この記事はここがポイント
- 年収400万円台の老後資金は、手取り15〜20%の先取り貯蓄、NISA活用、ねんきん定期便での年金見込額確認が鍵
- 金融資産の二人以上世帯中央値は720万円、平均は1940万円(金融経済教育推進機構2025年調査)
- 令和6年度の老齢年金平均月額は、厚生年金(含む国民年金)で男性16万9967円、女性11万1413円との報告
銀行員時代、多くのお客さまの資産相談に乗る中で、「年収と貯蓄額が比例するわけではない」ことを実感しました。
年収1000万円を超えていても貯蓄がほぼゼロという世帯がある一方で、年収400万円台でもコツコツと1000万円以上の資産を築いている世帯をたくさん見てきました。相続や投資などで資産が増えた人もいるでしょう。しかし、うまく支出とのバランスをとって貯金している方はたくさんいました。
年収400万円台は、国税庁「民間給与実態統計調査」でみても給与所得者のボリュームゾーン。いわば、日本の「ふつうの世帯」を代表する層とも言えます。
今回は、金融経済教育推進機構の最新データをもとに、そんな「ふつうの世帯」の平均的な貯蓄額のリアルと、現役時代の平均年収が400万円だった場合の老後の年金額がどれくらいかを確認します。
私が現場で目にしてきた、年収に関わらず着実にお金を増やしている人たちの「共通の習慣」をベースに、今すぐ真似できる具体的なアクションも解説します。
「ふつうの世帯」はいくら貯めている?二人以上世帯の平均と中央値
金融経済教育推進機構が公表した「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(二人以上世帯)によると、金融資産保有額の全体平均は次のとおりでした。
- 平均値:1940万円
- 中央値:720万円
平均値は一部の富裕層が押し上げるため、「ふつうの世帯」の実感に近いのは中央値の720万円です。
年収400万円層はこの中央値付近か、やや下回るあたりが目安と考えるとイメージしやすいでしょう。
また同調査によると、二人以上世帯が手取り収入から預貯金や運用に回した割合は平均17%程度でした。
年収400万円(手取り約320万円)なら、年54万円・月4万5000円ほどを貯蓄に振り分けている計算になります。
参考までに、二人以上世帯の6世帯に1世帯は「金融資産を保有していない」と回答しています。
年収400万円層でも、教育費や住宅ローンの負担が重い時期は貯蓄が伸びにくく、家計の姿は世帯ごとに大きくばらつきます。
老齢年金の平均月額はいくら?男女別に厚生年金と国民年金を確認
年収400万円で老後を迎えた場合、公的年金はどのくらい受け取れるのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均月額は男女別に次のとおりでした。
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
国民年金(老齢基礎年金)の平均月額
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金 階級別受給権者数
厚生年金の年金額は、現役時代の年収が反映されます。
厚生年金の階級別分布を見ると、月10万〜15万円未満の層が全体の中でボリュームゾーンとなっています。
年収400万円クラスで40年加入した場合の受給額はおおむね月14万〜16万円の範囲に収まり、共働きの夫婦なら合算で月25万円前後が目安です。
年収400万円から老後資金を無理なく増やす3つのアプローチ
年収400万円台は、家計に一定の余裕はあっても住宅・教育・老後という3大支出のすべてに向き合う難しい層でもあります。
3つの視点で整理します。
1. 「先取り貯蓄」で無理なく積み立てる
手取りから残った分を貯めるのではなく、給与振込直後に自動で別口座へ移す「先取り貯蓄」が有効です。
目安として手取りの15〜20%を設定できれば、統計上の貯蓄率とも整合します。
2. NISAで運用益の非課税枠を活用
年収400万円層は、生活防衛資金(生活費6か月分)を確保したうえで、余裕資金をつみたてNISAで長期分散投資に回すのが現実的です。
運用益・分配金が非課税となる制度で、少額から始められ、必要になればいつでも引き出せます。
3. ねんきん定期便で受給見込みを確認
毎年誕生月に届くねんきん定期便には、加入実績に基づく年金見込額が記載されます。
夫婦2人分の見込額を合算し、老後の生活費との差額を把握することで、いま追加で必要な貯蓄額がクリアになります。「なんとなく不安」を数字に置き換えることが、家計改善の最初の一歩です。
まとめにかえて
二人以上世帯全体の金融資産中央値は720万円、平均は1940万円でした。
年収400万円層の「ふつうの世帯」も、中央値の周辺に分布しているのが実態です。
老後の柱となる公的年金は、男女や現役時代の勤続年数で受給額に差が出ます。
年収400万円という「ふつうの給与」でも、先取り貯蓄・NISAの活用・年金見込額の確認という3点を押さえれば、堅実に老後資金を伸ばすことができます。
数字を見える化するところから始めてみてください。
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三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。社内表彰歴多数。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。現在は、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、および専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて、企画・執筆・編集・監修を幅広く担当している。
金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、NISAや投資信託をはじめとするファイナンス領域を主軸に、その土台となる年金制度や社会保障、住宅ローン、相続まで横断的に分かりやすく解説。
