老後の生活を支える年金ですが、もしその他の所得を含めても一定額以下になる場合、「年金生活者支援給付金」が受け取れる可能性があります。
「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類に分かれており、それぞれの年金に上乗せされる形で2カ月ごとに支給されます。
「いくらもらえるのか」が気になるところですが、基準額は毎年変わっており、今年度は昨年より3.2%増額になりました。
そこで、本記事では「年金生活者支援給付金」をテーマとして
- みんないくらもらっているのか(基準額と平均額)
- 誰がもらえるのか
- どんな手続きでもらえるのか
について深堀りしていきます。
「年金生活者支援給付金」みんないくらもらっているのか
公的年金などの収入や所得が一定の基準を下回る方を対象に、年金生活者支援給付金が支給されます。
筆者が公務員として窓口業務をしていたときには、この制度はまだありませんでした。2019年10月にスタートした比較的新しいもので、当時行われた「消費税増額分」を財源にしています。
給付金は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類に分かれており、それぞれの年金に上乗せされる形で2カ月ごとに支給されます。
その基準額と平均支給額を見ていきましょう。
年金生活者支援給付金の基準額
年金生活者支援給付金の支給金額
2026年度の年金生活者支援給付金月額は、以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級は7025円、2級は5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円(2人以上の子が遺族基礎年金を受け取っている場合は、5620円を子の人数で割った金額をそれぞれに支給)
このうち老齢年金生活者支援給付金については、この基準額を基に保険料納付済期間等に応じて算出され、次の1と2の合計額となります。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5620円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1768円×保険料免除期間÷被保険者月数480月
年金生活者支援給付金の平均額
次に厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を見ていきましょう。
こちらは2025年3月時点でのデータになりますが、平均給付月額は老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円でした。
給付金額ごとの支給件数を見ることで、ボリュームゾーンも探りましょう。
【老齢年金生活者支援給付金】
老齢年金生活者支援給付金
- 1000円未満:7万5101件
- 1000円以上2000円未満:31万4450件
- 2000円以上3000円未満:59万9166件
- 3000円以上4000円未満:108万2177件
- 4000円以上5000円未満:103万4357件
- 5000円以上6000円未満:104万5423件
- 6000円以上7000円未満:18万5291件
- 7000円以上8000円未満:9万3265件
- 8000円以上9000円未満:4万4796件
- 9000円以上1万円未満:1万9891件
- 1万円以上:1万524件
【障害年金生活者支援給付金】
障害年金生活者支援給付金
- 5000円以上6000円未満:149万3700件
- 6000円以上7000円未満:68万3466件
【遺族年金生活者支援給付金】
遺族年金生活者支援給付金
- 1000円未満:ー
- 1000円以上2000円未満:607件
- 2000円以上3000円未満:1569件
- 3000円以上4000円未満:ー
- 4000円以上5000円未満:ー
- 5000円以上:7万5531件
老齢年金生活者支援給付金では、3000円以上4000円未満に属する人がもっとも多いことがわかりました。
「年金生活者支援給付金」誰がもらえるのか
続いて、「年金生活者支援給付金」はどんな人がもらえるのかを見ていきましょう。こちらも年金の種類ごとに異なります。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得を合計した額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること
※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算に含みません。 ※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
障害年金生活者支援給付金の支給要件
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得額が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額あり)
※所得の計算には、障害年金などの非課税収入は含まれません。
遺族年金生活者支援給付金の支給要件
- 遺族基礎年金を受給していること
- 前年の所得額が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額あり)
※所得の計算には、遺族年金などの非課税収入は含まれません。
どの給付金においても、年金収入や所得の合計額が重要になります。また老齢年金生活者支援給付金においては、「65歳以上」「同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること」など、条件が多いことも特徴的です。
このように見ると、「自分が対象なのかいまいちわからない」と不安になるかもしれません。しかし、手続き自体は難しくありません。次章で手続き方法を見ていきましょう。
「年金生活者支援給付金」手続きは難しくない
年金生活者支援給付金の支給対象となる方には、あらかじめ日本年金機構から請求に関する書類が郵送されます。つまり、書類を受け取れば気づけますし、あとは漏れがないように記入して返送するだけで良いのです。
請求書が送られてくる時期
書類が送られてくる時期として気をつけたいのが、①年金の受け取りが開始する約3カ月前②毎年9月です。
まず①についてですが、そもそも年金自体を初めて受給する人の場合、老齢基礎年金の請求書が送られてきます。このときに給付金の請求書も同封されているのです。
すでに年金を受給している人の場合でも、所得の変動によって給付金の対象になることは珍しくありません。
この場合、②のように毎年9月、対象者へ一斉に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。
年金生活者支援給付金請求書(はがき型)
お手元に届いたらはがきに必要事項を記入し、切手を貼付してポストに投函するだけで手続きは完了します。
電子申請も可能
2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」を受け取った方は、電子申請も可能です。
なお、別途支給要件の確認が必要な方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が郵送されることになっています。
いずれにしても、届いた書類にはしっかり目を通しておくようにしましょう。
厚生年金と国民年金の平均支給額
最後に、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金の平均額もご紹介します。老齢年金生活者支援給付金の対象となる所得目安が月額で約7万円ほどだったので、このボーダーラインを超える人がどれほどいるのかにも注目しましょう。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
厚生年金の平均受給月額
厚生年金の平均年金月額
全体の平均月額:15万289円
- 男性の平均月額:16万9967円
- 女性の平均月額:11万1413円
厚生年金の受給者であれば、平均でも15万円超なので年金生活者支援給付金の対象にならないように見えます。
ただし、実際にはグラフのとおり「月額7万円未満」という人も多く存在します。なお、こちらは国民年金を含んだ金額です。
国民年金の平均受給月額
国民年金の平均年金月額
全体の平均月額:5万9310円
- 男性の平均月額:6万1595円
- 女性の平均月額:5万7582円
国民年金の受給者であれば、年金生活者支援給付金の対象になる可能性が高いと考えられます。
ただし年金以外の所得があったり、繰下げ受給によって増額している場合は対象外になることもあります。
まとめにかえて
年金生活者支援給付金について解説しました。特に「金額」「誰がもらえるのか」は多くの方が注目するポイントです。
制度自体は難しく感じるかもしれませんが、基本的には対象者に請求書が送られてくる仕組みのため、書類を見逃さないようにすることが大切です。
すでに年金を受給している人のうち、新たに給付金の対象になる人に向けては、2026年9月に日本年金機構から「簡易な請求書(はがき型)」が入った封筒が届きます。
受け取った後に行うことは、主に以下の2つです。
- 郵便受けに届いた「日本年金機構からの封筒(またはハガキ)」をすぐに開封し、ご家族と内容を共有する。
- 太枠内に氏名、提出日、電話番号を記入し、返送する。
この簡単な手続きだけで、年間で数万円の収入増が見込めます。見逃さないように注意しましょう。
参考資料
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PROFILE
ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。
