第3号被保険者数は5年連続で減少
会社員に扶養される専業主婦(夫)などの「第3号被保険者」は、減り続けています。前述の厚生労働省資料によると、第3号被保険者数は2020年度末の793万人から2024年度末には641万人へと152万人減少(うち女性は781万人から628万人に減少)しました。
第3号被保険者数の推移
- 2020年度末:793万人(女性は781万人)
- 2021年度末:763万人(女性は751万人)
- 2022年度末:721万人(女性は709万人)
- 2023年度末:686万人(女性は673万人)
- 2024年度末:641万人(女性は628万人)
背景にあるのは、共働き世帯の増加と短時間労働者への厚生年金の適用拡大です。2024年10月には社会保険の適用対象となる企業規模要件が従業員51人以上に広がり、これまで扶養の範囲内で働いていたパートの一部が厚生年金に加入することになりました。
現役世代(25〜44歳)の女性就業率は急上昇
第3号被保険者の減少にともない、女性の就業率が上昇しています。内閣府の「男女共同参画白書 令和7年版」によると、子育て世代にあたる25〜44歳の女性の就業率は、2005年の64.0%から2024年には81.9%まで上昇しました。
出産・育児期に就業率が落ち込む「M字カーブ」は解消に向かっています。
女性の就業率の推移
ただし、女性の正規雇用比率は25〜29歳の60.3%をピークに低下し、男性に比べて低い水準です。出産などによる退職などが原因として考えられます。厚生年金の受給額は現役時代の賃金と加入期間で決まるため、非正規雇用中心の働き方では年金額は少なくなります。
女性の正規雇用比率
老後に向けた選択肢のひとつとして「自分自身の厚生年金」を考える
老後に向けた備えとして、女性がご自身の厚生年金に加入し、可能であれば正社員として長く働くことも、心強い選択肢のひとつです。
もちろん、子育ての状況や介護、ご本人の体調など、ご家庭の環境は本当に様々です。お子さんが小さいうちは一緒にいる時間を優先したいと思うのも当然のことですし、無理をしてすぐにフルタイムで働く必要はありません。
ただ、物価の上昇などもあり、家計のやりくりに悩む場面も増えているのではないでしょうか。もし少しずつでも環境が整ってきたら、「扶養の範囲内」という枠を少し広げてみることで、現在の世帯収入を増やすだけでなく、将来のご自身の年金を増やすことにもつながります。
近年は子育て支援の制度も少しずつ拡充され、柔軟な働き方ができる企業も増えてきました。育児が少し落ち着いたタイミングで、ご自身のペースに合わせて再就職や転職、働き方の見直しを検討してみるのもよいかもしれません。
おわりに
厚生年金の平均受給額は月約15万円で、月30万円以上を受け取れる人は受給権者のわずか0.1%です。夫1人の年金でゆとりある老後生活を送るのは難しいと言えるでしょう。
一方、第3号被保険者は直近5年間で152万人減少し、25〜44歳の女性就業率は81.9%まで上昇しました。女性が扶養の範囲内で働く(または専業主婦でいる)時代は終わりつつあります。現役世代の女性は、厚生年金に加入して働き続けることを検討してみましょう。
監修者コメント
ライフスタイルやご家庭の事情はそれぞれ異なりますので、ご自身のペースで働き方を考えてみてはいかがでしょうか。将来の不安を少しでも和らげるために、まずはご夫婦で「ねんきん定期便」を見ながら話し合ってみるのもよいかもしれません。無理のない範囲で、将来に向けた準備を少しずつ進めていけると安心ですね。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
