この記事はここがポイント
- 70歳代の貯蓄中央値は1178万円、資産寿命シミュレーションでお金の寿命を把握
- 年利3%運用で資産を取り崩すと、運用なしより寿命を約10年延長可能
- 70歳代は家計見直しの適齢期、無料ツールで「守るお金」「活かすお金」の計画
2026年7月も中旬を迎え、夏本番となってきました。毎年この時期に厚生労働省から公表される「簡易生命表」ですが、最新の「令和6年簡易生命表」によると、日本の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年と年々のびていることがわかりました。
筆者は、ファイナンシャルプランナー(FP)として、これまで多くの方からセカンドライフに関するご相談を受けてきましたが、平均余命(70歳で男性15.60年、女性19.97年)からもわかる通り、長寿化が進む日本では長期的な資金計画が欠かせないと感じています。
人生の後半戦を自分らしく楽しむために、今回は70歳代の貯蓄実態と、資金を長持ちさせる「資産寿命シミュレーション」の活用法をお伝えします。
【70歳代の貯蓄額】「中央値1178万円」約25%は3000万円以上を保有
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、「70歳代・二人以上世帯」の金融資産保有額を見てみましょう(※日常的な出し入れ用の普通預金は含まず、株式や保険なども含む)。
70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
70歳代の平均貯蓄額は2416万円ですが、これは一部の富裕層に引き上げられた数字です。より生活実感に近い「中央値」は1178万円であり、この水準に多くの世帯が集中していると言えます。
世帯ごとの貯蓄額分布をみると、資産を全く持たない「金融資産非保有」が10.9%いる一方で、「3000万円以上」保有する世帯も25.2%と最も多くなっています。 それ以外では、500万円未満の層が計16.2%、1000万〜3000万円未満の中間層が計30.1%と分散しています。退職金の有無や現役時代の収入、相続などによって、世帯間の資産状況に大きな格差が生じていることがわかります。
公的年金の受給額にも個人差があるため、貯蓄が少ない場合は、健康なうちはパートなどで働く、あるいは資産運用で補うなど、世帯ごとの実情に合わせた早めの生活設計が不可欠です。
【資産寿命】今ある資産を「どう取り崩し、どう活かすか」シミュレーションで見える化する
70歳代は、今ある資産を「どう取り崩し、どう活かすか」を考え、これからの暮らし方を見直す大事なタイミングです。そこで便利なのが、今ある資産で「あと何年生活できるか」を見える化できる資産寿命シミュレーションです。
銀行や証券会社などの公式ホームページで無料で使えるので、気軽に試せるのもおすすめです。
資産寿命シミュレーションのイメージ図
たとえば、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
- 手元の資産: 1000万円
- 公的年金などの年間収入: 180万円
- 生活費などの年間支出: 230万円
- 年間収支: ▲50万円(赤字)
毎年50万円ずつ手元資産を取り崩す場合、全く運用しなければ「約20年」で資産は尽きてしまいます。しかし、この資産を「年利3%」で運用しながら取り崩すと、資産寿命は「約30年」まで延びるのです。
お金に少し働いてもらう「運用の意識」を持つだけで、寿命を約10年も延ばすことができます。年利3%は、NISAのつみたて投資枠などを活用したバランス型投資信託などで十分に目指せる水準です。預金の一部をゆるやかに運用することは、物価上昇(インフレ)対策にもなり、長生きリスクへの現実的な備えとなります。
まとめにかえて
今回は、70歳代の貯蓄実態と、老後資金を長持ちさせる方法について解説しました。平均値に振り回されず「中央値(1178万円)」をひとつの目安としつつ、資産寿命シミュレーションを活用してご自身の「お金の寿命」を把握することが安心への第一歩です。
■ FPからのワンポイントアドバイス
70歳代は教育費や住宅ローンの負担が減り、純粋な老後の生活費が見えやすくなる家計見直しの適齢期です。まずは銀行や証券会社のホームページにある無料ツールで「資産の見える化」を行いましょう。そのうえで、数年以内に使う予定の「守るお金(現預金)」と、インフレに負けず資産寿命を延ばすための「活かすお金(運用)」をしっかり分け、ご自身に合った無理のない取り崩し計画を立ててみることをおすすめします。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
