2026年6月26日の東京株式市場では、平均株価が前日比3,005円安と急落しました。これは米国市場でのハイテク株安の流れを引き継いだ格好で、前日25日に3,191円上昇した分をほぼ全て吐き出す展開となりました。
こうした地合いのなか、ハローキティをはじめとする強力なIP(知的財産)で国内外を魅了するサンリオ(8136)は逆行高となりました。株価は前日比+8.60%高を記録し、25日の同+7.89%に続く連騰となっています。
同社では、元常務取締役による不適切な報酬受給問題の調査に伴い、2026年3月期の通期決算を当初予定から延期していましたが、これを23日の大引け後に発表しました。不祥事による先行き不透明感から一時は売りが先行していた株価ですが、決算の蓋を開けてみれば、過去最高益の大幅な更新と増配というポジティブサプライズとなりました。
マーケット全体の地合いが軟調だったことから、発表翌日の24日こそ同社株は小幅に下落したものの、その後は一気に上昇気流に乗りました。25日には終値ベースで大台の1,000円を突破し、26日もその大台をキープして取引を終えています。今後は1,000円台が定着するかどうかが注目されます。
今回は、このサンリオの最新決算内容とその後の株価の値動きをまとめて解説します。
延期されていた決算発表:業績への影響は軽微、過去最高益を更新!
サンリオは5月1日、元常務取締役が米国子会社から不適切な報酬(総額約2億5230万円)を受領していた疑いがあるとして特別調査委員会を設置し、決算発表を延期していました。
しかし、6月23日に発表された調査報告および決算短信によると、当該金額はすでに過年度の米国子会社側で費用処理されており、連結業績への修正影響は軽微であることが判明。市場が懸念していた「過去の業績データの虚偽」という最悪のシナリオも払拭されました。
同時に発表された2026年3月期の連結業績は、事前の懸念を吹き飛ばす圧倒的な数字となりました。
- 売上高:1,940億円(前期比33.9%増)
- 営業利益:778億円(同50.3%増)
- 経常利益:793億円(同48.4%増)
- 当期純利益:546億円(同30.9%増)
国内外における物販・ライセンス事業が絶好調で、『ハローキティ』のほか、周年を迎えた『クロミ』『マイメロディ』、30周年イベントに沸く『ポムポムプリン』などの複数キャラクター戦略が完全に噛み合っています。売上高、各利益ともに過去最高を更新する文句なしの着地です。
気になる配当金と株主還元:直近予想からさらに「上振れ増配」
業績の拡大に伴い、株主還元も手厚くなっています。 2026年3月期の期末配当金は、直近の予想(1株当たり35円)からさらに3円上振れし、38円で着地しました。これにより、中間配当(31円)を合わせた年間配当金は69円となり、前期(53円)から16円の大幅増配となりました。
なお、同社は2026年4月1日付で1株につき5株の割合で株式分割を実施しています。今期(2027年3月期)の年間配当予想は16円(中間8円・期末8円)となっていますが、これは株式分割後の数値であるため、分割前に換算すると実質「年間80円」相当となり、さらなる増配を見込んでいる強気な計画です。
決算発表後の株価の値動き:買い安心感から一転して「ロケットスタート」
不祥事リスクを警戒し、6月中旬には一時840.2円と、5月7日の年初来安値(819円)近辺まで売り込まれていたサンリオ株。しかし、決算発表日(6月23日)の決定や、実際の発表内容の強さが確認されると、株価の風向きは一変しました。
決算発表の翌々日となる25日からは、ショートカバーも巻き込んで本腰を入れた買いが見られるようになり、26日もその勢いを維持。前日比86.5円高の1,092円で取引を終えました。
市場は今回の不祥事を「膿(うみ)を出し切った」と捉え、それ以上に中長期的な成長力(IPのEvergreen化)や財務の健全化(自己資本比率が52.9%から66.4%に上昇)を高く評価する形となっています。
サンリオ株の年間チャート
まとめ:2027年3月期も「3期連続の最高益」へ強気の見通し
サンリオが公表した2027年3月期の連結業績予想では、売上高2,298億円(前期比18.4%増)、営業利益895億円(同15.0%増)、純利益638億円(同16.8%増)と、さらなる高みを目指しています。
映像配信やデジタル領域の強化(Gugenkaの子会社化や自社開発ゲームの発売予定)、大分ハーモニーランドの「エンタメリゾート化計画」など、中期経営計画の最終年度に向けてアクセルを緩める気配はありません。
ガバナンス体制の再構築という課題は残るものの、ファン層の拡大と世界的なサンリオ人気の勢いは、株価の数字が証明しています。分割によって個人投資家が買いやすい価格帯(10万円前後)になったことも追い風となり、大台を突破したサンリオ株が今後どこまで上値を伸ばせるか、投資家からの熱い視線が注がれています。
決算延期でハラハラさせられたサンリオファン・投資家の方も多かったかと思いますが、結果としては「これ以上ないリスタート」となりました。
1株→5株の分割を経て流動性も高まっており、今後のファンエンゲージメント施策の動向からも目が離せません。
とはいえ、株式市場の地合いは日々変化するもの。今後の成長に期待しつつも、実際の投資にあたってはご自身のライフプランに合わせ、無理のない判断で慎重に検討してください。
免責事項
- 当記事は情報提供を目的としており、特定の株式の購入や売却を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、最新の決算資料などをご自身でご確認の上、自己責任でおこなってください。記事の情報に起因して生じた損害について、当方は一切の責任を負いません。
- 株主優待の内容や条件は変更される可能性があります。必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
PROFILE
立教大学卒業後、海外専門の旅行会社に就職し、その後旅行業界専門誌の記者に転身。企業決算の記事などを手掛けるうちに金融マーケットに興味を持つようになり、株式や債券の発行市場をカバーする金融専門誌の記者に転職。債券市場の動向や市況について、10年以上にわたって数多くの記事を機関投資家に向けて日経QUICKやブルームバーグ等へ執筆した。その後、株式会社フィスコでアナリストが執筆する企業調査レポートの編集を手掛けるとともに、決算などIR情報の発信業務に携わる。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』のLIMO編集部に所属し、LIMOでも記事を執筆している。