【75歳以上の親を持つ方へ】医療費窓口負担はどう決まる?元ビジネスケアラーの編集記者が明かす「見えない介護費用」のリアル
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【75歳以上の親を持つ方へ】医療費窓口負担はどう決まる?元ビジネスケアラーの編集記者が明かす「見えない介護費用」のリアル

医療費の判定基準のおさらいと、認知症や生活環境の変化でジワジワ増える「隠れた出費」への備え方

執筆者熊谷 良子編集記者
18:06
【75歳以上の親を持つ方へ】医療費窓口負担はどう決まる?元ビジネスケアラーの編集記者が明かす「見えない介護費用」のリアル
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この記事はここがポイント

  • 75歳以降の医療費以外に、環境整備や移動費など「見えない介護費用」が家計を圧迫する現実
  • 後期高齢者医療の窓口負担は、個人でなく世帯全体の所得合算で1~3割と判定される仕組み
  • 2025年9月末に後期高齢者の2割負担軽減措置が終了すること

蒸し暑さや強い日差しに本格的な夏の訪れを感じる季節となりました。

気温の変化が大きく、体調管理に気を配る機会が増える一方で、親の暮らしや実家の家計について改めて考える人も多い時期です。

2026年現在、日本では「団塊の世代」がすべて75歳以上となり、後期高齢者の割合がさらに高まっています。

2025年秋には、後期高齢者医療制度における「2割負担」の軽減措置(配慮措置)が終了し、窓口で支払う医療費の増加を実感するケースもみられるようになりました。

将来の負担を見通すうえで、自己負担割合の判定基準を理解しておくことは非常に重要です。

しかし、元ビジネスケアラーの編集記者である筆者が親の介護を通じて痛感したのは、「75歳を過ぎると、医療費の窓口負担だけでなく、生活に伴う“見えない出費”が急増する」という現実でした。

たとえば、良かれと思った実家の環境づくりや、日々のちょっとした買い物・移動手段の変化など、公的な制度の枠だけでは測れない家計の落とし穴がいくつも潜んでいます。

本記事では、後期高齢者医療制度の基本的な仕組みや、自己負担割合(1〜3割)を左右する「収入・所得の目安」を早見表で整理しつつ、経験者ならではの視点で「見えない介護費用のリアル」をお伝えしていきます。

親御さんの暮らしや、ご自身の将来に向けた資金計画のヒントになれば幸いです。

親の介護を経験して痛感したのは、「75歳を過ぎると窓口負担の増加だけでなく、生活に伴う見えない出費が急増する」という現実です。

制度の基本を知ることはもちろんですが、数字には表れないリアルな家計の落とし穴について、実体験を交えながらお伝えします。

親御さんの老後やご自身の将来への漠然とした不安を減らすヒントになれば幸いです。

【75歳以上】後期高齢者医療制度とは?加入後に変わるポイント

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度とは?
出所:政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方を対象として運営されている公的医療保険制度です。

原則として75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険(国民健康保険や会社の健康保険など)の種類や働いているかどうかにかかわらず、自動的にこの制度へ移行することになります。

また、65歳から74歳までの方であっても、一定の障害認定を受けている場合には、本人の希望に基づく申請によって後期高齢者医療制度へ加入することが可能です。

制度へ移る際には、基本的に本人による特別な手続きは必要ありません。

後期高齢者医療制度へ切り替わると、医療機関を受診した際の窓口負担は一律ではなくなります。

世帯の所得水準や住民税の課税状況などに応じて、「1割」「2割」「3割」のいずれかの負担割合が適用される仕組みとなっており、その違いによって実際の医療費負担にも大きな差が生じます。

【早見表でスッキリ理解】窓口負担1〜3割の判定基準

後期高齢者医療制度では、医療機関で支払う自己負担割合が、被保険者の所得水準に応じて「1割・2割・3割」の3つの区分に分けられています。

窓口負担割合の判定は、被保険者本人だけでなく、同じ世帯に属する後期高齢者全員の所得状況をもとに行われます。

判定は毎年8月に定期的な見直しが実施されるほか、所得情報の修正や世帯構成の変化があった場合にも、その都度再判定される仕組みです。

ご自身やご家族がどの区分に該当するか、判定基準となる所得や収入の具体的な目安を以下の表で確認しましょう。

後期高齢者医療制度「窓口負担割合」の判定基準

後期高齢者医療制度「窓口負担割合」の判定基準
出所:政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

1割負担:一般の所得者

下記の2割・3割の基準を下回る場合

2割負担:一定以上の所得がある方

  1. 同じ世帯に課税所得28万円以上の被保険者がいる
  2. 世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身世帯で200万円以上複数世帯で合計320万円以上

3割負担:現役並み所得者

  1. 同じ世帯に課税所得145万円以上の被保険者がいる
  2. 世帯の被保険者の収入合計が、単身世帯で383万円以上複数世帯で合計520万円以上

※2割負担の方への医療費急増を防ぐ「配慮措置」は2025年9月末ですでに終了しています。

※実際の自己負担割合は「後期高齢者医療資格確認書」に記載されています。マイナ保険証をご利用の場合はマイナポータルからの確認も可能です。

単身と夫婦で違う!医療費の負担割合は《世帯単位で決まります》

後期高齢者医療制度における負担割合の判定で最も注意したいのは、個人の収入ではなく「世帯内の後期高齢者全員の所得を合算して判断される」点です。

「自分の年金は少ないから1割負担で済むはず」と思い込んでいても、同じ世帯の配偶者に一定の所得があれば、世帯全体として「3割負担(現役並み所得者)」と判定されるケースがあります。

特に、夫婦のどちらか一方に収入が偏っている世帯は、単身世帯よりもこの合算基準を超えやすい傾向にあります。

医療費の窓口負担は「自分個人の所得」ではなく、配偶者を含めた「世帯全体の所得」で決まるというルールを、あらかじめしっかり押さえておきましょう。

「親の年金は少ないから1割負担で安心」と思い込んでいるご家族は要注意です!

夫婦のどちらかに一定の収入があると、世帯全体で3割負担と判定されるケースが実は少なくありません。

実際に「父の年金で母まで3割負担になり、実家の家計が急に圧迫された」と驚かれる方も多いので、世帯合算の仕組みは必ずチェックしておきましょう。

医療費・介護費だけじゃない!元ビジネスケアラーが語る『見えない出費』のリアル

親が後期高齢期になると、窓口で支払う「医療費」や介護保険の「サービス利用料」といった表に見える出費に目が行きがちかもしれません。

しかし、筆者自身の介護経験を踏まえると、実は日常生活の中に潜む「見えない出費」が、想像以上に家計を圧迫し始めるという現実があります。

費用のかさむ「安全・安心のための環境整備」

高齢の親が火の不始末を起こすのを防ぐためのIHクッキングヒーターへの交換や、転倒防止のための手すり設置などがその例です。

介護保険の住宅改修制度で一部カバーできることもありますが、全額がまかなえるわけではなく、自己負担の発生は回避しにくいでしょう。

「認知機能の低下」によるムダ遣いの連鎖

次に、「認知機能の低下によるロスの増加」です。

記憶力が低下すると、家に在庫があるのに同じ食材や日用品をいくつも買ってしまう「重複購買」が頻発します。

事実、株式会社AlbaLinkが行った「実家がゴミ屋敷化した理由は?」という子ども世代418人へのアンケート調査(2026年)でも、理由の第5位に「認知機能の低下」がランクイン。

「高齢の親が認知症で、整理整頓せずにドンドン買ってきてしまう」といった切実な声が寄せられています。

小さな無駄遣いも、チリが積もれば毎月の生活費を大きく押し上げ、さらには不要品の処分業者を呼ぶためのお金までかかる悪循環に陥るのです。

見落としがちな「移動コスト」の急増と税制度の罠

そして、最も見落としがちな項目の一つが「移動コストの増加」かもしれません。

足腰が弱くなり、通院や買い物を始めとする日常の移動にタクシーを使う機会が増えた親御さんをお持ちの方もいるのでは?

外出の際に利用する交通手段(複数回答)

外出の際に利用する交通手段(複数回答)
出所:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)HTML形式

内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」のデータを見ると、その変化は一目瞭然です。

ふだんの外出時にタクシーを利用する人の割合は、65歳〜70代前半までは5〜8%台で推移しますが、75~79歳で12.5%に増加。さらに80代に突入すると20%超へと一気に跳ね上がる傾向がはっきりとデータに表れています。 (※もちろん、地域の交通の便や子供世帯と同居・近居かどうかなどで個人差は出るでしょう)

ここで気をつけたいのが、税制度の落とし穴です。

「通院のためのタクシー代なら、医療費控除の対象になるから大丈夫だろう」と考える方もいるかもしれません。

しかし、医療費控除というのは、支払った医療費の分だけ「所得から差し引く」ことで、納めるべき所得税や住民税を安く(還付)する仕組みです。

つまり、そもそも年金収入が少なく所得税が「非課税」となる世帯の場合、いくらタクシー代がかさんで申告したところで、還付される税金自体が存在しないため、家計上のメリットは実質的にゼロなのです。

窓口での負担割合が1割か2割か、という議論はもちろん重要です。

しかし、親の老後資金を計画するうえでは、こうした「生活様式や心身の変化に伴う見えない周辺費用」が確実に増えていくという現実を直視し、制度に頼り切らない余裕を持った資金準備を心がけておくことが何より大切です。

まとめ:全体を俯瞰した老後資金の計画を

後期高齢者医療制度における窓口負担割合は、世帯全体の所得状況によって1割、2割、3割と変動します。

制度の仕組みを理解し、ご両親やご自身の世帯がどの区分に該当するのかをあらかじめ把握しておくことは、老後の家計を管理する第一歩です。

しかし、コラムでも触れたように、高齢期にかかるお金は医療機関の窓口で支払う費用だけではありません。

自宅の環境整備やタクシー移動の増加、認知機能の低下に伴う日々のロスの積み重ねなど、ライフスタイルの変化によって生じる「見えない出費」も多岐にわたります。

公的な医療保険制度の恩恵を最大限に活用しつつも、それだけではカバーしきれない現実的な出費を見据え、早いうちからご家族でゆとりを持ったライフプランを話し合っておくことが、安心できる老後へとつながるでしょう。

同世代の中でも比較的早く介護生活が終わった筆者。

友人からは「親の介護費用はいくらかかった?」と質問されたり、「自分自身の介護費用はどのくらい必要なんだろう?」という話題をふられることが多いです。

当然と言えば当然ですが、正解は一つではありません。健康状態と合わせて住まいの環境によっても大きく変わります。

大切なのは、公的制度を最大限に活用しつつ、認知機能の低下や移動手段の変化といった「ライフスタイルの変化に伴う隠れた出費」を事前に想定しておくこと。

親が元気なうちからコミュニケーションを取り、いざという時に慌てない資金計画を立ててくださいね。

■ 参考資料

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