この記事はここがポイント
- 年金生活者支援給付金は2019年創設、所得要件を満たす年金受給者向け給付金。
- 老齢給付金は年収80.9万円以下、障害・遺族は所得479.4万円以下の支給対象。
- 2026年度の月額は5620円、手続きは日本年金機構からの請求書を郵送。
公的年金だけでは生活費が少し心もとないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、年金の収入や所得が一定基準額以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。2026年度は前年比+3.2%の増額となり、老齢年金生活者支援給付金は基準額で月5620円です。
筆者はこれまで保険相談の現場で、年齢や家族構成を問わず幅広い世帯のライフプランニングに携わってきましたが、公的な支援制度を知らないまま「年金だけで生活していくのは厳しい」と悩まれている方に出会うことも少なくありませんでした。保険や資産運用の見直しと同じくらい、こうした公的な支援制度を正しく知ることも、家計の安心につながる大切なポイントだと感じています。
この制度は、老齢・障害・遺族の3つの基礎年金それぞれに設けられており、ご自身の状況に合わせた支援を受けられる可能性があります。この記事では、どのような方が対象になるのか、具体的にいくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのかを分かりやすく解説します。
ご自身が対象になるかを確認し、利用できる制度をしっかり活用していきましょう。
年金生活者支援給付金とはどのような制度?
年金受給者の生活を支えることを目的に、2019年に年金生活者支援給付金制度が創設されました。
受給要件を満たした対象者には、2カ月に1回、公的年金の支給日にあわせて年金生活者支援給付金が振り込まれます。
年金生活者支援給付金制度について
年金生活者支援給付金には3種類があり、受給する基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」にわかれます。
それぞれの所得要件を満たす基礎年金受給者が、この給付金の対象となるということです。
なぜこの給付金が重要なのか:年金受給額には大きな個人差がある
「厚生年金に加入している人は年金がたくさんもらえる」と思う人もいますが、実際にはそうとは限りません。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分も含む)が15万289円です。ただし実際の受給額には個人差が大きく、月額30万円以上受け取っている人もいれば、月額1万円未満という人までいます。
受給額が少ない方ほど、この給付金の対象になりやすいという関係にあります。年金とその他の所得を含めても一定基準以下の所得となる場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があるため、次の章で紹介する要件に一つでも当てはまる方は、ぜひご自身の状況と照らし合わせてみてください。
【種類別】年金生活者支援給付金の対象になる方
基礎年金を受給している人のうち、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合、「年金生活者支援給付金」がもらえる可能性があるとわかりました。
本章では「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件について、3種類にわけて見ていきましょう。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
まず老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く ※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
障害年金生活者支援給付金の支給要件
障害基礎年金を受給されている方へ
下記の支給要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
遺族年金生活者支援給付金の支給要件
遺族基礎年金を受給されている方へ
下記の支給要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
2026年度における年金生活者支援給付金の給付額
年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき決定されます。
2026年度では前年に比べ+3.2%の増額となりました。
2026年度の年金生活者支援給付金はいくら?
年金生活者支援給付金の給付額
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
老齢年金生活者支援給付金のみ、「基準額」であることに注意が必要です。
実際には「月額5620円」を基準として、「保険料納付済期間や免除期間」に応じて支給額が計算されます。
「基準額を数千円でも超えたら1円ももらえないのでは…」と不安に思われる方もいらっしゃいます。しかし、条件を少しオーバーした方にも「補足的給付金」という形で段階的に支給される仕組みが整っています。「自分は少しオーバーしているから対象外だ」と自己判断せず、案内が届いた際は必ず内容を確認してみましょう。
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ほけんの窓口グループ出身。FP2級、生命・損害保険募集人資格。多数のライフプランニングや保険EC事業立ち上げを経験。現在は最適な保険の選び方を伝えるべく、コンテンツ制作や専門記事の執筆業務を行う。
