年金額は増えても実態は「目減り」?
支給額が増えたとはいえ、手放しで喜べる状況ではありません。
実は、2025年の消費者物価指数の変動率が「+3.2%」だったのに対し、名目手取り賃金の変動率は「+2.1%」にとどまりました。
現在の年金制度では、物価の上昇が賃金の上昇を上回る場合、年金の支え手である現役世代の負担能力に合わせ、低い方の「賃金変動率(+2.1%)」をベースに年金額を改定するルールになっています。
マクロ経済スライドによる調整イメージ:賃金・物価の上昇率が大きい場合
さらにそこから、将来の年金財政を維持するための仕組み「マクロ経済スライド」が発動し、国民年金は▲0.2%、厚生年金は▲0.1%が差し引かれました。
結果として、「モノの値段は3.2%上がっているのに、年金は最大2.0%しか増えていない」という状態になり、実質的な生活水準は昨年よりも低下(目減り)しているのが現実です。
マクロ経済スライドとは、現役世代の減少や長寿化に合わせて、年金の伸びを物価や賃金の上昇より低く抑える仕組みです。
働くシニアを後押し!在職老齢年金「65万円の壁」への引き上げ
働きながら年金をもらっている方にとって、2026年4月に行われた実務上最もインパクトの大きい変更が、「在職老齢年金」制度の大幅な見直しです。
在職老齢年金とは、60歳以上で厚生年金に加入しながら働く方が、給与(賞与を含む)と老齢厚生年金の合計額が一定の基準を超えた場合、年金の一部または全額がカット(支給停止)される仕組みです。
在職老齢年金のイメージ
この基準額(支給停止調整額)が、これまでの月額51万円から、2026年度は「月額65万円」へと大幅に引き上げられました。
つまり、給与・賞与と年金の合計が月額65万円以下であれば、年金は1円もカットされずに全額受け取れるようになったのです。
早大卒。証券外務員二種・相続診断士。15年の書籍校閲で培ったファクトチェック力を武器に、一次資料に基づく「お金と暮らし」の分析記事を担当する編集記者。認知症介護経験をいかし、読者目線に立った情報発信も。
