ターンアラウンド銘柄として注目集める【ユニチカ(3103)】8月3日の838円からわずか2週間足らずで一時1,800円台まで急伸
LookerStudio/Shutterstock.com
執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
16:30
ターンアラウンド銘柄として注目集める【ユニチカ(3103)】8月3日の838円からわずか2週間足らずで一時1,800円台まで急伸
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この記事はここがポイント

  • ユニチカ株価は8月3日838円から1,800円台へ急伸、1Q決算が契機
  • 1Qは営業利益46%増と大幅増益、事業再編と製品拡販が貢献
  • 好調1Qも通期予想は据え置き、前期特別利益反動が理由

繊維大手のユニチカ(3103)の株価が、短期間で大きく値を上げています。

同社株は2026年8月3日の終値838円から短期間で大きく値を上げており、8月17日の取引時間中には一時1,847円まで買われる場面もありました。

結局、引けにかけては伸び悩み、前日比4.45%高(+71円)の1,665円で3営業日続伸して取引を終えています。8月3日終値と比べると、2週間で値幅はほぼ2倍に達しました。

このきっかけとなったのが、8月6日の取引時間中(11時)に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4-6月期)決算です。発表当日の8月6日、株価は前日比24.68%高の1,258円まで買われ、その後も一進一退を繰り返しながら8月14日には前日比18.07%高の1,594円まで上昇、8月17日の続伸につながっています。

2027年3月期1Q決算:営業利益46.4%増・経常利益135.7%増・純利益211.3%増

 8月6日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4月-6月期)の決算では、売上高が241億800万円(前年同期比22.0%減)、営業利益が41億6,200万円(同46.4%増)、経常利益が43億2,200万円(同135.7%増)、純利益が40億5,600万円(同211.3%増)となりました。

売上高が減少しているのは、不採算だった不織布事業・産業繊維事業(モノフィラメント事業を除く)などからの撤退が2026年3月期第3四半期までに完了した影響によるもので、事業規模の縮小に伴う減収です。

一方で、高付加価値・高機能製品の拡販や価格改定、コストダウン施策の効果に加え、円安進行に伴う為替差益や、構造改革による有利子負債圧縮に伴う支払利息の減少などが重なり、利益は大きく伸びました。

 この改善の土台になっているのが、5月14日発表の2026年3月期本決算です。前期は売上高が1,185億6,300万円(前期比6.2%減)、営業利益が105億4,900万円(同80.3%増)、経常利益が103億9,200万円(同121.4%増)となり、純利益は181億5,300万円(前期は242億8,300万円の純損失)と大幅な黒字転換を果たしました。ただしこの純利益には、不採算事業の譲渡に伴う固定資産売却益236億9,700万円や、取引金融機関から総額120億1,500万円の債務免除を受けたことによる特別利益が含まれる一方で、事業構造改善費用148億8,400万円を特別損失として計上するという一過性の要因が重なった結果でした。

 事業モデル:不採算事業を切り離し「高分子」「機能資材」の2本柱に集約

 同社は事業再生計画に基づき不採算事業からの撤退を進めた結果、2027年3月期第1四半期から報告セグメントを従来の「高分子事業」「機能資材事業」「繊維事業」の3区分から、「高分子事業」「機能資材事業」の2区分に変更しました。

 高分子事業(フィルム・樹脂)は、包装材・電子材料向けの高機能フィルム「エンブレムHG」や、自動車・電子部品向けエンジニアリングプラスチックの販売が伸び、売上高170億1,900万円(前年同期比22.0%増)、営業利益30億7,500万円(同31.6%増)と増収増益になりました。機能資材事業(ガラス繊維・活性炭繊維・ガラスビーズ・モノフィラメントなど)は、不織布・産業繊維事業からの撤退の影響で売上高は49億4,700万円(同48.4%減)にとどまったものの、電子材料向けのガラスクロスや浄水器向け活性炭繊維の販売が堅調で、営業利益は10億6,700万円(同136.9%増)と大幅な増益になりました。

ユニチカの強みは「構造改革によるコスト削減」「高付加価値製品へのシフト」

同社の従業員数はこの1年で2,663人から1,692人へと大きく減少しており(2026年6月25日提出の有価証券報告書ベース)、事業譲渡や人員体制の見直しを伴う事業再生計画の規模の大きさがうかがえます。あわせて、取引金融機関からの債務免除によって有利子負債を圧縮したことで支払利息が減少するなど、財務体質の改善も収益力向上を後押ししています。

通期予想「据え置き」の裏にあるものとは?

8月6日の1Q決算発表時点で、2027年3月期の通期業績予想は2026年5月14日発表時点から変更されていません。会社予想は売上高840億円(前期比29.2%減)、営業利益80億円(同24.2%減)、経常利益65億円(同37.5%減)、純利益50億円(同72.5%減)で、いずれも前期実績を下回る計画です。

この背景には、前期(2026年3月期)の純利益に含まれていた固定資産売却益や債務免除といった特別利益が、今期は見込まれていないという事情があります。1Qの営業利益・経常利益の伸び自体は本業の収益力改善を映したものですが、通期では前期の特別利益の反動が大きく効いてくるため、今回の第1四半期の増益ペースがそのまま年間を通じて続くとは限らない点には留意が必要でしょう。

バリュエーション評価と株価

8月17日終値1,665円時点でのPERは20.3倍(会社予想)、PBRは2.86倍(実績)、信用倍率は5.39倍、時価総額は962億円でした。同社は現在無配で、通期の会社予想配当も0円のままです。値幅で見ると、52週高値は2026年4月21日につけた4,380円、52週安値は2025年11月5日につけた186円で、直近の株価は年初来高値(4,380円、4月21日)からはなお距離があるものの、8月3日終値838円と比べると2週間でほぼ倍の水準まで値を戻した格好です。

ユニチカの12カ月チャート

出所:各資料より筆者作成
ユニチカ株の12カ月チャート

記者コメント 

ユニチカの株価急伸は、事業再生計画に基づく構造改革の成果が四半期決算に表れ始めたことが直接のきっかけです。もっとも、前期の黒字転換には資産売却や債務免除といった一過性要因の寄与度が大きく、今期の会社予想は大幅減益を見込んでいます。

決算発表からわずか2週間足らずで株価が倍増するなど値動きの荒さが目立つなか、足元では関心の高さから出来高を伴って高値圏で推移しています。長く続いた3ケタ台から離脱した株価が、どの水準で値固めできるかが当面の焦点となります。

参考資料

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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