元銀行員が伝えたい、直視すべきiDeCoの2大デメリット
税制優遇が大きく、しっかり増える可能性のあるiDeCoですが、利用する上で絶対に知っておくべき厳しい現実があります。
・資金ロックの厳しいルール
最大のデメリットは、原則60歳になるまで資金を引き出せないことです。さらに、加入期間が短い50代の場合、通算加入期間のルールによって最長65歳まで引き出せないケースもあります。緊急でお金が必要になっても、解約して現金化することは不可能です。
・見落としがちな「毎月の固定手数料」が実質値上げへ
iDeCoは運用管理手数料が無料の金融機関であっても、国民年金基金連合会などへ支払う手数料が「毎月必ず」発生します。さらに、2027年1月の納付分から、掛金を納めるときの手数料が「1回105円」から「月120円」へ改定されることが決まりました。
iDeCoは個人投資家の利便性を高めるために、法改正が続けて行われています。それらの内容を理解することは欠かせません。
「年1回まとめ払い」でも手数料節約ができなくなる
今回の改定では、加入している間にかかる国民年金基金連合会の手数料です。
2027年1月から「1回105円」が「月120円」となります。押さえておきたいのは、金額が上がるだけでなく、数え方が変わるという点です。
これまでは掛金を納める1回につき105円でした。改定後は月120円となり、拠出した期間の月数に応じて計算されます。
これまで、手数料を安く抑えるために「毎月拠出」ではなく「年1回まとめて拠出する(年払い)」方法が使われてきました。しかし、改定後の影響は以下のようになります。
- 毎月拠出している人: 年間180円の増加(微増)
- 年1回にまとめて拠出している人: 年間1,335円の増加(大幅増)
拠出が1回でも「月数」に応じて計算されるため、手数料を抑える目的で年単位の拠出を選んでいた方は、この方法による利点が完全に消滅してしまいます。
これから始める方は、無理に年払いにせず資金繰りに合った「毎月拠出」で進めるのが無難です。
iDeCoの平均掛金額はどのくらい?
運用する上での注意点がわかったところで、「毎月いくら積み立てればいいのか」と悩む方も多いでしょう。無理のない掛金を設定するために、ほかの人がどのくらい積み立てているのか平均額を見てみましょう。
掛金額分布
最新のデータを見ると、全体の平均掛金額は16,645円となっています。
掛金の分布で最も多いのは「20,000円〜(約179万人)」の層です。これは、会社員(企業年金なし・第2号加入者)の掛金上限が月額23,000円であるため、上限いっぱいで設定している人が多いことが大きく影響しています。
一方、「10,000円未満(約76万人)」や「10,000円〜(約109万人)」といった、1万円前後の少額から始めている層も非常に多いという点です。
「まとまったお金がないと意味がないのでは?」と思い込んでいる方も多いですが、そんなことはありません。
月々5,000円や10,000円といった無理のない少額からでも、まずは早く始めて「長期投資の恩恵」と「節税メリット」を長く受けることが何よりも大切なのです。
50代から始めるiDeCoの老後資産形成とは
50代から老後資産形成を始めるのは、一見遅いと思われるかもしれません。しかし、決して諦める必要はありません。「今」がこれからの人生の中で一番若い時です。
焦って流行りの商品に飛びつくのではなく、まずは「家計全体の現状」を正しく把握すること。その上で、50代の強力な味方となるiDeCoを正しく活用すれば、税負担を軽減しながら老後に向けた資産の再構築は十分に間に合います。
まずはご自身の資産バランスを見つめ直し、iDeCoの資料請求という小さな、けれど確実な第一歩から、将来に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。
みずほ銀行出身。FP2級保有。確定拠出年金の講師として全国でセミナーに登壇。フィンテック企業広報を経て、現在はLIMOで官公庁データを基に、年金や資産運用、新NISA、iDeCo等の記事を執筆。
