この記事はここがポイント
- イオン本体の100株優待は買い物金額の1%返金やイオンシネマの割引、イオンラウンジの月4回利用
- イオン北海道とイオン九州は1,000円ごとに使える100円券の贈呈で、全国の系列店舗直営売場が利用対象
- 次回権利付き最終日は3社とも2027年2月24日で、100株購入代金は8万2,000円から26万9,500円
イオン<8267>が10月13日に発表した中間決算は、営業利益が中間期として過去最高を更新しました。
株価は発表翌日の14日に一時1,101円まで下げて年初来安値をつけたものの、その後は持ち直し、23日は1,181円で取引を終えています。
イオンといえば、買い物金額に応じたキャッシュバックやイオンシネマの料金割引など、株主優待の人気が高い銘柄です。
10月は株主優待「オーナーズカード」の3月~8月の買い物分が返金される月で、8月末に新たに株主になった人にはまもなくカードが届く時期でもあります。
SNSなどでイオン株主の投稿を目にして、興味をもった人もいるかもしれません。
映画の優待については、6月19日にイオンシネマが一般料金を1,800円から2,000円に引き上げたことで、オーナーズカードで大人1,000円になる優待料金との差が800円から1,000円に広がりました。
株価が1月5日につけた年初来高値(2,542円)の半分以下にある今、優待目当てに買いたいと考える人もいるのではないでしょうか。
もっとも、株主優待を実施しているイオングループの上場会社は、本体だけではありません。
今回はイオン北海道<7512>、イオン九州<2653>を取り上げ、イオンシネマの優待の有無、イオンラウンジの利用条件、還元方法の違いを比べていきます。
中間決算発表翌日に年初来安値、イオン<8267>の株価はいまどの水準か
イオンが10月13日に発表した2027年2月期中間期(2026年3月〜8月)の決算は、次のとおりです。
- 営業収益:5兆9,041億5,700万円(前年同期比13.8%増)
- 営業利益:1,307億4,300万円(同10.7%増)
- 経常利益:1,082億9,200万円(同1.7%増)
- 中間純利益:133億2,100万円(同229.1%増)
同社は決算短信で、利益成長ドライバーと位置づけるディベロッパー・エンターテイメント、ヘルス&ウエルネス、アセアンがけん引し、営業利益は中間期として過去最高を更新したと説明しています。
通期予想(営業利益3,400億円)は据え置いており、中間期時点の進捗率は約38.5%です。
株価は発表翌日の10月14日に前日比▲74.5円(▲6.21%)の1,125.5円で取引を終え、取引時間中には1,101円まで下げて年初来安値をつけました。
その後は持ち直し、10月23日は前日比+51円(+4.51%)の1,181円で取引を終えています。
5月27日には一時1,388円まで下げて1,400円を割り込む場面がありましたが、そこからさらに水準を切り下げた形です。
100株あたりの最低購入代金は、10月23日終値ベースで11万8,100円となっています。
3社の優待はどこが違う? 3つのポイントで整理
イオン本体、イオン北海道、イオン九州はいずれも100株から株主優待を受けられますが、中身は同じではありません。
まず違いを大づかみにすると、次のようになります。
- イオンシネマの優待料金:イオン本体のみ
- イオンラウンジ:イオン本体は100株以上、イオン九州は100株以上(2月末の株主のみ)、イオン北海道は500株以上(2月末の株主のみ)
- 還元方法:イオン本体は買い物金額に応じた返金、イオン北海道・イオン九州は1,000円ごとに1枚使える100円の「株主様ご優待券」
共通しているのは、使える場所が発行会社の地元に限られない点です。
イオン本体のオーナーズカードは北海道や九州のイオン、マックスバリュでも返金の対象になり、イオン北海道・イオン九州の優待券も、全国のイオンやマックスバリュ、まいばすけっと、ザ・ビッグなどの直営売場で使えます。
北海道や九州に住んでいなくても、系列2社の株主になる意味はあるということです。
なお、イオン本体とイオン北海道には3年以上の継続保有を条件にイオンギフトカードを贈る長期保有株主優待制度がありますが、対象はイオン本体が1,500株以上、イオン北海道が500株以上で、100株の株主は対象外です。
イオンシネマの優待料金は大人1,000円、本体株主だけの特典
イオン本体の株主にはオーナーズカードが届き、イオンシネマの窓口で提示すると大人・大学生が1,000円、高校生以下が800円の優待料金で映画を観られます。
さらにカード1枚につき、ポップコーンSサイズかドリンクSサイズが1つ付きます。
一般料金は6月19日から2,000円(ワタシアタープラス会員は1,900円)になったため、大人1人で1回観るごとに一般料金との差は1,000円です。月に1本観る人なら、年間で1万2,000円の差になる計算です。
ただし、インターネットでのチケット購入、ライブビューイングなどの特別興行、他の割引との併用時は優待料金の対象外です。3D・・4D・IMAXなどの特殊スクリーンや特別席は追加料金がかかります。
オーナーズカードは本人用と家族用の2枚が発行され、使えるのは株主本人と生計を同一にする配偶者・親・18歳以上の子どもに限られます。
イオン北海道・イオン九州の優待券はイオンシネマでは使えないため、映画の割引を重視するなら選択肢はイオン本体に限られます。
オーナーズカードの返金率は100株で1%、300株で3%
日々の買い物では、オーナーズカードを提示して現金やWAON、イオンマークのカードなどで支払うと、半年分の買い物金額(本人・家族カード合計で100万円まで)に返金率を掛けた金額が戻ってきます。返金率は保有株数で決まります。
- 100株:1%
- 200株:2%
- 300株:3%
- 1,500株:4%
- 3,000株:5%
- 9,000株:7%
半年で30万円を買い物した場合、100株なら3,000円、300株なら9,000円が戻る計算です。
この区分は2026年2月末の権利確定分以降の内容です(同社は2025年9月1日付で1株を3株に分割しています)。
返金の時期は、3月1日~8月末の買い物分が10月、9月1日~2月末の買い物分が4月です。
総合スーパーのイオン店舗などで現金で受け取るか、WAON POINTで受け取れます。
イオンオーナーズクラブに登録して電子交付とWAON POINT還元を選ぶと、3月下旬・9月下旬の「スピード還元」で受け取ることもできます。
このほか、イオンやマックスバリュなどの店舗では、毎月20日・30日の「お客さま感謝デー」にオーナーズカードを提示し、対象の支払い方法で支払うと、5%割引と返金の両方を受けられます。
イオンラウンジは保有株数で利用回数が変わる
イオンラウンジは、お買い物の合間に休憩できるよう一部の店舗に設けられた、ラウンジ会員限定のサービス施設です。
イオン本体では2026年2月末の権利確定分から、保有株数に応じて利用回数が分かれました(2026年5月1日から適用)。
- 100株~299株:月4回
- 300株~1,499株:月8回
- 1,500株以上:月16回
2025年8月末の権利確定分までは、100株以上(分割前の株数)で一律月8回でした。
イオン九州は100株以上でラウンジ会員証が発行されますが、対象は年1回、2月末の株主です。
8月末に新たに株主になっただけでは会員証は届きません。
イオン北海道は2月末時点で500株以上を保有する個人株主が対象で、100株では利用できません。
次回の権利付き最終日は3社とも2027年2月24日
イオン本体とイオン九州の権利確定日は2月末日と8月末日の年2回、イオン北海道は2月末日の年1回です。
8月末の権利確定はすでに過ぎたため、これから株を買う場合、次の機会は3社とも2027年2月末になります。
- 権利付き最終日:2027年2月24日(水)
- 権利落ち日:2027年2月25日(木)
3社の100株での優待内容をあらためて並べると、次のとおりです。
- イオン本体:オーナーズカード(返金率1%、イオンシネマ優待料金、イオンラウンジ月4回など)
- イオン北海道:株主様ご優待券2,500円分(100円券25枚、年1回)
- イオン九州:株主様ご優待券5,000円相当(100円券50枚)を年2回、年間1万円相当。2月末の株主はイオンラウンジも利用可
イオン九州・イオン北海道の優待券は、1回の買い物が1,000円(税込)以上のとき、1,000円ごとに1枚使えます。
イオン北海道は200株で5,000円分、500株で1万円分と、保有株数に応じて枚数が増えます。
オーナーズカードが届くのは権利確定から約2カ月後
イオン本体の場合、新たに100株以上の株主になった人には、権利確定日から約2カ月でオーナーズカードが届きます。
8月末に新たに権利を得た株主の場合、10月末から11月ごろが目安になります
カードは届いた日から使えるため、新規の株主は最初の半年間の買い物が丸ごと返金対象になるわけではありません。
たとえば2027年2月末に新たに権利を得た場合、カードが届くのは4月下旬ごろで、そこから8月末までの買い物分が10月に返金されます。
株を買ってから最初の返金を受けるまで、半年以上かかる点は押さえておきたいところです。
3社の投資指標を比べると、PERとROEで差がはっきり
系列2社も、イオン本体と同じ10月13日に中間決算を発表しています。
イオン九州の中間期は、営業収益が2,825億200万円(前年同期比3.9%増)、営業利益が27億1,100万円(同32.7%減)、経常利益が23億8,500万円(同53.9%減)、中間純利益が4億7,000万円(同86.9%減)でした。
生活応援施策の強化で売上総利益率が下がり、新規出店や賃上げなどの投資、M&Aで経費が増えたほか、令和8年熊本地震の関連費用17億4,500万円を特別損失に計上しています。通期予想は据え置きです。
イオン北海道の中間期は、売上高が1,882億6,300万円(同1.2%増)、営業利益が15億1,700万円(同38.4%減)、経常利益が13億円(同43.0%減)、中間純利益が8,500万円(同92.8%減)でした。
売上高が計画に届かなかったことや、価格競争力を確保するための荒利率の低下が営業減益の要因で、一部店舗では減損損失も計上しています。通期予想は据え置きです。
最後に、3社の投資指標を10月23日の終値ベースで比べてみます。PERは据え置かれた通期予想、ROEは前期(2026年2月期)の実績にもとづく数値です。
イオン<8267>
- 株価:1,181円
- PER(会社予想):44.77倍
- PBR(実績):2.68倍
- 配当利回り(会社予想):1.27%
- ROE(実績):6.41%
イオンの年間チャート
イオン北海道<7512>
- 株価:820円
- PER(会社予想):38.03倍
- PBR(実績):1.58倍
- 配当利回り(会社予想):1.95%
- ROE(実績):5.07%
イオン北海道の年間チャート
イオン九州<2653>
- 株価:2,695円
- PER(会社予想):14.18倍
- PBR(実績):1.54倍
- 配当利回り(会社予想):1.86%
- ROE(実績):10.35%
イオン九州の年間チャート
ROEはイオン九州が10.35%と3社の中で最も高く、PERも14.18倍と、イオン本体の44.77倍を大きく下回っています。
一方、100株あたりの最低購入代金はイオン北海道が8万2,000円と最も少なく、イオン本体(11万8,100円)、イオン九州(26万9,500円)と続きます。
記者コメント
5月時点では1,400円前後だったイオン株は、10月には1,100円台まで下がりました。同じ100株でも、買うために必要な金額は当時より小さくなっています。
もっとも、3社の優待は「何に使いたいか」で向き不向きがはっきり分かれます。
映画を観る機会が多い、日々の買い物で返金を受けたいならイオン本体、買い物のたびに割引券を使いたいならイオン北海道・イオン九州、と考えると整理しやすいでしょう。
イオン九州は前期実績のROEや通期予想ベースのPERでは本体と違う水準にありますが、中間期は営業利益が32.7%減、中間純利益が86.9%減でした。
据え置いた通期予想に対して業績がどう推移するかも、あわせて注目したいところです。
次の権利付き最終日は2027年2月24日です。
イオン本体を新たに買う場合、カードが届くのは4月下旬ごろ、最初の返金は10月になります。
株価の値動きに加え、権利確定までに優待内容が見直される可能性もあるため、各社の発表に目を配りながら検討することが大切です。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
