元証券会社員FPが解説|NISAを活用した積立投資が老後資金づくりに向く理由
老後資金を準備する方法は、預貯金だけではありません。
将来に向けて時間をかけて資産を育てたい場合、NISAを活用した積立投資も選択肢のひとつです。
毎月一定額を積み立てる方法であれば、まとまった資金がなくても始めやすく、長期で続けるほど効果を実感しやすくなります。
ここでは、NISAで積立投資をする主なメリットを確認していきましょう。
運用益が非課税になる
NISAの大きな特徴は、投資で得た利益が非課税になる点です。
通常、投資信託の売却益や分配金には税金がかかります。しかし、NISA口座で運用した場合、一定の範囲内で利益に税金がかかりません。
長く運用するほど、税金がかからないメリットは大きくなりやすいです。
利益をそのまま再投資に回しやすくなるため、効率的に資産形成を進めたい人にとって、NISAは使いやすい制度といえるでしょう。
少額から始めやすい
積立投資は、毎月決まった金額をコツコツ投資する方法です。最初から大きな金額を用意する必要はなく、家計に無理のない範囲で始められます。
例えば、毎月5000円や1万円など、続けやすい金額からスタートし、収入や支出の状況に合わせて積立額を見直すことも可能です。
老後資金づくりでは、一度に大きな金額を投資するより、長く続けることが重要になります。少額でも継続しやすい点は、NISAを使った積立投資のメリットです。
購入タイミングに悩みにくい
投資を始めるときに迷いやすいのが、「いつ買うべきか」というタイミングです。
積立投資では、毎月一定額を自動的に購入するため、相場の上がり下がりを細かく判断する必要がありません。
価格が高いときは少ない口数を、価格が低いときは多い口数を購入する仕組みになります。
結果として、購入単価をならしやすくなる点が特徴です。
相場を読むのが難しいと感じる人でも、積立設定をしておけば、感情に左右されにくく投資を続けやすくなります。
長期運用で複利効果を期待できる
積立投資は、短期間で大きな利益を狙う方法ではありません。時間をかけて資産を育てていく考え方が基本です。
運用で得た利益を再び運用に回すと、利益が次の利益を生む「複利効果」が期待できます。この効果は、運用期間が長くなるほど働きやすくなります。
そのため、老後資金づくりでは、できるだけ早い段階から積立を始めることが大切です。
20年、30年と時間を味方につけられれば、毎月の積立額が大きくなくても、将来の資産形成につながりやすくなります。
長期・分散投資に向いた商品を選びやすい
NISAのつみたて投資枠では、長期の積立投資に適した投資信託などが対象となっています。
対象商品は、手数料や運用方法など一定の基準をもとに選ばれており、長期で資産形成をしたい人が商品を選びやすい仕組みです。
投資初心者にとって、数多くの商品から自分で選ぶのは簡単ではありません。
その点、つみたて投資枠を活用すれば、長期・積立・分散投資を前提とした商品から検討できます。
もちろん、NISAを使っても元本保証はありません。相場の下落により、評価額が元本を下回る可能性もあります。
ただし、老後まで時間がある人にとっては、無理のない金額で積立を続け、長期的に資産形成を進める有力な方法となるでしょう。
50歳からでも遅くない?新NISA「毎月5万円」積立投資シミュレーション
ここでは、50歳から65歳までの15年間、毎月5万円を積み立てた場合の資産額を、想定利回り別に確認します。
※本シミュレーションは、実際の運用結果を保証するものではありません。
【運用利回り1~5%】積立投資シミュレーション
【新しいNISA】想定利回り5%の場合「毎月5万円×15年間の積立投資シミュレーション結果」
- 利回り1%の場合:970万円
- 利回り2%の場合:1047万円
- 利回り3%の場合:1131万円
- 利回り4%の場合:1223万円
- 利回り5%の場合:1324万円
※うち投資元本900万円
毎月5万円を15年間積み立てると、元本は900万円です。
利回り1%では970万円、利回り5%では1324万円となり、運用成果には大きな差が出ています。
積立額が同じでも、期間が長くなるほど、利回りの差が資産額に表れやすくなります。
ただし、利回りが高い商品ほど、価格変動のリスクも大きくなる点には注意が必要です。想定どおりに資産が増えるとは限らず、運用状況によっては元本を下回る可能性もあります。
そのため、積立投資を始める際は、生活費や緊急時の資金を確保したうえで、無理のない金額から検討することが大切です。
平均貯蓄額は参考にしつつ、自分に合う準備を考えよう
今回は、二人以上世帯の金融資産保有額や年代別の貯蓄割合から、各家庭の資産状況のリアルな実態について解説しました。あわせて、預貯金だけでなくNISAを活用した積立投資のメリットや、毎月5万円でのシミュレーション結果も確認しました。
他のご家庭の貯蓄額を見ると焦ってしまうこともあるかもしれませんが、大切なのは「ご自身のペース」で将来に向けた準備を進めることです。まずは現状の家計を振り返り、今日からできる少額の積み立てから、明るい老後に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
【監修者コメント】
老後資金の準備において、必要なときにすぐ引き出せる「預貯金」と、長期的な資産形成を担う「NISA」を組み合わせることは、非常に理にかなったアプローチです。シミュレーション結果からもわかるように、50代からでも「時間」と「複利」を味方につけることは十分に可能なので、焦らずコツコツと継続していきましょう。
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証券会社出身。約8年間にわたり株式や投資信託、生命保険の販売に従事。現在はフリーライター兼個人投資家として活動中。FP2級や一種外務員の知識と自身の投資実務を活かし、マーケット動向を注視した金融記事を精力的に執筆している。
PROFILE
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)、生命保険募集人。証券会社で約8年間、株式や投資信託、生命保険等の販売に携わる。退職後はフリーライター兼個人投資家として活動。金融ジャンルの記事を中心に執筆しつつ、日々のマーケット動向も注視している。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
PROFILE
FP資格「CFP®認定者」及び「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)」を保有。
早稲田大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社し、生命保険・損害保険の実務および社内教育部署にて教材制作・研修企画に長年従事。独立後はファイナンシャルプランナーとして公正中立な立場から家計相談・ライフプラン設計などの相談実績を持つ。また、マネースクール講師としてNISA、iDeCoを含む資産運用、社会保障など幅広い分野で「お金の先生」として活動。特に公的年金制度の仕組み、老齢年金、障害年金、遺族年金といった厚生労働省管轄の社会保障分野に深い知見を持つ。
現在、株式会社モニクルリサーチのLIMO&ファイナンス編集部にて、厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の一次情報をもとに、信頼性の高い記事の企画・執筆・編集・監修を担当。J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして、企業や学校への金融教育の普及にも尽力している。
