この記事はここがポイント
- PGF生命の調査、還暦世代貯蓄は平均1343万円、中央値300万円で二極化。
- 還暦人の53.1%は投資を行っておらず、投資層は平均1729万円、中央値500万円の金融資産。
- 内閣府「令和8年版高齢社会白書」から、60歳代前半男性8割超、女性6割超の就業率。
本格的な夏を迎える7月後半となり、今年還暦を迎える方も多いのではないでしょうか。簡易生命表によると60歳の平均余命は男性約24年、女性約29年であり、現代の還暦はセカンドライフの新たなスタートラインと言えます。
私は元銀行員のFA(ファイナンシャルアドバイザー)として数多くのマネープランをご支援していますが、銀行員時代から現在に至るまで、「退職後の資金計画や働き方に漠然とした不安を抱えている」という還暦世代のお客様からのご相談は決して少なくありません。
本記事では、1966年生まれの「還暦人」2000人を対象にした最新の意識調査をもとに、シニア世代の気になる貯蓄額や投資状況といったリアルな経済事情と、これからの働き方の変化について詳しく解説します。
【働くシニアの増加】60歳代前半の男性8割超、女性6割超が就業中
内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、65~69歳の男性の6割以上、女性の4割以上が就労中です。70歳代前半でも、男性の4割以上、女性の2割以上が仕事を続けています。
労働力人口の推移
シニア全体の就業率は高まる一方、60歳以降は給与の減少や健康上の課題に直面するケースも少なくありません。しかし、日本人の平均寿命(男性81.09年、女性87.13年※)を考慮すると、65歳以上のシニアにとって「就労」は「公的年金」と並び、長くなる老後を支える重要な柱となっています。
(※厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」より)
【還暦人のマネー事情】平均貯蓄1343万円・中央値300万円「投資なし」が過半数
PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)が今年還暦を迎える1966年生まれの男女2000名を対象に実施した「2026年の還暦人に関する調査」によると、現代シニアのリアルな経済事情が浮き彫りになりました。対象となった1966年生まれの世代は全国で約130万人にのぼり、これからの長いセカンドライフに向けて期待や不安など多様な人生観を抱えています。
特にこれからの働き方や暮らしの基盤となる「マネー事情」については、それぞれの準備状況によって大きな違いが見られました。
貯蓄額の実態:進む二極化
現段階での貯蓄金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)をみると、還暦を迎える時点での蓄えには明確な二極化が生じている実態が見て取れます。半数以上の人が500万円未満の貯蓄にとどまっている一方で、2000万円以上の資産を保有する層も全体の2割存在しています。
現段階の貯蓄額
- 貯蓄金額の平均値:1343万円
- 貯蓄金額の中央値:300万円
主な分布割合
- 「100万円未満」(最多回答):31.8%
- 「500万円未満」の合計:54.3%
- 「2000万円以上」の割合:20.1%
投資への取り組み:分かれるスタンス
また、株式や投資信託といった資産運用への取り組みについても、還暦人の間でスタンスが大きく分かれました。投資を行っていない人が過半数を占める一方で、投資を行っている層はセカンドライフを見据えてかなりまとまった資金をアクティブに運用している様子がうかがえます。
現段階の投資金額
- 投資を行っていない人(0円):53.1%
- 投資を行っている人:46.9%
投資層の投資金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)
- 平均値:1729万円
- 中央値:500万円
このように、還暦を迎えるタイミングでの経済基盤には明らかな二極化が見られ、これからの長いセカンドライフを支えるためのマネープランや働き方の選択は、個々の資産状況によって大きく異なってくると言えそうです。
まとめにかえて
本記事では、1966年生まれの「還暦人」の調査結果をもとに、シニア世代における貯蓄・投資状況の二極化と、就業率の高さについて解説しました。
銀行員時代から数多くの退職世代を見てきたファイナンシャルアドバイザーの視点から、セカンドライフに向けた3つのアドバイスをお伝えします。
①退職金や年金見込額を含めた「生涯のキャッシュフロー表」を作成し、現状を見える化する
②社会との繋がりや生きがいも視野に入れ、自身のペースで長く働き続ける選択肢を持つ
③預貯金に偏らず、過度なリスクを抑えながらインフレ対策となる少額からの資産運用を取り入れる
長く豊かな老後を送るためには、ただ口座残高を眺めるだけでなく、将来の具体的な収支をシミュレーションして整理することが第一歩です。
監修者コメント
還暦は人生の大きな節目ですが、同時にこれからの長いセカンドライフを豊かにするための「準備期間」でもあります。経済的な不安を解消するためにも、ご自身の資産状況を早めに整理し、必要であれば専門家のアドバイスも活用しながら前向きな一歩を踏み出してください。
参考資料
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ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びFP2級保有。地方銀行出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
PROFILE
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格(証券外務員一種)及び2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を保有。宇都宮大学教育学部卒業後、株式会社栃木銀行に入行。主に個人リテール業務に従事。リテール営業行員内で上位の成績を保ち、全行員内1位の成績を収める。社内教育にも尽力し、人材育成にも携わる。現在はIFA(独立系ファイ何シャリアドバイザー)として有価証券と保険を活用した個人向け資産運用のアドバイス業務を行う。また、くらしとお金の経済メディア「LIMO」でも執筆を行う。秋田県秋田市出身(2026年7月11日更新)
日本生命出身で生命保険・損害保険の実務に長年従事。CFP®・FP1級を保有。現在はLIMO編集部にて官公庁の一次情報を基にした信頼性の高い記事を執筆・監修。J-FLEC認定アドバイザーとしても活動。
PROFILE
FP資格「CFP®認定者」及び「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)」を保有。
早稲田大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社し、生命保険・損害保険の実務および社内教育部署にて教材制作・研修企画に長年従事。独立後はファイナンシャルプランナーとして公正中立な立場から家計相談・ライフプラン設計などの相談実績を持つ。また、マネースクール講師としてNISA、iDeCoを含む資産運用、社会保障など幅広い分野で「お金の先生」として活動。特に公的年金制度の仕組み、老齢年金、障害年金、遺族年金といった厚生労働省管轄の社会保障分野に深い知見を持つ。
現在、株式会社モニクルリサーチのLIMO編集部にて、厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の一次情報をもとに、信頼性の高い記事の企画・執筆・編集・監修を担当。J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして、企業や学校への金融教育の普及にも尽力している。
