大切な家族を亡くした遺族の暮らしを支える制度として、遺族基礎年金があります。さらに「もう一つ」上乗せされる給付金があるのをご存じでしょうか。
「遺族年金生活者支援給付金」と言われる給付金ですが、制度の名前は耳にしても、いくら受け取れるのか、どんな人が対象になるのかまで詳しく知らない方も少なくないかもしれません。
筆者はかつて自治体の窓口で年金や保険の相談に乗っていましたが、制度が複雑でわかりにくいという悩みや、聞いてみると意外に簡単だったという感想をよく聞いていました。
今回の給付金についても、手続き自体はとても簡単なので、「知らないから受け取れない」という事態だけは避けたいと願います。
厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和7年3月時点で遺族年金生活者支援給付金を受け取っている件数は全国で7万7707件にのぼり、40歳代・50歳代を中心に支給されていることが示されています。
この記事では、遺族年金生活者支援給付金の対象者と給付額、前年所得の基準、そして対象者に届くはがき型請求書による手続きの流れまで、要点を整理していきます。
【年金生活者支援給付金】対象は「老齢・遺族・障害」基礎年金受給者の3区分
年金生活者支援給付金制度について
年金生活者支援給付金は、公的年金に上乗せして支給される制度で、大きく次の3種類に分かれています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
いずれも「老齢・障害・遺族」のうち該当する基礎年金を受け取っており、公的年金を合わせても所得が一定基準以下である方が対象です。
受給が決まると、2カ月に1度のタイミングで給付金が振り込まれる仕組みになっています。
このうち、大切な家族を亡くした遺族の暮らしを支える「遺族年金生活者支援給付金」についてくわしく見ていきましょう。
【遺族年金生活者支援給付金】月額「5620円」を受け取れる要件
遺族基礎年金を受給されている方へ
遺族年金生活者支援給付金の支給要件は、次のとおりです。
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
所得とは、収入から経費(給与所得控除等)を差し引いた後の金額です。ただし、前年の所得には遺族年金等の非課税収入は含まれません。
所得の基準は扶養親族の人数に応じて引き上げられるため、家族構成によって対象となるかが変わる点に注意したいところです。
【給付額】遺族年金に上乗せされる金額はいくら?
- 月額5620円
子が2人以上で対象となる場合は、この5620円を人数で均等に分けた金額がそれぞれに支給されます。子どもが3人のケースでシミュレーションしてみましょう。
【子どもが3人】遺族年金生活者支援給付金の「5620円」はどう分けて支給される?
給付額の例
3人の子がそれぞれ遺族基礎年金を受給しているとします。この場合は月額5620円を3人で割った金額となり、1人あたりの支給額は月額1873円となります。
計算の結果、50銭未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときはこれを1円に切り上げる扱いです。
なお、実際の支給額は法令等に基づき変更される場合があります。
【全国で7万7707件】遺族年金生活者支援給付金、年代別の受給件数を見る
遺族年金生活者支援給付金(令和7年3月)
厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和7年3月時点で遺族年金生活者支援給付金の受給件数は全国で7万7707件にのぼっています。
年代区分別に見ていきましょう。
- 20歳未満:5687件
- 20〜29歳:529件
- 30〜39歳:7881件
- 40〜49歳:3万4072件
- 50〜59歳:2万7828件
- 60歳以上:1710件
20歳未満は子自身が受給者となるケースであり、60歳以上は件数自体が比較的少ない傾向にあります。
受給件数は40歳代と50歳代に集中しており、全体の大部分を占めていました。遺族基礎年金を受け取る配偶者の年齢が、子の養育期間と重なりやすいことが背景にあると考えられるでしょう。
どの世代であっても、遺族基礎年金に上乗せされる本給付金は、残された家族の暮らしを支える一助として大きな意味を持つ制度といえます。
ここまで制度の対象となる条件や、実際に支給されている人の年代別特徴について見てきました。ここからは大切な「申請方法」を整理していきましょう。
遺族年金生活者支援給付金の対象者には「はがき型の請求書」が届く
遺族基礎年金を受け取っている人のうち、新たに遺族年金生活者支援給付金の対象となる方には、日本年金機構から自動的に「はがき型の請求書」が郵送されてきます。
ただし、要件に該当したタイミングで送られてくるわけではありません。送付時期は「毎年9月」となっており、手続きした翌月分から支給対象となります。
なお、新たに遺族基礎年金の請求手続き(裁定請求)をする方は、年金生活者支援給付金請求書も同時に提出します。手続きの際に案内があるので、そちらに沿って請求しましょう。
かつて自治体窓口でいろいろな手続きの相談を受けていたころには、案内が届いてから提出までについ時間が空いてしまうというケースも目にしてきました。
手続き漏れがないよう、はがきが届いたら内容をよく確認し、できるだけ早く返送するように心がけたいところです。
【まとめ】遺族年金に上乗せされる「5620円」、はがきが届いたら早めの返送を
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金を受給する方で、前年の所得が479万4000円以下となるなどの要件を満たす場合に、月額「5620円」が年金に上乗せされる制度です。
子が2人以上で対象となる場合は、この月額を人数で均等に分けた金額が支給され、子ども3人なら1人あたり月額1873円となります。
令和7年3月時点では、全国で7万7707件もの遺族世帯が受給しており、特に40歳代と50歳代の受給件数が多いことが示されています。
対象者には日本年金機構から「はがき型の請求書」が郵送される仕組みで、これを提出してはじめて給付が始まります。
所得の基準は扶養親族の人数によって変わってきますので、ご自身やご家族が対象になり得るかどうか、はがきが届いたら内容をよく確認するようにしましょう。
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PROFILE
ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。
