbaLinkが「実家がゴミ屋敷化した経験がある」418人を対象に実施した「実家のゴミ屋敷化に関する意識調査」によると、実家がゴミ屋敷化してしまった理由として以下の結果が出ています。

【実家がゴミ屋敷化した理由ランキング】

実家がゴミ屋敷化した理由

実家がゴミ屋敷化した理由
  • 1位:体力の低下(22.5%)
  • 2位:もったいない精神(16.5%)
  • 3位:片付けが苦手(14.4%)
  • 4位:買い物のしすぎ(11.5%)
  • 5位:認知症・病気の影響(10.2%)
  • 6位:収集癖がある(7.5%)
  • 7位:孤独感・ストレス(5.4%)

上位の「体力の低下」や「もったいない精神」だけでなく、下位には「認知症・病気」や「孤独感・ストレス」といった高齢期特有の切実な問題も並んでいます。

以前はできていた日常の片付けが困難になり、大きな負担となっている実態が浮かび上がります。

実家の異変は冷蔵庫によく表れます。筆者も帰省時、干からびた食品を見て驚いた経験が。また、靴箱に洗剤があるなど『本来ないはずの場所に日用品が隠されている』のは、認知症の初期サインの可能性もあります。日頃からコミュニケーションをとり、大切な兆候を見逃さないようにしましょう。

さらに同調査では、子ども世代が実家のゴミ屋敷化で恐れているリスクの第1位に「将来の負担増」が挙げられています。

いざ親が施設に入居する、あるいは亡くなって実家を処分・売却しようとした際、自力での片付けが困難になり専門業者へ依頼することになれば、数十万円から100万円を超えるような高額な費用がかかるケースもあります。

放置すれば税負担増!? 法改正で厳格化された「空き家リスク」と「登記義務」

さらに、誰も住まなくなった実家や、お手入れが追いつかないお庭をそのままにしておくと、思わぬトラブルに発展します。

「管理不全空家・特定空家」ってどんな状態?

「管理不全空家・特定空家」ってどんな状態?
出所:政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」

雑草が生い茂るなど管理不足の状態が悪化し、自治体から「特定空家」などに指定されると、固定資産税の優遇措置が外れ、税負担が跳ね上がる落とし穴があるのです。

不動産の相続登記が義務化されました

不動産の相続登記が義務化されました

また、2024年4月からの「相続登記の義務化」に続き、2026年4月からは「所有者の住所や氏名の変更登記」についても義務化されました。

変更があった場合には一定期間内に手続きを行う必要があり、怠ると過料が科される可能性もあります。

親の年金や貯蓄がギリギリの状態であれば、こうした高額な「実家じまいや放置による隠れコスト」は、そっくりそのまま子世代の家計にのしかかってくるのです。

親が元気なうちの「生前整理」が、双方の家計と未来を守る防衛策

高齢期の家計は年金だけでは厳しく、貯蓄の取り崩しが前提となるケースが大半です。もし親に十分な資産がなければ、施設入居費用や実家の片付けにかかる高額な費用は、子ども世帯の老後資金から捻出することになりかねません。

親が健康なうちに実家のモノを減らし、広すぎる地植えスペースは思い切って庭じまいを進めるなどの「生前整理」を行うことは、親自身が安全に暮らす環境を整えるだけでなく、将来子世代に降りかかる「想定外の隠れコスト」を抑えるための強力な防衛策となるでしょう。

かつて親が手入れしていた庭も、足腰が弱ると雑草が生い茂り放題に。帰省のたびに筆者が草むしりをしていましたが限界を感じ、ご近所トラブルになる前に、思い切って砂利を敷しいて『庭じまい』を決断しました。

親に「片付けて」と真正面から伝えるのは角が立つかもしれませんが、お盆の帰省は顔を合わせて話せる絶好の機会です。

「暑いから、安全のために少しすっきりさせようか」「お手入れが楽な植物に変えてみようか」と優しく寄り添いながら、早めに将来のお金や暮らしについて話し合ってみてはいかがでしょうか。

参考資料

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熊谷 良子編集記者株式会社モニクルリサーチ

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