【シニア向けの支援制度】60歳以降の収入ダウンを補う!一括支給の給付金や年金版の家族手当など、60歳・65歳以上の働き続ける高齢者を支える5つの公的給付を紹介
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執筆者山﨑 夏子ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級/TLC
監修者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
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【シニア向けの支援制度】60歳以降の収入ダウンを補う!一括支給の給付金や年金版の家族手当など、60歳・65歳以上の働き続ける高齢者を支える5つの公的給付を紹介
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この記事はここがポイント

  • 60・65歳以上働くシニアの収入減少を補う、申請必須の公的給付
  • 厚生年金20年加入で年下の配偶者等がいる場合、配偶者に年額24万3800円の加給年金
  • 低所得の年金受給者には月額5620円の年金生活者支援給付金、65歳以上の失業時には高年齢求職者給付金などの制度がある

6月5日に総務省が公表した「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)4月分」によると、二人以上の世帯の1か月当たりの消費支出は32万8,969円となりました。

物価上昇が続く中、日々の生活で家計への負担を実感している方も多いのではないでしょうか。私自身も、外食をするとランチが1000円を超えるお店が当たり前になり、1000円以下で食べられるお店を探すのが難しくなったと感じる場面が増えています。

こうした状況の中、IFAとしてこれまで1,500世帯以上の資産相談を担当してきましたが、「年金だけで生活していけるのだろうか」「少しでも利用できる支援制度があれば知りたい」といった不安の声を数多く伺ってきました。

また、「制度が複雑でよく分からない」「説明が分かりやすくて助かった」と言っていただくことも多くあります。その経験から、公的な支援制度を正しく知り、活用できるよう情報を分かりやすくお伝えしたいという思いで、この記事を執筆しました。

人生100年時代といわれる今、60代・70代になっても働き続ける方が増えています。しかし、現役時代と同じ水準の収入を維持することは簡単ではありません。

実は、公的年金以外にも、自分で申請しなければ受け取れない手当や給付金がいくつもあります。制度を知らないために、本来受け取れるはずの給付を受け取れていない方も少なくありません。

そこでこの記事では、60歳・65歳以上の方を対象に、申請が必要な公的給付を5つ厳選してご紹介します。年金制度と雇用保険制度に分けて、それぞれの対象者や支給内容、申請方法まで分かりやすく解説していきます。

※LIMO&ファイナンスでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

長寿社会におけるシニアの働き方と年金の重要性

内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65~69歳の男性の6割以上、女性の4割以上が就労中です。70歳代前半でも、男性の4割弱、女性の2割以上が仕事を続けています。

年齢を重ねるにつれて働く人の割合は少しずつ減少するものの、シニア全体で見ると就業率は徐々に高まっています。

一方で、60歳以降は給料が下がるケースが多く見られます。また、現役時代のように希望通りの仕事に就けなかったり、健康上の理由で働き続けることが難しくなったりすることもあるでしょう。

厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は、男性81.09年、女性87.13年。老齢年金世代である65歳以上のシニアにとって、「公的年金」と並んで「就労」は、長くなる老後の暮らしを支える重要な柱となっています。

次の章以降では、シニアを対象とする給付金や手当などのうち申請しないと受け取れない、「雇用保険関連のお金」と「公的年金に上乗せされるお金」について、整理してお伝えしていきます。

【老齢年金】申請しないと受け取れない2つの給付制度

老齢年金を受給している方が一定の要件を満たす場合に、本来の年金にプラスして受け取れる2つの制度について解説します。

制度1. 年金における家族手当「加給年金」

「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入していた方が65歳になった際、生計を維持している「年下の配偶者」や「子ども」がいる場合に加算される制度です。

いわば、年金版の「家族手当」のような役割を持っています。

以下の条件を満たしており、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。

加給年金の支給条件とは

  • 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
  • 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

それぞれ、上記で示したタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止されます。

2026年度の加給年金額

加給年金の加給年金額

加給年金の加給年金額
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

「加給年金」の年金額(2026年度の年額)は以下のとおりです。

  • 配偶者:24万3800円
  • 1人目・2人目の子:各24万3800円
  • 3人目以降の子:各8万1300円

なお、老齢厚生年金を受給中の人の生年月日により、配偶者の加給年金額に3万6000円から17万9900円の特別加算額が支払われます。

配偶者の老齢基礎年金に加算される「振替加算」

配偶者が65歳になると加給年金は終了しますが、一定の要件を満たせば、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」という形で一定額が引き継がれます。

制度2. 所得が一定基準以下の場合の「老齢年金生活者支援給付金」

「老齢年金生活者支援給付金」は、老齢基礎年金を受給している方のうち、所得や世帯収入が一定基準以下の場合に、生活の底上げを目的として支給されるものです。

年金本体とは別の法律に基づいて支給される「給付金」という位置づけになります。

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる要件

年金生活者支援給付金制度について

年金生活者支援給付金制度について
出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない ※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の基準額

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円で、前年度より3.2%増額されました。

この基準額をもとにして、保険料納付状況等により給付金額が算出されます(下記①と②の合計額)。

給付額の計算方法について

  • ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
  • ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

※保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。

【雇用保険】働き続けるシニアを支える3つの給付金

60歳以降も働き続けるシニアが増えている一方で、現実問題として「60歳を境に収入が大きく下がる」ケースは珍しくありません(※)。また、若い頃と違って再就職活動がスムーズに進まないこともあるでしょう。

そんなシニア世代の就労を力強くサポートしてくれるのが、雇用保険の制度です。今回は、知っておきたい「3つの給付金・手当」について、もらえる条件や金額の目安をわかりやすく解説します。

※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性735万円、女性356万円、60歳代前半男性604万円・女性294万円、60歳代後半男性472万円・女性240万円

制度1. 65歳未満の早期再就職を支援する「再就職手当」

再就職手当は、早期の再就職を促進するための手当で、「失業~再就職」「失業~事業開始」までの期間が短いほど、支給額が多くなります。

再就職手当の支給要件

  • 対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人
  • 支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給

再就職手当の給付率

  • 手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なります。(1円未満の端数は切り捨て)
  • 所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の60%」
  • 所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の70%」

再就職手当の額

再就職手当の額
出所:厚生労働省「再就職手当のご案内」

再就職手当をもらって再就職先で6カ月以上雇用され、その6カ月間の賃金が「前の職場より下がってしまった」という場合には、さらに「就業促進定着手当」というサポートを受けられる可能性があります。

制度2. 60歳から65歳未満が対象の「高年齢雇用継続給付」

高年齢雇用継続給付は、「60歳以降も同じ会社などで働き続けるけれど、給与が大きく下がってしまった」という人を経済的にカバーするための給付金です。

高年齢雇用継続給付の支給要件

  • 対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
  • 支給条件:賃金が60歳時到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合

高年齢雇用継続給付の支給率

  • 支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額 ※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)

【早見表】高年齢雇用継続給付
出所:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

老齢年金を受給しながら、厚生年金に加入して「高年齢雇用継続給付」を受け取る場合、在職による年金の支給停止に加え、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する金額が支給停止となる点に留意しておく必要があります。 ※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%

制度3. 65歳以上が対象の「高年齢求職者給付金」

65歳以上で退職・失業した場合、通常の失業手当の代わりに受け取れる給付金です。

高年齢求職者給付金の受給要件

  • 対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
  • 支給要件:下記の全ての要件を満たした人
  1. 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある
  2. 失業の状態にある:離職し「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」を指す

高年齢求職者給付金の給付金額

高年齢求職者給付金の額

高年齢求職者給付金の額
出所:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
  • 支給額
  • 被保険者であった期間が1年未満:30日分の基本手当相当額
  • 被保険者であった期間が1年以上:50日分の基本手当相当額

なお、65歳未満が受け取る「失業手当」は4週間に1回ずつ認定を受けて少しずつ受け取りますが、この高年齢求職者給付金は「一括支給」というのが大きな特徴です。

2025年の年金制度改正で「106万円の壁」はなくなる?

2025年の年金制度改正により、社会保険の加入要件が見直され、いわゆる「106万円の壁」は解消される方向へと進みます。

短時間労働者に対する社会保険の適用拡大

「106万円の壁」の撤廃

「106万円の壁」の撤廃
出所:厚生労働省「「年収の壁」への対応」

月額賃金要件が3年以内に撤廃へ

これまで加入基準の一つだった「月額8.8万円以上」という賃金要件が、最低賃金の状況を踏まえつつ2028年6月までに撤廃されます。今後は収入額によらず、週20時間以上働くかどうかが判断の柱となります。

企業規模要件も段階的に撤廃

勤務先の従業員数による制限も、2027年10月から10年かけて段階的に引き下げられます。最終的にはすべての企業において、労働時間等の条件を満たせば社会保険の対象となります。

ライフプランに応じた働き方の検討が重要に

制度の変更に伴い、保険料負担による手取りの変化や将来の年金増、健康保険の保障内容など、個々の家庭状況やライフプランに合わせた働き方の選択がこれまで以上に重要になります。

また、扶養の基準である「130万円の壁」についても、この適用拡大の流れの中で相対的にその重要性が変化していくことが予想されます。

中本 智恵
監修者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

「扶養を外れる=損」とは限らない理由

「手取りが減るなら、扶養の範囲内で働きたい。」私がかつて勤務していた銀行の窓口でも、このような相談は非常に多く寄せられました。特に、「106万円の壁」の見直しが段階的に進む中で、今後の働き方に悩んでいるパートや短時間勤務の方も少なくないでしょう。

確かに、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入すると、保険料を負担するため、一時的に手取りが減る場合があります。

しかし、その一方で、社会保険に加入することには将来につながる大きなメリットもあります。

例えば、厚生年金に加入して働いた期間が長くなるほど、将来受け取る老齢厚生年金が増える可能性があります。また、健康保険に加入することで、一定の要件を満たせば傷病手当金などの保障を受けられる点もメリットの一つです。

もちろん、「扶養の範囲内で働くこと」と「社会保険に加入して働くこと」のどちらが有利かは、収入や働く期間、家族構成などによって異なります。

そのため、「扶養を外れると損」と決めつけるのではなく、目先の手取りだけでなく、将来の年金額や社会保険の保障も含めて、総合的に判断することが大切です。

今回の制度改正をきっかけに、ご夫婦で今後の働き方や老後の資金計画について話し合い、自分たちに合った選択を考えてみてはいかがでしょうか。

これを機に高齢期のライフプランを考えてみよう

この記事では60歳・65歳以上の方を対象とした公的給付5選についてみてきました。

現役のシニア世代では、65歳~69歳までの男性は6割以上、女性は4割以上が就労中ですが、健康上の理由で就労が困難になったり、希望の仕事に就けなかったりと思うように給与を得られなくなることもあるでしょう。

働くシニアの支えとなる制度も整いつつありますが、「加給年金」、「年金生活者支援給付金」、「高年齢雇用継続給付」などの制度はご自身での請求手続きが必要なため、注意が必要です。

制度の内容を正しく理解したうえで、ご自身の対象になる給付を確認することで、今後の生活や働き方を考えるきっかけにしていただければ幸いです。

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