【高齢者と年金】夫婦や同居の子がいるともらえない?2026年度は3.2%増額の「年金生活者支援給付金」支給条件と手続きのポイント
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【高齢者と年金】夫婦や同居の子がいるともらえない?2026年度は3.2%増額の「年金生活者支援給付金」支給条件と手続きのポイント

元銀行員が解説!「世帯全員非課税」が壁に?同居の子どもの課税状況に注意

執筆者神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
監修者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
12:01
【高齢者と年金】夫婦や同居の子がいるともらえない?2026年度は3.2%増額の「年金生活者支援給付金」支給条件と手続きのポイント
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この記事はここがポイント

  • 年金生活者支援給付金は、年金収入や所得が基準以下の年金受給者へ、公的年金に上乗せ継続支給される制度。
  • 支給対象は老齢・障害・遺族年金受給者で、世帯全員の住民税非課税、老齢は所得合計80万9000円以下などの要件。
  • 2026年度の給付基準額は月額5620円に増額、障害等級1級は月額7025円支給。

物価上昇が続く中、「老後のお金は本当に足りるのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

私自身、金融業界で働くようになってから、「お金があれば何でも買えるわけではない。しかし、必要なときにタクシーを利用したり、駅に近い住まいを選んだりと、人生の選択肢を広げることはできる」と考えるようになりました。そのため、老後に向けてどのような備えをしておくべきかを常に意識しています。

ファイナンシャルアドバイザーとして多くのお客様のご相談を受ける中でも、「もっと早く制度を知っていれば利用できたのに」という声を何度も耳にしてきました。老後の安心につながる制度であっても、知らなければ利用することはできません。

だからこそ、一人でも多くの方に公的な支援制度を正しく知っていただき、安心して老後を迎えるための選択肢を広げてほしいという思いで、この記事を執筆しました。

特に、公的年金が主な収入源となる方にとって、毎月の生活費は大きな関心事です。そんな方々を支える制度の一つが、「年金生活者支援給付金」です。

この制度は、年金収入や所得が一定基準以下の方を対象に、公的年金に上乗せして給付金が支給される仕組みです。

この記事では、2026年度の最新情報をもとに、

  • どのような方が対象になるのか
  • いくら受け取れるのか
  • 申請方法や注意点

について、初めての方にも分かりやすく解説していきます。

年金に上乗せで支給される「年金生活者支援給付金」の概要

年金生活者支援給付金制度について

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入やその他の所得の合計額が、定められた基準額を下回る年金受給者の生活を支援することを目的とした制度です。

この給付金は一時的なものではなく、支給要件を満たしている限り、年金に上乗せする形で継続的に支給される点が特徴です。

受給している基礎年金の種類によって、以下の3つの給付金に分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

受給には初回の申請が必要となりますが、一度手続きをすれば、要件を満たし続ける限り2ヶ月に1度の頻度で支給されます。

「年金生活者支援給付金」を受け取れる人の条件とは?

この章では、多くの方が関心を持つ「年金生活者支援給付金の支給要件」について、詳しく見ていきましょう。

障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者について

まず「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象となるのは、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給している方です。

加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件です。

ここで重要な点は、所得の計算に障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないということです。

また、扶養している親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられることも覚えておくとよいでしょう。

老齢年金生活者支援給付金の対象者について

年金生活者支援給付金制度について

年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

一方で、老齢年金生活者支援給付金の支給対象は、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金等の収入とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること

老齢年金生活者支援給付金の場合は、ご本人の所得だけでなく世帯全体の課税状況も要件に含まれる点に注意が必要です。こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みが設けられています。

この対象となるのは、「昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。

「年金生活者支援給付金」はいくらもらえる?

「年金生活者支援給付金」の給付額は、公的年金と同様に前年の物価変動率などに連動して、毎年度見直しが行われます。

それでは、今年度の給付額はどのようになっているのでしょうか。

2026年度の給付額は3.2%増額

年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度の「年金生活者支援給付金」の基準額は、前年度から3.2%増額され、月額5620円となりました。

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

ただし、老齢年金生活者支援給付金に関しては、この月額5620円を基準として、保険料を納付した期間などに応じて個別の給付額が計算される仕組みになっています。

給付金を受け取るための手続きの流れ

それでは、この給付金を受け取るためには、具体的にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

「手続きを忘れてしまいそうで心配」と感じる方もいるかもしれませんが、ご安心ください。年金生活者支援給付金の支給対象と判断された方には、日本年金機構から請求に関する書類が郵送されます。

基本的には、その書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了します。

ただし、対象となる方の年金の受給状況によって、送られてくる書類の形式や手続きのタイミングが異なります。ここでは3つのケースに分けて、手続き方法を解説します。

ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方(緑色の封筒)

年金請求書の封筒

年金請求書の封筒

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」

まだ年金を一度も受給していない方には、年金の受給が始まる3ヶ月前に、手続きに必要な「年金請求書(事前送付用)」が届きます。

その際に、「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。

必要事項を記入の上、年金の請求書とあわせて「年金生活者支援給付金請求書」を提出してください。ただし、請求書は年金の受給開始年齢に達する誕生日の前日以降でないと提出できない点にご注意ください。

ケース2:すでに年金を受給中の方(薄緑色の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受給している方でも、所得額の変動などによって、新たに年金生活者支援給付金の対象となる場合があります。

こうした方々を対象に、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼り付けます。その後、差出人欄にご自身の住所と氏名を書き、切手を貼ってからポストに投函しましょう。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方(薄橙色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースについて見ていきましょう。

年金生活者支援給付金の受給資格が発生すると見込まれる方には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

この書類が届いたら、必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼ってから切手を貼り、ポストへ投函してください。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

初回の手続きは必要ですが、その後は支給要件を満たす限り、給付金は継続して受け取れます。

もし所得の増加などで支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給が停止されることになります。

なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、電子申請での提出も可能になっています。

電子申請を利用した場合、郵送での提出は不要です。

【見落としがちなポイント】同居している現役世代の子ども(会社員など)が住民税を納めている場合でも、給付金はもらえる?

このケースの場合「老齢年金生活者支援給付金」の場合は、原則として対象外となってしまいます。

老齢年金生活者支援給付金は、ご本人の所得だけでなく、同一世帯の全員が市町村民税非課税であることも支給要件の一つです。

そのため、同居しているお子さんなどが住民税を課税されている場合は、原則として老齢年金生活者支援給付金の対象外となります。

ただし、住民票上で世帯を分けている(世帯分離をしている)場合などは、別世帯として判定されることがあります。実際に対象となるかどうかは、世帯の状況などによって異なるため、不明な場合は日本年金機構やお住まいの市区町村へ確認すると安心です。

なお、障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金については、世帯全員の課税状況は要件とされておらず、ご本人の所得などをもとに支給の可否が判定されます。

年金の受給額は個人差が大きいのが実情

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)が15万289円です。

ただし、実際に受け取る年金額は個人によって大きく異なるという点に注意が必要です。

特に厚生年金においては、その差が顕著に現れます。

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「厚生年金に加入していれば多くの年金がもらえる」と考えがちですが、実際には月額30万円以上を受け取る方がいる一方で、月額1万円に満たない方もおり、受給額は非常に幅広くなっています。

ご自身の年金収入とその他の所得を合わせても、一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。

受け取れる公的給付があるか、ご自身のケースに当てはめて確認を

本記事では、年金生活者支援給付金の仕組みと支給額の目安について解説しました。

受給条件を満たす方は年金に上乗せして給付されますので、ご自身が当てはまるか確認してみましょう。

筆者は元銀行員として年金を既に受給している方と接する機会が多い中で、よく「年金だけでは老後生活を送るのは厳しい」という声を耳にしてきました。

実際の受給金額には個人差があるため、政府や自治体でも低所得者層に向けた支援策を講じています。

このような制度も活用しながら、老後生活を送っていきましょう。

中本 智恵
監修者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

「手続き不要」と思い込まないで。毎年行われる支給判定に注意

今回の記事では、「一度請求手続きを行えば、翌年以降の手続きは原則不要」とご紹介しました。

これは間違いではありませんが、「一度申請すれば、その後はずっと自動で受け取れる」という意味ではないことも知っておきましょう。

私が銀行で勤務していた頃も、「今月は給付金が振り込まれていない」「銀行の手違いではないですか」と慌てて来店されるお客様をお見かけしました。

年金生活者支援給付金は、毎年、前年の所得などをもとに支給要件を満たしているかが確認されます。

例えば、「前年の所得が基準額を超えた」「世帯状況や税の状況が変わり、支給要件を満たさなくなった」といった場合には、給付金が支給停止となることがあります。

一方で、翌年以降に再び支給要件を満たした場合には、改めて請求手続きが必要となるケースもあります。そのため、日本年金機構から届くお知らせや案内は必ず確認するようにしましょう。

「一度申請したから安心」と思い込まず、毎年秋ごろには給付金が継続して支給されているか、通帳や振込履歴を確認する習慣をつけておくことをおすすめします。

ちょっとした確認を続けることが、受け取れるはずの給付を見逃さないための大切なポイントです。

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