【2026年4月開始】シニアも払う「子ども・子育て支援金」とは?後期高齢者医療制度の負担割合もあわせて解説
Corri Seizinger/Shutterstock.com
執筆者山﨑 夏子ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級/TLC
監修者太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者
11:12
【2026年4月開始】シニアも払う「子ども・子育て支援金」とは?後期高齢者医療制度の負担割合もあわせて解説
Corri Seizinger/Shutterstock.com

子育て世代の家計相談を1500世帯以上お手伝いしてきましたが、教育費や住宅ローンの話から一歩進むと、必ずといっていいほど「親世代の医療費」の話題が出てきます。共働きで子育てに追われるなか、離れて暮らす親御さんの通院や入院が増え、家計の見通しが立ちにくいという声はとても多いのです。

意外に知られていないのが、75歳になると本人の意思とは関係なく、それまでの健康保険から「後期高齢者医療制度」へ自動的に切り替わるという点です。窓口負担の割合が所得によって変わることを、切り替わって初めて知ったという方も少なくありません。

さらに、2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金」は、現役世代だけでなくシニア世代の家計にも関わってきます。制度が変わる節目は、家族みんなでお金の話をする良いきっかけになります。医療や老後への備えは、増やすことより「仕組みを知って無理なく続ける」ことが大切だと、私はいつもお伝えしています。運用による備えを考えるなら、損をする可能性もふまえて、無理のない範囲で選ぶことが安心につながります。

梅雨が明け、うだるような暑さが続く毎日となりましたね。

わが家では冷房と扇風機がフル稼働で、電気代の請求書を見るたびに小さくため息が出てしまいます。

スーパーでもランチのお店でも、値札を二度見することが増えました。

こうした物価高は、どの世代の家計にもじわじわと重くのしかかっています。

とりわけ、現役を引退されたシニア世代にとっては、医療機関にかかる機会が増えるなかで、公的医療保険の負担がとても切実なテーマになってきます。

75歳からは「後期高齢者医療制度」へ移行し、窓口で支払う負担は所得に応じて1割から3割の間で決まります。

さらに2026年4月からは「子ども・子育て支援金」の徴収も始まり、シニア世代の家計を取り巻く環境は大きな変わり目を迎えています。

この記事では、暮らしの備えとして知っておきたい「後期高齢者医療制度」の仕組みと、負担割合を決める所得の目安を、できるだけやさしくお伝えしていきます。

公的医療保険の一つ「後期高齢者医療制度」は誰が加入対象?

後期高齢者医療制度は公的医療保険の一制度であり、原則として75歳以上の人が対象となります。

ただし、65歳以上74歳以下でも、一定の障害があると認定された場合は加入することができます。

さらに、75歳になると就労状況に関係なく、それまで加入していた国民健康保険や健康保険組合、共済組合などから切り替わり、自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。

相談の現場でも、この「自動的に切り替わる」という点をご存じないまま75歳を迎える方は珍しくありません。ご自身やご家族が対象になる時期を、あらかじめ知っておくと安心です。

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度とは?
後期高齢者医療制度とは?

年齢や所得の状況に応じて自己負担の割合は変わりますが、後期高齢者医療制度に移行した場合、医療機関の窓口で支払う費用はどの程度になるのでしょうか。

【後期高齢者医療制度】窓口負担割合は「1割・2割・3割」の3区分

後期高齢者医療制度では、加入者の所得区分に応じて、医療機関の窓口で支払う自己負担割合が「1割・2割・3割」のいずれかに定められています。

  • 一般的な所得の方:1割
  • 一般所得者のうち一定以上の所得がある方:2割
  • 現役並みの所得がある方:3割

【後期高齢者医療制度】医療費の窓口負担が最も高い「3割」になる人の所得水準はどのくらい?

後期高齢者医療制度では、医療費を窓口で支払う際の負担割合が、所得の水準に応じて決定されます。

その区分を判定する際の主な目安となる所得額は、次のとおりです。

後期高齢者医療制度「窓口負担割合」の判定基準

後期高齢者医療制度「窓口負担割合」の判定基準
後期高齢者医療制度「窓口負担割合」の判定基準

1割負担になる人:一般の所得者

下記の2割、3割に該当しない場合

2割負担になる人:一定以上の所得がある方

次の①と②の両方に該当する場合

  • ①同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいる。
  • ②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が以下に該当する。

・1人の場合は200万円以上
・2人以上の場合は合計320万円以上

3割負担になる人:現役並み所得者

  • 同じ世帯の被保険者の中に課税所得が145万円以上の方がいる場合
  • 上記に加えて、以下の収入等の要件を満たす人
    • 世帯内に被保険者が1人の場合:被保険者の収入金額の合計が383万円以上
    • 世帯内に被保険者が2人以上の場合:被保険者全員の収入金額の合計が520万円以上
    • 世帯内に被保険者が1人で、かつ70歳以上75歳未満の人がいる場合:被保険者と70歳以上75歳未満の人の収入金額の合計が520万円以上

次章では、自身またはご家族が何割負担になるのか、フローチャートで確認してみましょう。

【フローチャートでチェック】後期高齢者医療制度「医療費の窓口負担割合」

窓口での負担割合は、以下のフローチャートを見れば簡単に把握できます。

医療費の窓口負担割合フローチャート

医療費の窓口負担割合フローチャート
医療費の窓口負担割合フローチャート

後期高齢者医療資格確認書を所持している場合は、券面に記載された情報から窓口での負担割合を確認できます。

マイナ保険証を使用している場合は、マイナポータル上で確認することが可能です。

2026年4月から徴収が始まった、全世代対象の「子ども・子育て支援金」とは?

SNS等で「独身税」とも揶揄され話題になった「子ども・子育て支援金」は、少子化対策の財源を確保する目的で、2026年4月から導入された制度です。

この支援金は、すべての世代が加入する医療保険料に上乗せして徴収される仕組みであり、75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している人も対象となります。

そのため、現役世代だけでなく、シニア世代の家計にも影響が及ぶことになります。

子育て世代の相談を受けていると、「自分たちが払う側」という受け止めが多いのですが、実際には親世代も含めた全世代で支え合う仕組みです。家族で負担を分かち合っていることを知ると、制度への見方も少し変わってくるかもしれません。

では、この「子ども・子育て支援金」が後期高齢者にとって、どの程度の負担になるのかを見ていきましょう。

【年金収入別】シニア世代が負担する「子ども・子育て支援金」はどのくらい?

こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室の資料によると、後期高齢者1人あたりの支援金による負担増は、2026年度から2028年度にかけて月額およそ200円〜350円程度になるとされています。

ただし、「子ども・子育て支援金」は年収(所得)に応じて負担額が変わる仕組みである点には留意が必要です。

そこで、2028年度時点を想定し、後期高齢者(単身世帯で年金収入のみの場合)を対象に、年収別の負担額の目安を以下で確認していきましょう。

単身世帯・年収別支援金の目安額

単身世帯・年収別支援金の目安額
単身世帯・年収別支援金の目安額
  • 年収80万円:月額 50円(均等割7割軽減)
  • 年収160万円:月額 100円(均等割7割軽減)
  • 年収180万円:月額 200円(均等割5割軽減)
  • 年収200万円:月額 350円(均等割2割軽減)
  • 年収250万円:月額 550円(軽減なし)
  • 年収300万円:月額 750円(軽減なし)

実際の負担額は、今後の保険料率の見直しなどによって変動する可能性があり、現時点では確定していません。

ただし、2026年4月以降は、後期高齢者医療制度の保険料に「子ども・子育て支援金」として、月額で数百円程度が上乗せされる見込みである点は押さえておく必要があります。

まとめ

ここまで「後期高齢者医療制度」の仕組みと窓口負担割合の目安、そして2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金」について見てきました。

窓口で支払う負担は、所得水準や世帯構成に応じて「1割・2割・3割」に分かれ、判定には課税所得や年金収入などの目安が用いられます。

また、後期高齢者1人あたりの支援金は、2026年度から2028年度にかけて月額でおよそ200円〜350円程度とされていますが、今後の見直しで変わる可能性もあります。

医療費や保険料の負担は、家計にそのまま響いてきますので、まずはご自身やご家族の負担割合を確認しておくことが大切です。

制度が変わる節目は、家族でお金の話をする良い機会でもあります。マイナポータルや資格確認書で今の負担割合をチェックしつつ、無理のない範囲で将来の備えを見直してみてはいかがでしょうか。

後期高齢者医療制度は、日本の公的医療制度のなかでも比較的歴史の浅い仕組みです。かつては「老人医療費支給制度」のもと、70歳以上の医療費が原則無料とされていた時期もありました。

そのため相談の現場でも、「病院で支払いが発生すること自体に馴染めない」と、当時を振り返って話される方に出会うことは少なくありませんでした。

窓口負担についても、少し前までは1割で済んでいた方が大半でしたが、2022年10月からは一定以上の所得がある方を対象に2割負担が導入され、いまではその区分もすっかり定着しています。

「昔と同じつもりでいたら、想像より医療費がかさんでしまった」というご相談も、現役当時はよくお聞きしていました。制度は時代の情勢に合わせて少しずつ姿を変えており、負担のあり方も一様ではなくなっています。

年金生活に入っても、保険料や医療費の支払いは続いていきます。まずは自身の負担割合を確かめたうえで、2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金」のような新しい動きにも目を向けておくことが、これからの家計を守る第一歩になると感じます。

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山﨑 夏子ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級/TLC
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